相続した上場株式を、一般口座で売却した場合の注意点

相続した上場株式は、一般口座に受け入れられることが多いです。

このまま、一般口座で上場株式を売却すると、特定口座のように、証券会社が売却益や税金の計算をしてくれません。
ご自分で確定申告が必要です。

この場合の注意点をお知らせします。

日限地蔵尊(横浜市港南区)

証券会社の資料でも取得費が分からない

相続した株式で、もともと一般口座で管理されていたものは、相続人の一般口座に移管されます。

また、株券がある時代からあった、先祖代々の株式で、特別口座で管理されていたものも、相続時に一般口座に移管されます。

ネット証券で売却した場合、確定申告用の年間損益計算結果をPDF・CSVでダウンロードできますので、探してみましょう。

この資料は、証券会社で取りまとめた、譲渡収入金額と取得費(経費)の年間合計額を表示しているものです。
申告書上のどこに何を転記すればよいか、分かりやすく示してくれたものもあります。

ただ、相続で、他の証券会社の口座から移管した場合、そこに表示されている取得費は、そのまま使えないことがほとんどです。

その証券会社で購入した株式であれば正しい取得費が載っているのですが、相続で取得した場合は、仮の金額になっている場合があります。
例えば、相続後、移管した日の終値(つまり、相続した年の時価)になっていたりするのです。

相続した株式の場合、被相続人の方が買った金額(何十年前であっても)を取得費とするのが正しいので、証券会社の資料にある取得費の金額は、使えません。

取得費の調べ方。調べても分からない場合

先祖代々相続している場合だと、先々代が買った金額にするのですが、なかなか分からないことが多いです。

その場合の取得費の調べ方は、国税庁が案内を出しています。

上場株式等の取得価額の確認方法

古い株券が現存していて、裏面に親・祖父母の名前があり、名義書換日が分かる場合は、その日に取得したとみなしてよいことになっています。
そこで、最初に取得した親・祖父母の年月日を調べます。

その年月日の翌日の新聞で、前日の終値を調べる……という方法で1株あたりの取得費を求めることもできます。
図書館のデータベースなどを利用するのです。

といっても、株式の併合や分割もあると株価の調整も必要で、その歴史をたどるのはなかなか困難です。
取得年が古く、なかなかそこまでできないという場合は、売った金額の5%を取得費としてよいというルールがあります(概算取得費)。

その場合、納税額は多くなりますが、それほど昔に取得した上場株式であれば値上がり益があるはずですので、そこに税金がかかるのは、譲渡所得の原則からいって、やむをえないことです。

ただ、ケースによってはここから節税の余地はあります。
もし、その相続した株式について、相続税がかかっていた場合は、取得費加算の特例で取得費を増やし、節税できる可能性があります。

さらに、次のことにも注意しましょう。

その年の所得が株の売却益だけなら、所得控除を集めよう

確定申告にあたっては、年金などのすべての収入と、所得控除証明書のあるものを集める必要があります。
確定申告書上で、「所得から差し引かれる金額」に列挙されている項目です。

しかし、相続する世代になると、年金以外の収入がないことも多く、所得控除がどれだけあっても、所得が0となり、年金からの源泉徴収税額が全額還付される効果しかありません。
所得が0になった時点で、それ以上の所得控除の書類を集めても意味がないこともあります。

ただし、今回のような場合で、一般口座での上場株式の売却益以外の所得がないのなら、所得控除が受けられるものは、すべて受けるようにしたほうが、お得です。

これらの所得控除で総合課税の所得を0にしたあと、あまった所得控除は、上場株式等の売却益(分離課税)からマイナスすることができるからです。

似たパターンで、退職金(分離課税)しか収入がない年であっても、所得控除を受けられるだけ受ければ、退職所得をマイナスでき、退職金から天引きされた源泉徴収税額を還付してもらえることもあります。

近況報告

確定申告のお客様に資料を返却し、楽しくお話するなど。仕事は佳境に入ってきました。
そんな中でも、アラン『彫刻家との対話』をちょっと読みました。
仕事に関係ない本を読むのは好きです。

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