Wizardry: Proving Grounds of the Mad Overlord (Steam) を試す

小学生のころ、はまったゲームといえば、ファミコン版「ウィザードリィ 狂王の試練場」でした。その存在は『ドラゴンクエストへの道』で知りました。

まず、字面がかっこよかった。英語でもカタカナでもロゴでも。シンプルなパッケージも。

方眼ノートを買い、マッピングし、『隣り合わせの灰と青春』(ベニー松山、JICC出版)を読み、『ウィザードリィのすべて』を読み、石垣環の漫画の巻末付録のApple II版の画面写真を見ては興奮していた時代です。

その、あこがれのApple ][版の画面と、それに近いシステムでプレイできる最新バージョンが、Steamで販売中です。

現状、開発中バージョンで英語のみですけど、昔のプレイヤーには問題ないですよね。

かなり遊びやすいようにモダン化されていますが、シビアはシビア。地下1階から2グループで出現するコボルト&オークにシーフが殺され、カント寺院に行くと1発で灰にされ、2回目で復活したものの、稼いだお金はなくなってしまいました。

キーボード操作モードで「m」を押すとApple II 線画が全面に出る

Apple II版にあこがれていたファミコン世代の方に朗報。あの画面で遊べます。

まず、オプション(リルガミン市内Escキー→Option)で操作系をキーボードにします。

そして、迷宮に入ったところで「m」キーを押下。すると、右下に表示されていたApple II版の画面が、中央に出てくれます。

3D CG(解像度最低設定ならVAIO Zでも快適に動く)を覆い隠すように出るので、想像力でプレイしたい人に最適です。

ただ、最新UIの文字もかぶってしまって、見にくいこともあります。その場合は、mキーを押すと、Apple II表示なし→右下小表示→全面大表示 に切り替えられます。

キーボード操作とはいえ、Apple II版の操作方法ではなく、基本はGUIです。左下のヒントを元に操作することになります。慣れが必要です。

基本は親切設計。経験者なら問題なく遊べます

宝箱が出ると、盗賊が「私に罠を調べさせて」と言ってくるし、仲間が死ぬと、侍が「カント寺院に連れて行こう」とヒントをくれます。

ファミコン版では何の説明もなかったストーリーも、英語ですが、最初に迷宮に入るときに説明してくれます。

3D CG化されているものの、Apple II版のUIの英文を読むのが追いつかないほどの早いテンポで戦闘は進んでいきます。

いわれるほどテンポは悪くないので、初期Wizファンは試してみてはと思います。

開発中のバージョンであることに留意

まだ、開発中のものなので、例えば、迷宮に残したパーティを救出に入ったりしたときなど、操作ヒントのとおりに操作してもループしてしまうことがあります。

困ったら、とりあえずウインドウ右上ボタン×を押すかAlt+F4で終了させ、再起動すればよいです。フルスクリーン←→ウインドウの切り替えは、F11で行います。

筆者は、FC版I、II、IIIはクリア、SFC版Vは最後の謎かけが解けずに挫折し、同VIはすぐあきらめた人。

2割特例は期間限定。終わった後のことも考えておく

インボイスを機に課税事業者(登録番号あり)になる方は、値上げができないか検討してみてください。

登録するのを条件に、5%程度の値上げを獲得したいところです(業種によります。サービス業なら約5%)。

お仕事的に値上げが難しければ、経費削減を考える必要があります。そうしないと、免税事業者だったときと比べて、手取りが減ってしまうからです。

手取りを減らさないためには値上げが必要だが…

2割特例を受ける人は、いくら税額が軽減されるといっても、税込料金が同じままなら、免税事業者だったころと比べて、1.81%手取りが減ることになります。

計算上は、1.85%の税込料金の値上げをすれば、手取りを同じままにできます。値上げで件数が減らないようにしたいところですが……。

ただ、2割特例は、個人事業主の場合、2026年分の確定申告までの期間限定の制度です。

2割特例が使えなくなると、また手取りが減る

1.85%値上げをしたまま、2027年分の確定申告を迎えると、また、手取りの減少がやってきてしまいます。

エンジニアやサービス業などの方の場合、そこで2割特例から簡易課税に切り替えても、2.78%の手取り減少に見舞われます。

ここでさらに手取りを昔と同じにしたければ、免税事業者時代の手取り+4.76%の値上げをしておくことが必要になってきます。

売上が1000万円を超えた2年後も2割特例不可

売上が順調にアップしていくと、2027年より早いタイミングで2割特例が使えなくなるときがきます。

それが、売上が1000万円超になった年の翌々年です。

また、親御さん(昔からの課税事業者)が経営していた店舗・事務所賃貸業を相続した年も、2割特例が使えなくなります。

いつ、消費税の負担が増えるかは予測ができないことでもあるので、早めの値上げ・コスト削減の検討をおすすめします。

経費の摘要、どこまで書けばいいのか

経費を入力するにあたって、摘要欄には何をどのくらい書く必要があるのでしょうか。

消費税の税率の違いが分かる程度に

一つの考え方として、「消費税の税率基準」があります。

消費税法上の経費には、大きく分けて次の3つがあります。この区別ができる程度に書けばいいのです。

  • 10%の税率がかかるもの
  • 8%の軽減税率がかかるもの
  • 消費税がかからないもの
  • インボイスがいらないもの

レシートなどに印字されている商品名そのものではなく、一般的な呼び名でOKです。

いろんな種類のものをまとめて買ったら、税率の違いさえなければ、「○○ほか」でくくります。

取引先入力欄がなければ、取引先も摘要に入れます。

「㈱○○ △月分 □□□」という感じで、□□□の取引内容は下表のように入力します。

税率等摘要の記載例
10%事務用品、酒
軽減8%食料品、新聞定期購読
なし地代、社宅家賃、商品券、印紙、行政手数料、海外出張、国際電話、EMS、放置違反金、ゴルフ場利用税
インボイス不要電車代、バス代、入場券、古物、質物、宅建、再生資源、自販機(○○市)、ATM(〇〇支店)、郵便切手、出張旅費等、通勤手当

ちなみに、消費税を納税しない方・2割特例・簡易課税の方は、「インボイス不要」の行は気にせず、自分でわかるように書けばいいです。

10万円以上のモノは内容と個数を詳しく

一方、10万円以上の備品や車両・修理代・工事費などは、請求書や見積書のとおり、詳しく書いておきましょう。

高額な支払いは、払った金額がそのまま経費にならない可能性があるからです。

型番があるものは、型番も。あとから請求書を見直す必要がない程度に固有名詞を書いておきます。

型番でネット検索すれば、何を買ったかわかるので便利です。資産に計上するときの勘定科目、耐用年数を選ぶときの他参考になるようにします。

同じものを複数買って10万円以上になった場合は、個数も買いておきます。備品1個当たり10万円未満になれば、経費になるからです。

経理はメリハリが大事です。少額のものはどんどん定型文で打って、10万円以上の物の購入はしっかり元資料から転記しましょう。

インボイス制度で何が変わるのか 今の制度と比較する

インボイス制度が始まると、実際にどのような変化があるのでしょうか。

今の消費税の制度は、けっこうよかった

インボイス制度が始まる前の、今の消費税はよい面もありました。

  • 誰から仕入れても、消費税の納税を減らせる
  • なので、仕入先が課税事業者かどうか確認する必要がなく、事業者の手間がかからない
  • なので、免税事業者がB2B取引から排除されない(免税事業者も仕入れにかかる消費税を負担しているのだから、あしざまに扱う必要はない)

インボイス制度が始まると、このよい面が消滅します。

  • 免税事業者から仕入れると、消費税の納税が減らない(緩和措置あり)
  • なので、仕入先が課税事業者かどうかインボイスで確認する必要があり、事業者の手間がかかる
  • なので、免税事業者がB2B取引から排除されがちになる

結果、B2Bの免税事業者は、インボイスを発行できる課税事業者に転換することを迫られます。

消費税分を値段に乗せても、損得はないと言うけれど…

「消費税は、売上-仕入=粗利 の中から納めるのではなく、売上に乗せた消費税から仕入に乗せられた消費税との差額を納めるので、利益に影響を与えない、損も得もしない」とよく言われます。

それは嘘です。

課税事業者になって、本体価格に消費税を上乗せしたら、値上げになるわけです。

値段が上がれば上がるほど、ふつうは、買いたいと思う人の数が減ります。

消費税率がアップしたときに、それに合わせて値上げした場合も同様です。

売上は、単価×売れた数 なので、売れた数が減れば、当然、利益も減ります。

薄利多売、粗利率が低い、値段を上げると需要が下がりやすい商売の方は、消費税が利益を押し下げるリスクがあります。

価格・粗利率・経費を見直す必要があります。売り方、見せ方の改善も検討してみましょう。

本日の物価高

同じ店で10年前は650円だったラーメンが、870円になっていました。味は、変わらずおいしいかったんですけどね。220円アップ(134%)。

本体価格が189円、消費税額が31円アップという内訳です。

税率が8%から10%になったので、125%。本体価格は131%。125%×131%で消費税額は164%となっています。

物価高(インフレ)と、税率アップとの合わせ技で、消費税は増えていくんですね。

脱税のデメリットは、お金がたまってしまうこと

脱税のデメリットがあまり伝わっていないので、脱税をする人が絶えないのではないでしょうか。

脱税とは、現金売上を申告しなかったり(有名すぎて「つまみ申告」という用語まである)、家族との食事代を経費に入れたりすることですが。

脱税の問題点は、脱税する人に、お金がたまってしまうことです(「たまり」という用語まである)。

お金がたまる、そのどこが問題?

お金がたくさん手元にあると、高額なものに使いたくなってしまうんですよ……。

すると、人は「税務署が推定する貯金の額では買えないもの」を買ってしまうのです。(「将来が不安」なので、金融商品を買ってしまいがち)

法定調書の種類

で、↑は、脱税してそうな人がもらっていそうな収入のリストです(全部ではありませんが)。

これらは、確定申告で税務署に収入を伝えていなくても、反対側の支払サイドから、当局に情報が流れるようになっています。

これらの支払情報や、銀行の調査で、税務署は個々人の貯金額が推定できるわけです。

例えば、貯金がないはずの人が、多額の国債を持っていて、利子をもらっていたら、おかしいですよね。

また、このようなシステムに載らないものでも、税務署は個別の通報窓口を設けています。

課税・徴収漏れに関する情報の提供

なので、お金がたまっても、使えない状況に…

ということを前提とすると、「脱税で得た金」がたくさんあっても、ちびちびとしか使えないはずです。派手に使うとバレるからです。

家族にも言えず、なので家族も知らず、自分が亡くなったときに、そのお金がゴミとして捨てられてしまうかも……(出所が脱税とは限りませんが、たまにゴミ捨て場でお金が見つかるニュースがありますね)。

もし家族がそのカネのことを知っていたとしたら、それは最終的に、相続税の申告書に載せられて、やっぱり税金がかかることになります。

いま使えるお金を手に入れる方法として、脱税は割がよくないように思えるんですが、どうですか?

インボイスで登録交渉・価格交渉をすると売り手の手取り、買い手の費用はどう変わる?

売り手が免税事業者で、買い手が課税事業者を前提とします。

免税事業者は登録して消費税を納めるか、その場合の税込価格をいくらにするかが問題となります。

売り手が2割特例を受けられる場合を想定していますが、これ、3年間の期間限定なので、その後のことも考えておく必要があります。

売り手の立場…登録して価格据置きは損

  1. 売り手がいちばん有利な結果となるのは、免税事業者のままでいて、かつ、税込価格を据え置くことです(立場の強い売り手が取れる方法)。手取りは変わりません
  2. 次が、免税事業者のままでいて、税額の2割の値引きを受け入れることです。その値引き分、手取りが減少します
  3. 実は、インボイスの登録(2割特例)をして、税込価格を据え置くと2.より悪化します。手取りは2.と同じく納税分が減少するのに、消費税の申告の手間・費用が発生するからです
  4. 登録して消費税を2割特例で納税するなら、1.85%の税込価格の値上げを獲得して、やっと手取りが同じになります。ただ、消費税申告のコストを考慮するとまだマイナスです。登録すれば数%の値上げOKなら(そこが難しいのでしょうが…)、登録すべきです

買い手の立場…税額の20%値引きを得ても損

  1. 相手が免税なら「税額の2割の値引きを獲得できないと損をする」と言われますが、実際はそれでも損をしています。1,100,000 を 1,080,000 に値引きできても、引ける税額は、1,080,000*10/110*0.8=78,545 なので、費用が 1,455 増えるからです
  2. かといって、費用が同額になるように、さらなる値引きを要求すると、下請法など別の法律に引っかかってしまいます
  3. 「費用が 1,455 増えるなら、その分、法人税が安くなるからいいか?」と一瞬思うかもしれませんが、費用が増えても、粗利率が同じなら、売価に転嫁されて収益も増えるので、法人税は安くなりません(東京電力は、個人からの電力買い取りの消費税が引けなくなるので、売価を値上げします)
  4. 売り手に登録してもらい、税込価格を据置きして、買い手はいままでどおりです。ただ売り手 3. で見たように、売り手のコストはアップするので、売り手の持続可能性を考慮すべきときもあるのでは、と思います

国(税務署)の立場…これまで損していたので今後は得

  1. 税金を取る方の立場からすると、売り手と買い手がどのような交渉をしようが、インボイス制度開始後は、税収は増えます
  2. 制度開始前は、買い手は消費税を満額引いているのに、売り手が消費税を納税していなかったので、国が損を被っていたともいえます
  3. 売り手が免税事業者のまま税込価格を据え置いても、買い手の引ける税額が2割減るので、その分、税収アップです
  4. 売り手がインボイス登録して価格を据え置いても、売り手が新たに納税するようになった分、税収アップです

田中農場 七割 純米酒(鳥取)

初めて諏訪泉を買ったのは、10年くらい前で、いまとはラベルが違います。

2023年はうさぎ年で、ふつうの諏訪泉は「うさぎラベル」(因幡の白うさぎの伝説にからめています)に変わりました。

そのときに、味も少し変わったのか、「うさぎラベル」の諏訪泉は、独特の色合い、味はそのままに、ちょっと飲みやすくなったように思えました。

10年前に飲んだ諏訪泉の味に近いのは、「田中農場」のような気がします。より古風なスタイルになっています。

例によって新橋駅の銀座口から横断歩道の向こうにすぐ見える鳥取・岡山のアンテナショップで買えます。

もちろん通販でも買えます。通販で買うと、手書きの挨拶状がついていたり、その後DMが来たりして、けっこう頑張っている感があります。

血縁者が鳥取にいるので、鳥取県のことは応援しています(親戚は大雨の被害には遭わずにすんだようですが……)。

昨日土曜日のSteam斬サム(サムコレ)

夜9時から10時半まで。前にも対戦したトップランクの方と数連戦。1回だけ勝てました!(VS骸羅) この日はなぜか、初めて見かける3名の方と8戦もできました。最近人がいなかったので嬉しい。現在の勝率は55%です。

古巣に刺激を受けて、行動を変えよう 前職、母校、昔の趣味…

とかく、現状の延長線上で日々を生きてしまいがちです。

その自分を変えるキッカケは、自分の過去かもしれません。

前の職場の「今」に刺激を受ける

コロナが始まった頃、在宅勤務だ緊急事態だと言われても、私はあんまり危機感を持っていませんでした。

でもふと、前職のホームページを見ると、すでに在宅勤務を開始しているというのです。

これには驚いて、自分もやらなければいけないと思い、自宅用のデュアルディスプレイを買い、在宅勤務を始めました。

身近だったものが変化すると、他人事じゃないと思えるのかもしれません。

母校の同級生の「今」に刺激を受ける

べつに、同窓会に出たりはしないのですが、母校の同窓会名簿を買うのが好きです。

掲載拒否者や、住所が実家のままの者、そして住所不明者が多く、内容の正確さはかなり不明なところがあるのですが、いまの職場などが分かって結構面白く、見入ってしまいます。

最近、数年ぶりに最新版が出たのですが、それを見ると、数年前まで普通に会社勤めをしているようだった同級生が、亡くなっていました。

ほとんど話をした記憶はない人でしたが。この数年ということはコロナなのか、事故なのか。びっくりしました。

同時代に母校にいた者の中では唯一の死者でした。同窓会名簿で死を身近に感じました。古巣には、他人事と感じさせない力があるように思えます。

過去の趣味の「今」に刺激を受ける

昔はまったものの、就職や受験勉強で離れてしまった趣味。いったんやめてしまった自分とは異なり、やりつづけている人たちがいます。

そういう人たちの大会(ここでは対戦型格闘ゲームの大会のことですが)を見たりすると、やめずに続けていた人たちの熱気や強さに心打たれるものがあります。

一度ははまったものだから、そこに心が動くものが確かにあったはず。それをもう一度試してみると、新しい知識やテクニックが発見されていて、驚くことが多いです。

新知識で、ゲームのプレイスタイルも変えることができます。

びっくりするために生きて、生き方を変える

『メメンとモリ』(ヨシタケシンスケ)で、「幸せになるために生きているのではない。びっくりするために生きているのだ」というような文章があり、けっこう共感しました。

なかなか日常では、びっくりすることがありません。なので、変わらない生活が続いてしまいます。

そこで、びっくりして、行動を変えるためには、あえて過去に立ち戻ってみるというもの方法の一つじゃないかなあと思ったしだいです。

「温故知新」というやつですね。

「土地の無償返還に関する届出書を出します」と言われたら知っておきたいこと

社長の個人所有の土地に、自分が100%株式を持つ会社の建物を建てた場合、税理士から「社長と会社の連名で土地の無償返還届出書を提出する」と言われると思います。

「???…」と思うと思います。

土地の返還というのは、「貸した土地を返してもらう」という意味だというのは、分からなくもない。建物を建てるために土地を借りた自分の会社が、その社長に返すのだと。

でも、「土地を無償で返還する」とは??? 頭の中は???でいっぱいではないでしょうか。

建物の敷地にする目的で他人に土地を貸すのは、土地の一部を売るのとほとんど同じ

実は、自分の土地に、他人に建物を建てられてしまうというのは、大変なことなんです。

社長は、自分の土地に、自分の会社の建物を建てたので、何とも思わないかもしれませんが。

相手が自分の会社ではなく、第三者だとすると、「土地を返して」と言っても、相手はもう建物を建ててしまっているのですから、「この建物を壊して返せってこと? そんなの、すぐにはできない」と言われるでしょう。

すると土地オーナーとしては、「じゃあ、すぐに返さなくていい代わりに、通常の地代だけじゃなくて、もっと多く払ってよ」と言いたくなります。

ここで、社長の持つ土地の権利のうち、「建物を建てるために土地を借りる権利」をばらして売ることで、その追加の代金をゲットすることになります。この権利を借地権といいます。

土地の一部を、借地権として売る、というイメージです。

土地のオーナーが、建物のオーナーに借地権を売って得る代金のことを、「権利金」といいます。

他人所有の建物の敷地は、すぐに返還されないことが前提のため、この権利金は、非常に高額になります。「これだけもらえるなら、自分の土地にあなたの建物を建てていいよ」。それに建物オーナーが納得して権利金を支払ってくれれば、土地オーナーとしても納得がいくわけです。

もし、土地オーナーがどうしても土地を返還してほしい場合、借地権を買い戻すことになります。

さっきと逆で、土地のオーナーが借地権を買い戻すために支払う代金のことを、「立退料」といいます。

こういう、第三者同士が、お互い損しないように取引すること(経済合理性がある取引)について、税務署は何も言いません。

土地オーナーが立退料を払って(有償で)借地権を買いとる(土地を返還してもらう)こと、これが「土地の有償返還」です。

社長と会社は身内なので、借地権に値段をつけないのがふつう

しかし、社長と自分の会社という身内間で、会社の建物の敷地にするために社長の土地を貸しても、借地権を高額で売ったりしません。

厳密には、自分の会社とはいえ、社長と別の人格が所有する建物が建っているわけで、借地権は存在します。

ただ、社長は会社から権利金を1円ももらわなかったので、この借地権の金額は0円なのです。

社長は、会社に借地権を代金(権利金)0円で売りました。なので、会社から借地権を買い戻す(土地を返還してもらう)ときも、その代金(立退料)は0円になります。

つまり、社長は会社に立退料を1円も払わない(無償)で借地権を買いとれる(土地を返還してもらえる)、これが「土地の無償返還」です。

身内間では「ただ」がふつうなので、会社が「ただもらい益」を計上せずに済ますために出すのが「無償返還届」

この土地の賃貸借取引について、社長と会社との間で契約書を交わします。その契約書に、この「土地の無償返還」についての約束があることが前提です。

このような約束ができるのは、社長と会社が身内同士だからです。

建前では、会社はあくまでもうけを追求する組織なので、ただで借地権を社長からもらったら、実際の支出額とは別に、借地権の時価の「ただもらい益」を計上するのが原則です。

実際には、身内同士では権利金・立退料をやりとりせずとも、借地権を売買(土地を貸したり、返してもらったり)できるので、特別に「ただもらい益」を計上しないという扱いを税務署にしてもらえます。

ただし届出制で、そのための届出書が「土地の無償返還に関する届出書」なのです。

会社が「ただもらい益」を計上しないので、法人税が課税されないという意味で得しますし、社長も権利金相当額の収入を得ずに済むので、所得税が低くなるという意味で得します。

長い目で見れば、単純に節税とはいえない点に注意

しかし、これは現世利益型の節税にすぎないことには要注意です。

もし第三者の建物オーナーに貸していたら、簡単に返してもらえないことから土地の価値は激減するところ、身内に貸したら簡単に返してもらえるため、土地の価値はあまり下がりません(もし賃貸借でなく、使用貸借と認定されたら、1円も下がりません)。

また、価値が下がった場合は、建物オーナーの会社の株価がその分アップします。会社のオーナーが社長なら、社長の相続財産が増える可能性があります。

よって、社長に万一のことがあった場合、土地にかかる相続税は、身内に貸した場合のほうが高くなります。最終的には、得した法人税・所得税が(ある程度)相続税で取り戻される、という仕組みになっています。

何でそんな仕組みになっているのかというと、「身内の土地に気軽に借地権を設定して節税しようとする行為」を防ぐためです。

自社の請求書のインボイス対応 9項目が載っているか確認しよう

ふつうのことが載っていれば、下準備は済んでいる

インボイス制度といっても、すでに消費税を納めている方でしたら、そんなに恐れる必要はありません。

あくまで、現実の商慣習に乗っかっただけの制度ですから、お手元の請求書だって、すでに一部対応しているはずです。

インボイス制度の前からも、請求書に載せるべき項目は決まりがあって、次の6項目でした。

  • お客様の名前(自社が小売りなどの場合は不要)
  • 自社の名前
  • いつの売上か?
  • 何の売上か?
  • 軽減税率の対象はあるか?(なければ省略可)
  • 税率別に合計した税込金額

これらは、別に税務署のためというよりは、自分とお客様とのために、ふつうは載っている項目です。

万一、もれていたら、インボイス制度開始(2023年10月1日)以後も同じなので、直しておきましょう。

意外に載っていないのが、「いつの売上か?」です。請求書の発行日は載っているけど…というやつです。自社の売上を立てる基準日をもとに「何月分」と明示しておきます。

インボイス制度で追加するのは3項目

インボイス対応のために追加する項目は、今まで求められていなかったものですから、なくてふつうです。自社がインボイス登録を済ませたら、次の3つを追加します。

  • 自社の登録番号
  • 税率
  • 税率別の税額(税率別の合計額から算出したもの)

特に、軽減税率(食品、定期購読の新聞)のものがなければ、税率を表示していなかった場合も多いです。「10%」とか「8%」とか、入れておきましょう。

あと、これまで、請求明細の項目ごとに消費税額を計算(複数回の端数処理)していて、その合計額を「消費税」として表示していた場合は、そのやり方を変える必要があります。

税抜合計か、税込合計から、消費税額を計算(1回だけ端数処理)する必要があります。端数処理が多いと、税込金額が減ってしまう(国の立場からすると、税収が減ってしまう)からですね。お客様はうれしかったと思いますが。

請求書上の控除項目を設定していた場合は、お客様の登録番号も必要になる

これも多いのが、お客様から同時に購入もしていて、その代金を自社の請求額と相殺(控除)している場合ですね。

お客様との話し合い次第ですが、当社の請求書を購入のインボイスにする場合、相殺の取引内容についてインボイスの9項目を満たしたうえで、次のように記載をします。

  • お客様の登録番号を追加
  • 「請求書発行後2週間以内にご連絡がなければ、相殺内容のご確認をいただいたものとします」

もしくは、請求書上での相殺をなくして、ちゃんとお客様から請求書(インボイス)を出してもらうようにするかです。

まとめ インボイスに必要な9項目(軽減税率なければ8項目)

  • お客様の名前(自社が小売りなどの場合は不要)
  • 自社の名前
  • いつの売上か?
  • 何の売上か?
  • 軽減税率の対象はあるか?(なければ省略可)
  • 税率別に合計した税込金額
  • 自社の登録番号
  • 税率
  • 税率別の税額(税率別の合計額から算出したもの)

請求内容・相殺内容が、そもそも消費税のかからないものでしたら、もちろんこれらの項目を満たす必要はありません。