「言の葉の庭」は留保なしの良作です。新海誠世界が完成しています。ちゃんと映画になっています。伏線もきれいに回収されています。
村上春樹作品の影響をいうなら、間接的ですが映画「トニー滝谷」を彷彿させます。ナレーションから登場人物のセリフに移るところ、水平のカメラワークでページをめくるような雰囲気を再現しているところ。本もいろいろ出てきますしね。
上映時間46分の中編映画というフォーマットが斬新です。10~20分台の短編映画か、120分前後の長編映画が大半の世の中ですので。そして、前作比で焦点の定まった内容なので、この時間で短さを感じさせません。
ラスト、言の葉の矢が無数に放たれるシーン、2015年作の「心が叫びたがってるんだ。」に影響を与えているような、いないような。あと、スタッフロール後はまたしても続きがあるので、村上春樹流にスタッフロール中に退席する習慣がある人は気をつけてくださいね。