「星を追う子ども」は、絵がジブリのナディア・エヴァというのが第一印象ですね。この絵柄なのに怖い描写が多いので、お子様と一緒に御覧になるときには注意してあげてくださいね。
序盤の展開は、新海誠は「空」のビジュアル担当? というくらい作家色が薄いですね。ジブリで見たような人物が続々登場します。
中盤は地下世界を冒険するわけですが、穴に向かって広大なフィールドを横断し、気味の悪い種族に追われる過酷な旅は『指輪物語』的です。人物が色々出てくるのですが、なんとなく散発的な印象です。時間を長く感じます。
ラストシーンは、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を彷彿させる別れ方をします。戻ってもしょうがないからですかね。
散漫なお話に見えますが、「色々な形で死に接近して、死を理解する」という点では一貫しています。でも監督のキャリアの中では、次なるジャンプのためのしゃがみ込み時期のように思います。