青色申告会では、複式簿記を学ぶ簿記学校が開かれています(今度講師やります)。
でもいきなり複式簿記って言われても、ですよね。
分からないときは、漢字の意味から調べる
こういうときは、漢字をばらしましょう。
複
式
簿
記
です。ここの、「複」は、複葉機の「複」です。
複葉機といわれても……。あれです、ライト兄弟の人類初の飛行機とか、昔の飛行機で、主翼が2枚あるやつです。
つまり、「2」という意味です。
「複式」の部分は、英語で、「ダブル・エントリー」と言います。
2回記入する、くらいの意味です。
「簿」は帳簿の簿。「記」は記入するの記。帳簿記入の略とされています。英語では、「ブックキーピング」。
何と何でダブルか。これは、1つの取引による利益(損失)と、財産の増減との2つを記録するという意味です。
ダブルがあるということは、シングルもある?
あります、シングルも。
青色申告特別控除の10万円を引けるのが、シングル・エントリー・ブックキーピング。単式簿記です。
収入金額-経費=所得
で、所得(もうけ)を計算する方法が単式簿記です。つまり、利益だけを計算する単式簿記です。
が、この方法だと欠点があります。
収入や、経費が、これで全部なのか確かめる方法がないのです。
全部入れたつもりだけど……もれがないと言い切れるでしょうか。
もう一つの単式簿記が、年初と年末の預金残高を比べる方法
単純に、今年、どれだけもうかったかを知りたければ、別に収入・経費を集計する必要もありません。
12月31日の預金残高から、同じ年の1月1日の最初の残高を引けば、増えたお金がわかる。
これもある意味、もうけです。つまり、財産の増減だけを記録する単式簿記です。
しかも、自分のすべての預金口座(できれば借入金、カードの未引落し残高などの債務を引いた純資産額)について、年初と年末の金額を記録できれば、もれはありません。
そういう意味でも、メリットがあります。
ただ、これだと、内訳が分からないんですよね……。消費税とかは、収入の総額に対してかかるので、これだと計算できません。これがデメリットです。
この2つの単式簿記を組み合わせたのが、複式簿記です
この、メリット・デメリットが相反する2つの単式簿記を組み合わせれば、理想の簿記になりませんか?
なります。
子どものときにつけていた、現金出納帳(こづかい帳)がベースです。
お金が入ってきた、使ったあとの残りの残高を、実際の硬貨・紙幣の数と一致させることで、もれがないことを確認できる。
どういう理由で入ってきたか、出ていったかで、収入・経費の勘定科目をつけ、収支の差額で利益も計算できる。
これを、現金以外の預金についても行うし、いわゆるお金以外の財産・債務についても行います。
フリーランス、個人事業主の方の場合は、ここに生活費が関連してきます。
上の図は、
- 年初の預金(純資産)
- 事業所得(もうけ)
- 税金のかからない収入(借入金収入、児童手当など)
- 生活費
- 年末の預金(純資産)
という流れをあらわしています。
預金の純増額+生活費に税金がかかるという意味です。生活費は、税金のかかる対象なのです(だから、生活費を経費に入れてはいけないのです)。
生活費に使ったあとの残りのお金から納税するので、ちょっと負担に感じるかもしれません。
これを知っておくと、この図から、事業所得を逆算できます。
年末の預金+生活費-税金のかからない収入-年初の預金=事業所得です。
ここに、収入も経費も出てきませんが、これで事業所得がおおまかに正しいかを検算することもできます。(入金のタイミング等のズレはありますが、けっこう近い金額になっていればOKとしましょう)
通帳などで確かめられる残高を持つことで、収支計算の裏を取ることができる。
複式簿記の面白さを知ると、帳簿付けも楽しくなるかもしれません。
編集後記
TINK ARCADE 横浜で行うサムライスピリッツ斬紅郎無双剣の対戦会をXで告知し、5人の方に集まっていただき対戦しました。29年前に戻ったみたいで、元気が出ました!