補助金に含まれる消費税を返還する場合、しない場合の違いは

補助金を狙うべきか?
これは、事業の状況によります。

私は、フリーランスの方や、独立開業間もない方には、おすすめしていません。フリーランスの方は、補助金にまつわる事務の時間があったら、営業や仕事をしたほうがいいです。

補助金申請には、かなりの時間と手間がかかるうえ、もらえるとは限らないからです。
なんなら、もらったはずのお金を返せと言われることまであります。

ただ、NPO法人など、積極的に狙いたい経営者の方もいらっしゃるでしょう。

山梨の御屋形様

補助金を申請してもいい事業者は

それでも、補助金の申請をしてもいいのは、自社が次のような状態にある場合です。

  • 自分が動かなくても売上が立つしくみがある
  • 知り合いの経営者が、すでにその補助金申請をしていて、ノウハウを教えてもらえる
  • もともと行政との仕事が多く、申請書類の作成に慣れている
  • 補助金等の収入がメインのNPO法人や一般社団法人などで、前にやったことがある

補助金申請サポートを、補助金額の50%などといった成功報酬で請け負う、という案内が来ると思いますが、コストかけすぎかなあ……とは思います。

私は、成功報酬は取りませんが、会計周りはタイムチャージで申請のサポートをすることはできます(顧問契約外の仕事としてお受けします)。

NPO法人なら、地元で行われているNPO支援の無料相談を利用されるのがおすすめです。
神奈川県の場合:ボランタリー活動相談窓口 – 神奈川県ホームページ

次の募集タイミングで、前回の反省をもとに再チャレンジするほうがいいでしょう。
事務局の人とも疑問点をしっかり聞いておき、次に生かしたいところです。

補助金の仕入控除税額を返還しなければならないのは

結果、めでたく補助金がもらえたとしても、「助成金に係る仕入税額控除税額を返還せよ」と規定されている場合があります。

その理由は、「補助金の支給しすぎ」になるからです。
極端な説明ですが、もし、補助金をもらった年の売上が0円で、330万円の補助金をもらい、330万円の備品を購入した場合。

収入 +330万円
支出 △330万円(売上0円=課税売上割合95%未満のため、個別対応方式:課税売上対応10%)
消費税の還付 +30万円 → +30万円のもうけ

330万円の支出のために330万円の補助金を出したのに、さらに国から30万円還付となり、国・地方公共団体と合わせて実質360万円支給したことになる、と補助金を出す側では考えます。

そこで、この多すぎる30万円は、国等に返還する必要があるのです。
(実際には、この全額ではなく、一定の割合で計算した額を返還します)

補助金の仕入控除税額を返還しなくていいのは

補助金を使って課税仕入れを計上することで、消費税の還付を受ける可能性があるから、返還してもらう。

ということは、消費税の還付を受ける可能性がなければ、返還しなくていいのです。

  • 免税事業者:還付を受けることがないので、返還しない
  • 簡易課税:還付を受けることがないので、返還しない
  • 公益法人等(一般課税)で特定収入割合>5%:補助金収入が収入に占める割合分、仕入控除税額が減少するので、返還しない
  • 補助金の全額を非課税売上対応の課税仕入れに充てた場合(一般課税):仕入控除税額が0円なので、返還しない
  • 補助金の全額を非課税仕入れに充てた場合(一般課税):仕入控除税額が0円なので、返還しない

この、返還しなくていい場合のリストは、消費税とはどういうものか、その理解の参考にもなります。

NPO法人、一般社団法人等の収益事業課税の法人税

なお、補助金は、NPO法人等の収益事業課税の事業者の法人税にも関係します。

補助金等が、雇用調整助成金のように収益事業の経費を負担するものの場合、収益事業の収益として、法人税がかかります。
とはいっても、人件費等が発生すれば、その分は引けます。

それ以外の、収益事業用の固定資産の購入に充てる場合は、法人税がかかりません。
圧縮記帳もせずに、減価償却費は収益事業の経費になります(資本金で固定資産を買ったのと同じ扱いにするため)。

もし補助金をもらって、取扱いが分からなくなったら、税理士に相談してみてはと思います。

近況報告

ホームページをちょっと改修。WordPressテーマLightningで、トップ画像のスクロールを止めるには、画像を1枚だけアップし、残りの2枚を削除すればいいという知見を得た。
夜は相続税の研修に出て、そのまま横浜の「ふつうの軽音部 collaboration cafe」でグッズを購入。

1日1新:ふつうの軽音部 collaboration cafe