短期の前払費用、消耗品費等の棚卸の処理を省略する

税金の計算に影響を与えないものについて、こだわりすぎないのが、経理の時間短縮のコツです。

まったくこだわらないのも問題ですが(税金以外に影響があるほど雑にはやらない)。

例えば、勘定科目をちょっと間違えたことで、誰かに怒られることはありません。

経費の総額が変わらず、結果、税金も変わらないからです。

コーヒーの外側は棚卸をすべきものか?

中小企業退職金共済の掛金を前納したら

従業員の福利厚生として、中退共の掛金をかけていることがあるでしょう。

月5000円から3万円まで外部に積み立てておけば、会社で退職金原資を貯蓄していなくても、外部からその人に直接退職金を払ってもらえます。

その掛金は、払ったときに経費になります。未払では費用になりません。

また、掛金は前納もでき、その場合は、翌期分の掛金も、払ったときの経費になります。

短期の前払費用は、資産計上しなくてよい

翌期の分を前払いしたら、経費にならないのが原則です。

前払費用として、資産計上します。

ただ、毎年一定額を払い、一定のサービスを受け続けるようなもの(Microsoft 365の利用料など)は、金額も大きくないですし、資産計上した場合と、しなかった場合とで、経費の額が変わりません。

資産計上しなかった初年度(経費が多くなる)と、資産計上に戻した最終年度(経費が少なくなる)だけ、変わってしまいますが。

その場合は、前払費用の計上を省略しても、税金の計算を間違えたことにはなりません。

毎年一定量を購入する消耗品も、資産計上しなくてよい

消耗品もそうなんです。

原則としては、棚卸資産として、期末の未使用分を資産に計上します。

でも、文具、梱包裁量、パンフレット、サンプル品など、毎年購入額に変動がなく、消費しつづけるようなものは、資産計上を省略して、購入額を経費にできます。

短期前払費用と同様に、これを厳密に資産計上しても、利益への影響が少ないからです。

企業会計原則の「重要性の原則」を税務も受け入れた一例です。

また、経費にした額は、消費税の計算上も、課税仕入れにできます。これも短期前払費用も同じです。

ただ二つ、注意点が。

短期前払費用・消耗品については、会計上の重要性の原則から、重要性の乏しいものに支出=経費を認めているので、金額的に莫大だったり、毎期末の在庫に多大な変動がある場合は、資産計上を省略できません。

また、消耗品といっても、販売する商品そのものを構成するもの(飲料の瓶、豪華な木箱で販売する商品の木箱、イラストを入れる額などは、商品として、棚卸が必要です。

期末に使わなかったものは、数を数えて、買った金額を乗じた金額を、経費から棚卸資産に振り替えておきましょう。

棚卸資産は、税務調査のチェック項目でもあります。

編集後記

昼は子どもたちの書道作品を見に。夜はWebセミナーを受講。