遊べるアート、対戦できる芸術 SNK対戦型格闘ゲーム

SNKの最高傑作といえば、今年発売30周年を迎える、真サムライスピリッツであることは、疑いありません。

Steam サムライスピリッツ ネオジオコレクションのランクマッチでは、最高位のランク零の人数が、

  • サムライスピリッツ 2人
  • 真サムライスピリッツ 34人
  • サムライスピリッツ斬紅郎無双剣 34人
  • サムライスピリッツ天草降臨 0人
  • サムライスピリッツ零 0人
  • サムライスピリッツ零スペシャル 0人
  • サムライスピリッツ零スペシャル完全版 0人

というふうに、ユーザー層の厚さを誇ります。夜になってランクマッチにつなげば、対戦できない日はほぼありません。

30年前のゲームなのに。

ということで、もはや私見ではなく、客観的に真サムライスピリッツがベストゲームといえます。

音楽とボイス、グラフィック、キャラクター、ストーリー、ラスボス、スタッフロール、ゲームとしての楽しさ、これに心を奪われた人は多かったのではないでしょうか。だから、いまも遊ばれているのです。

ゲーム性よりも絵の美しさを優先したつくりもあり、その完成度は、まさに、遊べるアート・対戦できる芸術というべきものでした。

昔のSNKはすごかった

対戦型格闘ゲームとしては、カプコンの1991年のストリートファイターIIが、真のイノベーターであることは間違いありません。

先日のSNK開発者が出演した番組でも、「なんでこんな整合性のあるものが突然作れたのか分からない」と言われ、ショックを受けていました。

そのショックで、「カプコンがやっていないことをやろう」とSNKが打ち出した方針はすさまじいものでした。

  • 主人公が日本人? じゃあこっちはアメリカ人だ
  • 1ライン上で戦う? じゃあこっちは2ラインだ
  • 1ゲージしかない? じゃあこっちは2ゲージだ
  • 一発逆転要素がない? じゃあこっちは超必殺技だ
  • ストーリーがない? じゃあこっちはドラクエ並みのストーリーを入れてやる
  • 素手で戦う? じゃあこっちは武器格闘だ
  • 1対1で戦う? じゃあこっちは3対3だ

カプコンのゲームと違うゲームを遊ぼうと思ったら、SNKの格ゲーしかないのですから、こちらにハマるのも当然のことでした。

バーチャファイターシリーズのヒットですべては変わった

そのSNKの勢いも、すっかり影を潜めます。

バーチャファイターシリーズの大ヒットによってです。人気はともかく、インカムでは圧倒的な差をつけられてしまいました。

そこでSNKがとったのは、「バーチャファイターみたいなゲームをつくろう」でした。あと、カプコンのドットの塗り方がアニメ調に変わったら、SNKもそれにならうなど、まねっこになっていきました。

そこからの衰退は速かったですね……。ここから学ぶものは多いです。

サムライスピリッツシリーズも、バーチャのように体力が減って一瞬で決着がつく斬紅郎無双剣。

または自社の真似、真サムライスピリッツへの回帰を狙った(色のつけかた、ストーリーの充実)天草降臨。

バーチャみたいな3D格ゲーのハイパーネオジオ64作品2作。

90年代後半は、「他と違うことをやるぞ!」という気持ちが失われてしまったような気がいたします。(武力ONEのボタンで移動、レバーで攻撃!にはSNKの魂を見ましたが……)

まねっこをしても仕方がない

経理とか、税務というのは、ふつうがいちばんです。守りの世界では。

でも、攻めの世界でふつうをやっていたら、選ばれません。

カプコンと違うことをやっていたから、SNKは選ばれた。

でも、バーチャファイター(セガ)と同じことを始めたら、選ばれなくなった。だったらバーチャやってたほうが楽しいですもんね。

実際そのとおりになりました。

対戦型格闘ゲーム戦争は、いまを生きる私たちにも、多くの教訓を残しているのでした……。


今日の出先

東京地方税理士会横浜南支部 研修会・定例会・税務連絡協議会