請求書に旅費交通費・郵送費を実費請求するときに間違いやすい事項

弁護士・司法書士・行政書士のようなお仕事をされていると、お客様に送信する請求書の内訳に、実費請求額を含めることがあります。

  • 宿泊費
  • 旅費交通費
  • 郵送費
  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 行政手数料

この実費請求は、請求書の記載を間違いやすいところなので、チェックポイントを紹介します。

山下公園・青天白日

消費税額の計算の対象からもれている

ご自分の請求書をインボイスにするためには、消費税額を記載する必要があります。

よくあるのが、請求書上の「その他費用」の欄に「旅費交通費」や「郵送費」の実費請求額を入力してしまうことです。

業務ソフトによりますが、通常、この欄に入力すると、消費税額の計算対象からもれてしまいます。

これらは、事務所の報酬基準や契約として、報酬+実費を請求するとなっているとか、単に報酬額を低く見せたいといった理由で、内訳として旅費・郵送費を明記していることが多いです。

しかし、内訳を明記したところで、これらがご自分の売上(消費税のかかる課税売上)であることには、変わりありません。

立替払いをしたつもりかもしれませんが、会社員時代のように、依頼人宛名の請求書・領収書をもらって、これらと引き換えに経理部からお金を受け取る(経費精算する)のでなければ、立替払いとは言えません。
そうでないのに、立替金勘定をつかって経理をしても、その請求額は売上となります。

実費弁償金の課税|国税庁

これら旅費・郵送費等は、報酬額の欄に入力するのが正しいです。
その場合、税込の実費を税抜金額で入力しなおす手間が生じて、やりきれないとお思いでしょう。

であれば、ラウンドした数字で請求するのもひとつの方法です。
レシートを請求書に添付するわけでないのですから、実費でなくてもいい、と割り切ってみましょう。

源泉徴収税額の計算の対象からもれている

上記のように、旅費・郵送費等を報酬額に入れていなかったとすると、源泉徴収税額の計算の対象からも、もれていることになります。

法人のお客様(または従業員を雇っている個人のお客様)の源泉徴収税額が少なくなっているのです。

No.2798 弁護士や税理士等に支払う報酬・料金|国税庁

士業用の請求書フォーマットだと、税抜報酬額と消費税額が区分されていることがほとんどでしょうから、税抜報酬額(旅費・郵送費等を含む。司法書士など一部士業は、報酬額-10,000円)×10.21%で源泉徴収税額を計算することになります。

No.2801 司法書士等に支払う報酬・料金|国税庁

Excel等で請求書を作成されている場合は、ぜんぶ税込金額で計算していることもあろうかと思います。
その場合は、税込報酬額(旅費・郵送費等を含む)をベースに源泉徴収税額を計算します。
この場合、手取りが若干少なくなりますが、確定申告で精算されますので、長い目で見れば損得はありません。

ちなみに、行政書士の報酬は源泉徴収されません。
メインの資格と別に、行政書士業務を行っている場合は、その報酬の請求書について、源泉徴収税額の欄をそもそも設けないことに注意しましょう。

登録免許税、印紙税、行政手数料は

ここまでの宿泊費、旅費交通費、郵送費等とは別に、

  • 登録免許税
  • 印紙税
  • 行政手数料

を請求する場合もあります。

これらは、請求書の「登録免許税又は印紙税」欄に記載して、消費税の計算対象からも、源泉徴収税額の計算対象からも除いていいものです。

これらの税金や行政手数料は、そもそも依頼人が負担すべきものなので、士業の方が受け取っても、売上にはなりません。

先に受け取ったら預り金に、先に支払ったら立替金で処理します。
もちろん、実際の税額・行政手数料の額と同額となっていることも必要です。

ご自分の請求書の控えを見直してみて、問題がないか、一度チェックしてみましょう。

近況報告

「ふつうの軽音部」の最新話を読む。前の話が気になって、1巻から読み返してしまったり。
19日の確定申告勉強会の準備をするなど。

1日1新:スーパーマーケット リコス