「フルタイム会社員の副業を事業所得で申告」をおすすめしない理由

「事業所得を赤字にして、給料の源泉所得税の還付を受ける」という話を聞いたことがありますか?
あるいは、実際にやっておられるとか。

これは、おすすめしません。
基本的に、仕事としても受けていません(いまは、確定申告の仕事は、前年中にメールいただいている方・単発相談は受けています)。

バロー横浜下永谷店の屋上駐車場から見える風景(遠くに、元テナントのヤマダデンキが見える)

事業所得の赤字が、他の所得と損益通算できる理由

事業所得は、会社員にならなかった人、会社員をやめて独立開業した人が行う仕事で、生活費を稼いだ場合の所得と、私は考えています。

つまり、これがなくなってしまったら、収入がないのです(私もそうです)。
事業収入が、会社員でいうところの給料のようなものです。
青色申告特別控除は、給与所得控除とのバランスを取るために導入されたとも言われています。

でも、事業である以上、いいときも悪いときもあり、赤字になることもあります。
そこで、事業のほかに、副収入がある場合は、その所得と赤字を損益通算(相殺)して、税金を減らす効果を持たせているのです。
フリーランスが副収入を持つこと自体は、フリーランス生活の継続のため、ありです。

さらに、翌年以後3年間の黒字と相殺できるやさしさまであります。
生活費を稼ぎ出すためのものだからです。

こまごまとした文章も自分で書いていた。そういう業界の関係の知り合いも何人かはいた。だからフリーのライターとして自分一人分の生活費を稼ぎ出すくらいはまあ簡単なことだった。

村上春樹『ダンス・ダンス・ダンス』(1988)

この小説に出てくる「僕」は、会社勤めをしていない、フリーランスのライターです。(フリーランスという用語も作中に出てきます)
生活の時間の多くを、文章を書く仕事に使っているわけです。

こういう人が使うのが事業所得です。

会社員で事業所得があると言えるか

これに対し、会社員はフルタイムで勤め先の仕事をしているわけです。
何か、副収入があるとして、それにかける時間は、必然的に会社員の時間より短くなります。

こういうものは副業といい、一般的には雑所得で申告をします。
事業所得との違いについては動画でも解説していますが、さきほどあった「税金のやさしさ」がありません。

YouTube:事業所得か雑所得か 本業/副業の違い

収入から経費を引いた残りに、そのまま税金がかかります。
赤字なら、所得0円で、追加の納税もありませんが、給与の源泉徴収税額からの還付もありません。

お給料で生活費を稼ぎだしているのだから、副業の赤字を税金で面倒を見る必要がないからです。

事業所得で申告して、還付を受けたあと、税務調査で否認されて、追加の納税が求められる実例が、複数出ています。

ただ、時間のかけ方だけだと、なかなかご自分でも事業所得か雑所得か、判断がつかない場合もあるでしょう。
そこで、形式的な判断基準もあります。

会社員の副業が事業所得にならない場合

もし、年収600万円の会社員のケースでしたら、副業の収入が、給与収入の10%、60万円未満がおおむね3年程度続くようだと、雑所得です。

60万円以上であっても、赤字が3年程度続き、黒字にするための営業活動をしていない場合も、雑所得です。

こういった形式基準をクリアするためだけの取引を行っていても、最終的には税務署の判断で、雑所得とされるリスクが残ります。
事業所得赤字の申告をすれば、税金は還付されますが、認められたわけではありません。将来にわたって不確定要素を残すのは、なかなか気持ちのよいものではないでしょう。

では、反対に事業所得になるのはどんな場合か。
時間をかけなくても売上が立つ仕事をしていて、収入が300万円超あるとか、いま、勤め先の仕事のスピンオフのような仕事を個人で始め、会計ソフトで損益を管理し、数字を見て不断の改善を行っているような場合でしょう。

それで、立ち上げ時に赤字が出るのはやむをえないです。「赤字だから即、事業所得NG」ではありません。
ただ、3年赤字が連続するなら、その事業から撤退するか、雑所得の申告に切りかえたほうが、ご自身にとってプラスです。
プラスになることをしましょう。

副業が、恒常的に黒字になる場合は、会計ソフトでの管理をするなど、苦労して事業所得で申告する必要性は薄いです。
雑所得として申告し、2年前の副業収入が300万円以下なら、現金主義(入金時に売上、支払時に経費)としてよく、勘定科目の分類も決算書の作成もいらず、確定申告に時間とお金をかけずに済みます。

→ 初めての副業を現金主義で確定申告する

副業をされている会社員の方は、雑所得の申告を、ご自分でされることをおすすめしています。
そして、どうせやるなら、黒字を恐れず、利益を増やしていっていただきたいです。
もちろん追加の納税は発生しますが、手取りがマイナスになることはありません(赤字にしたら、手取りはマイナスになります)。

副業に関しては分からないことがある方には、単発相談で対応しています。

近況報告

土日は基本的に休養しています。体が求めているので。セミナー動画を見つつ。

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