これから開業する方から、株式会社か合同会社か、どちらがいいか質問されることがあります。
そのときも軽くお話ししましたが、結論としては、無難に株式会社をおすすめしています。
いちばん典型的な法人形態であるため、合同会社と比べ、会計や税務上のミスが生じにくいからです。
それでも、合同会社に興味がある方は、ある程度詳しくなってからのほうがいいと思いますので、その特徴を紹介します。

設立費用、維持費用は確かに合同会社が安い
費用だけを考えると、合同会社の方が安いです。
以下、電子定款で収入印紙40,000円がかからない場合の比較となります。
項目 | 合同会社 | 株式会社 |
設立登記 | 60,000円~ | 150,000円~ |
定款認証 | 0円 | 50,000円 |
現物出資の検査役の調査 | なし | 一定の場合、あり |
計算書類の公告義務 | なし | 一応、あり |
役員の重任登記 | 重任の必要がないため、0円 | 最長10年に1回 10,000円 ※資本金≦100,000,000円 |
そのためか、現在、合同会社の設立が増えています(株式会社のほうがずっと多いですが……)。
2024年「新設法人」動向調査|株式会社 帝国データバンク[TDB]
ですが、「安いから」だけで設立してしまうと、あとでいろいろ問題が出てくるかもしれません。
合同会社はからっぽの箱 自由度は高いが……
私の選定する日本三大合同会社は、
- グーグル合同会社
- アマゾンジャパン合同会社
- Apple Japan 合同会社
です。
手続きコストはもちろん、もうかっていることを公告したくない等、いろんな理由で合同会社が選ばれます。
合同会社をつくるのは起業する人が多いですが、一方で、こういった大企業がつくるものであるということも、知っておいていいと思います。
わかっている人が、フルスクラッチで作れるようになっているのが合同会社です。
反対に、定款で何も設計しないと、からっぽの箱のような存在になってしまいます。
何を決めればいいかわかっていないと、やりたいことができない、思ったのと違う会社ができあがるのです。
合同会社の定款で決めておかないと、あとで困ること
まず、合同会社は、定款で決めないと、役員報酬を払えません。
また、定款で社員総会を決めないと、役員賞与を払えません。
定款で決めたうえで、報酬の支払いが利益相反にならないよう社員(出資者)が承認した手続きを踏む必要があります。
そうでない場合、お金が出ていったのに、法人税を減らせないリスクがあります。
株式会社でも、株主総会等で決めた役員報酬総額を超えて払ってはいけない等、形式的なところも無視はできません。
さらに、定款で相続時に持分を承継できるように決めておかないと、1人しかいない役員が死亡したら、会社が解散になってしまいます。
定款で手当をしていないと、過去の利益の蓄積に応じ、相続人の相続税も重くなる可能性が高いです。
最初から法人を設立する場合、事業性の見込みがあって、今後けっこう稼ぐ予定なのではないでしょうか。
会社がうまくいき、とはいえ年齢的に続けるのは……となったとき、株式会社なら会社を売ることもしやすいです。
ここでも、合同会社では一部、制限があります(できない組織再編がある)。
決算承認や配当の仕組みも、株式会社と異なります。
あとから定款変更、あとから株式会社に組織変更……とならないよう、合同会社を、ふつうの株式会社のような設計にしたい旨、司法書士や税理士にご相談されておくのがよいでしょう。
近況報告
連休中は、内部的な仕事をしつつ、サムライスピリッツ斬紅郎無双剣のオンライン対戦会 #おうち斬サム と、餓狼伝説 City of the Wolves のMOVIE全出現を……。
また、親族でくら寿司に行きました。子どもたちは、本当に生魚を食べないな!
1日1新:freee Advisor Day 2025 申し込み

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細