公示地価を路線価に換算するExcel関数 あるいは路線価発表前に路線価を推測する方法

相続税のことを考えるにあたっては、まず、ご自分の財産がどのくらいの金額なのかを知る必要があります。

ご自宅を所有されている場合、その不動産の相続税評価額(買った値段ではありません)を求めます。

それに、預金など金融資産の合計額を足していただきます。

配偶者とお子様2人のご家庭でしたら、その合計額がざっくり5000万円以上あれば、相続税の申告が必要ということになります。

特例で税金がかからないとしても、特例を受けるための申告が必要です。

相続財産のうち多くを占める土地は、「路線価」で相続税評価額を計算します。

その路線価は、毎年7月に発表されます。では、それまでの7カ月間、最新の路線価が分からないのかというと、Excelで推計できるのです。

これで、路線価発表の4カ月前に、自分の最新の財産額を知ることができ、相続税に驚かずに済むメリットを得ましょう。

毎年3月発表の公示地価を調べる

毎年3月頃に公示地価が発表されますので、そのときに、公示地価地点の路線価は推計することができます。

財産評価基準書(路線価図はここにあります)|国税庁 (nta.go.jp)

ご住所のある去年分の路線価図を見たときに、ご自宅近くに「公19」などと囲われたものが見つかればラッキー!

ここが、公示地価が出ている地点です。

その地点の公示地価は、次のサイトで確認できます。

不動産情報ライブラリ (mlit.go.jp)

これが分かると、この地価公示のある目の前の路線価は、Excelの計算式で求められます。

路線価が300千円未満の場合

3月発表の公示地価から、今年の路線価を求める計算過程は、計算結果(路線価)が300千円未満となる場合、次のようになります。

公示地価が 204,000 円の上記の場合、

=204000*0.8 →163200

=163200/10000 →16.32

=INT(16.32+0.5)*10000 →160000

=IF(AND(16.32-INT(16.32)>=0.3,16.32-INT(16.32)<0.5),160000+5000,160000) →165000(=路線価:165千円)

原則として、路線価は公示地価の80%なのですが(統計的に、年始から年末までの間に20%以上の価格下落が起こる可能性が低いため)、その計算結果である路線価が300千円未満の場合、

  • 3千円以上は5千円に切上げ
  • 3千円未満は0千円に切り捨て

です。つまり、300千円未満の路線価は、必ず5千円刻みで表示されます。

路線価が300千円以上の場合

これに対し、公示地価から路線価を求めた結果が300千円以上になる場合には、路線価は必ず10千円単位で表示されます。

そのため関数もシンプルです。

公示地価が 470,000 円の場合、

=ROUNDDOWN(INT(470000*0.8/1000+0.5)*1000,-4) →370000(=路線価370千円)

太字部分を、任意の「セル参照」にして、計算してみましょう。

最後にご自宅の今年の路線価を比率で推計する

これで、今年の公示地価から今年の路線価を推計できます。

  • 公示地価のある地点(ご自宅近く)の去年の路線価と、ご自宅の去年の路線価との比率を求める →下表のE
  • 先ほど推計した今年の公示地価のある地点の路線価に、その比率をかけて、今年のご自宅の路線価を推計する

という手順を踏みます。

項目円または比率
A: 2024年3月発表の公示地価(ご自宅の最寄り)470,000
B: 2024年の公示地価地点の予測路線価370,000 (前のExcel算式による)
C: 2023年のご自宅の路線価330,000
D: 2023年の公示地価地点の路線価350,000
E: C÷D0.94285714…
F: B×E348,857
G: 2024年のご自宅の予測路線価350,000 (30万円以上なので、Fの千の位を四捨五入)
H: 2024年7月発表のご自宅の路線価350,000 (一致)

Excel関数でいうと、

=ROUND(348857,-4) →350000 または、

=INT(348857/10000+0.5)*10000 →350000

となります。ROUND関数の四捨五入の挙動に確信がないため、私はINT関数をよく使います。

けっこう手間でしたね! ですが、私はこういう計算、大好きです。

あくまで推計なので、7月になってみたら違った! ということもあります。ご承知おきのほどを。

今日のお酒

ハートランドビール。年齢とともに好みが変わって、それほどハートランドが好きではなくなったかも。