簿記や税金の勉強を、ソフトにあてはめる

日商簿記3級(私も持っています)を勉強すると、個人事業主としての会計処理が学べます。

また、税金についての勉強もされている方も多いでしょう。

大きな会社では、経理部や税務課という部署があって、それぞれチームで会計や税務を学んでいるのですが、小さな会社では、ひとりでこれらを把握する必要があります。

問題は、この知識を実際の青色申告にそのまま使えるのかどうかです。

最近流行りの一口本屋さん。ここにも収入と経費が発生

勉強しているからこそハマってしまう

やよいの青色申告や、freee会計スタータープランをお使いの方でよくある質問が、

  1. 生活費と経費の両方にまたがる費用は、家事按分する必要がある
  2. だから、当初の入力から事業割合で按分した金額を入力していた
  3. なのに申告にあたって、さらなる家事按分を求められてしまった

というものです。

家事按分ということを知っているのは、すばらしいことです。

でも、その知識を実際に会計アプリに入力するにあたって、戸惑うのは、ふつうのことです。

勉強で学ぶ内容が、そのままソフトウェアに反映されているわけではないので、そのソフトのふるまいにも対応する必要があるわけです。

いわゆる、「受験勉強と実務との違い」というもので、税理士でもしばしば悩まされます。

この場合、相手科目が事業主借なら、事業割合100%で通してしまえばいいのですが。

家事関連費の入力方法

いわゆる青色申告のソフトでは、地代家賃・水道光熱費などは、まず、実際に支払った全額を入力します。

なぜかというと、これらの経費を事業用の預金口座から払った場合、実際の引き落とし額で入力しないと、預金残高とずれてしまうからですね。

経費と事業主貸でつど2回入力することは、会計ソフトでは想定していません。

最後に、青色申告決算書の作成の段階で、事業割合に応じて、支払金額を経費額に直します。

電気代・ガス代・水道代のように、内容によって事業割合が異なるのに、全部「水道光熱費」にしてしまった、というお悩みもよく聞くところです。

やよいの青色申告では、水道光熱費に補助科目を設定すれば、補助科目ごとに割合を変えられます。

ただ、補助科目は、面倒になる部分もあります。

あらたに「勘定科目の登録」で別の勘定科目を作ってしまうのも手でしょう。

家事費と経費のイメージづけは

売上が増えてきて、税負担・社会保険料の負担を感じられるようになってくると、「あのレシートも取っておいたほうがいいのかな」とお思いになるかもしれません。

ただ、レシートがあれば経費になるのではないです。

とはいえ、仕事に使ったと言えればいい、というのでは漠然としてしまいます。

毎年利益が出ている状態なのであれば、売上の中から払うのが、経費。

仕事をして、お金がたまり、貯金の中から払うのが、生活費。

こういうイメージでもいいと思います。

売上の中から払うのだから、売上以上には払わないよね。というのが経費です。

お金が貯まったら、好きなもの・食べ物に高いお金を出してもいいかな、というのが生活費・家事費です。

(赤字になりがちな開業間もない方には、この考え方はあてはまりませんが)

なお、青色申告決算書の金額は、いわゆる会計の数字ではなく、事業所得・不動産所得の計算のためのものです。

必要経費の額や、青色申告特別控除額は、お金が出て行った額ではありません。

実際の支出額を見たいのであれば、決算書の前の、家事按分する前の試算表の経費合計に注目する必要があります。

それに、衣食や医療費、納税(個人事業税・固定資産税以外)といった生活費をプラスしたものが、総支出です。

所得の計算と、出て行ったお金の計算とは、分けて考えましょう。

編集後記

確定申告のお客様に申告書の控えと資料をお返しして、今後の節税策を提案するなどしました。

その後、ホームページから「茶飲み相談」のご依頼もいただきました。ご自分で青色申告される方の単発相談、まだお受けしています。