GnuCash でクレジットカード、預金、現金を管理する方法

GnuCash 利用のポイントは、クレジットカードと預金、現金の経理方針をどうするかにあります。

理想は、カードでの買い物のつど (借)費用 (貸)クレジットカード を入力すべきですが、これだと CSV インポート機能が生かせません。

そこで、カード払いについては、引落額が確定した時点でインポートを行います。カード勘定の月末残高が、翌月の引き落とし額になっていれば OK です。

オートチャージ時には、(借)SUICA (貸)二重仕訳 とし、カードのインポート時に (借)二重仕訳 (貸)クレジットカード とすれば、日々カード勘定の残高を動かさずに済み、分かりやすいです。

預金から現金を引き出したときは、(借)現金 (貸)預金 の仕訳を入力します。預金の CSV をインポートする際、日付と金額が一致するこの仕訳を GnuCash が自動で検出して、二重仕訳にならないように処理してくれるからです。

監査上の主要な検討事項 (KAM) 朝日新聞社編

最近、大企業の赤字転落がニュースになると、その主要な原因が「繰延税金資産の取崩し」である、というのがパターンになっています。

(借)法人税等調整額 (貸)繰延税金資産 で税金費用が増加して、税引後当期純利益が赤字になるのです。損益に与える影響は大きいものです。

繰延税金資産って、将来課税所得が出る見込みなら計上しつづけられるから、強気の予測を言ったもん勝ちにならないかな? と思っていました。

また、その見込みは、近年の会計データが志向する未来情報そのものであり、投資意思決定上も、ものすごく重要な情報のように思えます。

朝日新聞社の監査報告書における KAM

そこで監査法人は、その会社が行った見積りについて、どのように対応しているのか。それが分かる実例が朝日新聞社における上の画像です。過去の実績、購読料の値上げが与えた過去の影響、外部統計・予測との比較、リストラの影響まで確認しているようです。

『財務会計講義』第22版と第15版の違いは

『財務会計講義』(桜井久勝、中央経済社)は、ページ数を増やすことなく(448頁)毎年内容が更新される本として知られています。自らページ数に制限を課すところ、共感します。制限をかけなければ、残すか捨てるかの判断基準が磨かれません。

これはCDコレクションも同じです。上限100枚としなければ、聴くべき/売るべきCDを判断する力が身につきません(by 中山康樹)。

第21版で、収益認識基準の解説が入ったので、大幅に内容は変わっています。第22版では、IFRSにおける「リース会計の新しい考え方」が追加されました。

それ以外で、いつから変わったのかは不明ですが、ぱっと気づいたところをご紹介します。第15版のp.164は完全に白紙のページだったのに、第22版のp.164は、そこに「仮想通貨」が加わっています。どちらも、p.165から第8章に移るところが同じ。すごいなあ。あと旧版の誤字脱字も直ってたりします。

このブログ記事の文字数が400字以内である理由

このブログは、1記事の本文400字制限で書いています。小学校で使った原稿用紙1枚と同じ量です。その理由は、まとまった内容を読みやすく提供できるからです。その良さを感じていただければと思います。

読み手のメリット

  • スクロールする必要がなく、一画面に全文を表示したままじっくり読める
  • 読む時間が少ない人でも、読み切れる
  • 記事が長いからといって、飛ばし読みをしたり、読むのを諦めたりせずに済む

書き手のメリット

  • 字数制限があると、冗長な表現を刈り込む必要があり、自然な推敲が促される
  • ツイートでは短すぎて伝えられない、まとまった内容を書くことができる
  • 長い必要がないので、毎日文章を書くことが無理なく続けられ、文章力がつく

学生時代は、文章は長ければ長いほどよく、短い新聞・雑誌の記事より、無限の紙幅を持つネット記事を愛好していましたが、就職してからは逆になり、みんなそうじゃないかなと思って、この形式で始めました。

GnuCash のエクスポート CSV から推移表を作る (3)

前回のつづき。月別推移表できました? これは、Excel でこづかい帳を作るのと同じ方法です。

総計がプラスのとき、損失(赤字)

GnuCash では、内部的に、貸方残高の勘定(負債・純資産・収益)はマイナス数値で表現されています。CSV 上は、収益がマイナスで、費用がプラスで表示されます。

したがって、Excel で推移表を作ると、総計の金額は、プラスのときが赤字、マイナスのときが黒字となっています。そこが直感に反するところですが、「自分だけが分かればいい」と思って使っていただければと思います。

最後に、ピボットテーブルの右下の総計(最終値)の正負を反転したものが、GnuCash の勘定科目タブの右下「利益」と一致していることを確認してください。GnuCash の優れているところは、一目で純資産と利益が見えるところです。複式簿記は財産ともうけを計算するシステムなので、正しい表示だと思います。

GnuCash のエクスポート CSV から推移表を作る (2)

前回のつづき。前回は推移表を作る下準備でした。月別推移表を作るには、全行に日付が入力された表が必要です。RDB の専門用語で正規化といいます。

Excel で隣に新しいシートを作り、 Alt → N → V でピボットテーブルを起動、元のテーブルを選択します。前回作ったテーブルを前提とすると、Σ 値に「金額数値」、列に「アクション」、行に「摘要」「勘定科目名」で2階層を設定します。

下の画像になるようにピボットテーブルの設定を行います。

ピボットテーブルの設定

左画像のように月別推移表にならなければ、日付を右クリック→グループ化で下画像のように「月」を選択。

推移表の場合、収益と費用だけを表示したほうが見やすいので、それ以外の科目分類が表示されないようにします。

あとは、ピボットテーブル内の勘定科目の行は、単純な文字コード順になっているので、行をドラッグして任意の並び順に並べ替えます。案外簡単です。

GnuCash のエクスポート CSV から推移表を作る (1)

GnuCash、いいんですけど、月次の推移表を作りたければ、Excel でカバーするしかないですね。「ファイル→エクスポート→取引を CSV にエクスポート」で仕訳帳が出せます。例によって UTF-8 であり、そのままでは文字化けしてしまうので、エディタでシグネチャありの UTF-8 で保存しなおして Excel で開きます。

で、その CSV も癖のある書式です。日付などが偶数行にしか入っていない。いったん、表を全選択してテーブル化 Ctrl + T しましょうかね。

任意の列に、関数

=IF(ISEVEN(ROW()),[@日付],INDIRECT("A"&ROW()-1)) 

を入れて、奇数行に偶数行の日付を転記しましょう。

科目の資産・負債・純資産、収益・費用分類もしたいところです。任意の列に、 =LEFT([@勘定科目フルネーム],2) を入れて、下図のようにします。(つづく

ネットサーフィンで時間を浪費しないための心構え

ついネット記事やSNSを見続け、小一時間経ってしまった……。新聞なら、せいぜい15分くらいで読み終わって、読み返さないですよね。この違いを考えてみました。

  • ネット記事は、あなたを喜ばせるように書かれています。
  • Webには、あなたがどっちだろうと(例えば、オリンピック賛成派/反対派)、必ず喜ぶ記事が多数用意されています。
  • Webサイトは、両サイドの記事を用意して、賛成派からも反対派からもアクセスを集めることができれば、広告収入がアップします。
  • 賛成派に反対派の記事を読ませて怒らせるエンタメもあります。
  • 読み手は、無料で自分を喜ばせ続けられる、一種の中毒状態になります。

この点、新聞記事は、読み手を喜ばせる/怒らせる記事が少ないと思います。しかも、ワンテーマ2~3記事しかないです。

この記事は自分を喜ばせようとしていないか? 自分で自分を喜ばせても、何も得るものはありません。己を監視したいところです。

現代に生きる特殊仕訳帳と二重仕訳削除金額

簿記の勉強をしていて、特殊仕訳帳ほど不思議に思う論点はないでしょう。手書きの記帳を分担・労力削減するための手法? この会計ソフト時代に何になるの? と。

会計ソフトでは、SUICAもクレジットカードも、CSVに落として取り込めます。実は、このSUICAとカードの各CSVが、現代の特殊仕訳帳なのです。ここでは、ビューカードのオートチャージが問題になります。単純に処理すると、

  • SUICAのCSVをインポート (借)SUICA (貸)クレジットカード
  • カードのCSVをインポート (借)SUICA (貸)クレジットカード

となり、まさに二重仕訳削除金額の考え方が必要になるわけです。この場合、相手科目を仮に

  • SUICAのCSVをインポート (借)SUICA (貸)二重仕訳
  • カードのCSVをインポート (借)二重仕訳 (貸)クレジットカード

として、仕訳を実質一本にします(会計ソフトで二重かチェックされる場合も)。

税理士試験合格に実務経験は必要ない

今年の税理士試験は8月17日から19日まで実施されます。上のグラフは去年の結果です。合格率は年齢に反比例しています。若いほど有利!です。

年々実務チックな問題になってきている会計科目でも、学生さんが受験することに何の不利さもありません。税法科目もそうです。まあ確かにちょっと勉強しただけで受かる試験ではないですけど、実務を知らなくて引け目を感じる必要はありません。

会計科目で目にする上の残高試算表、実務では、このフォーマットを目にすることはありません。実務の試算表は、資産と負債・純資産が別の表になっていて、その月初残高・借方・貸方・月末残高、という4列になっています。

受験から入ると、実務の試算表に違和感感じまくりだと思います。特に、あの借方・貸方いらないでしょう、と思うのですが。手書き時代の名残です。学習簿記の試算表のほうが、よっぽど見やすいと思うんですけどね。