今日、10月30日は、2001年に、一世を風靡したゲームメーカー、株式会社SNKが破産宣告を受けた日です。
私は、SNKのゲームのファンでした。(いま、20年ぶりにファンを復活させていますが)
通常は、破産手続開始の申立てをし、破産手続開始決定でおおやけになり、最終的に同時廃止か清算結了となって、法人はなくなっていきます。
SNKの場合は、その手前の、再生手続開始申立てをしたものの、民事再生手続廃止決定となったものです。
SNKがつぶれてしまった原因は、私は当時のユーザーとしての視点でしか知りませんが、他山の石として、振り返ってみましょう。

成功しすぎてしまった
1990年代半ばまでのSNKは、非上場会社ですから財務状況を知る由もないのですが、大変もうかっていたのでは、とみています。
地元戸塚のゲーセンにも、SNKの社員が大量の100円玉を回収に来ていました。1996年頃、見かけたものです。
両親からは、昔はインベーダーブームというのがあって、あまりに流行ったため、1日に2回も回収に来たという話を聞きました。
両親ですらプレイしていたそうです。
もちろん大手のカプコン、セガよりは下回っていたとは思いますが、当時の社員が、『週刊ファミ通』誌上で、「SNKの社員というだけで住宅ローンが通った」と話していたので、優良企業だったはずです。
ネオジオ・MVSという、狭いスペースに4本から6本のゲームを設置できる効率的なプラットフォームが、独自のレンタルシステム(酒屋やスーパー、レンタルビデオ店に設置するにあたり、店が筐体を購入する必要がない)で大成功を収めて、結果、動けなくなってしまったように見えました。
ネオジオは、1990年に登場して、2004年まで15年間、現役ハードでした。
当時の家庭用ゲーム機の変遷から比べると、異常な長さです。
私はこの流れに乗ったので、当時の3Dポリゴンのゲームは、あまりプレイすることがなかったのですが……。
成功したあと、どうしていたか
対戦型格闘ゲームのブームも1996年ころから後退しはじめたと、『ゲーセン戦記』にはあります。
1995年までのゲーセンの熱気は、確かに独特でしたが。
そのため、いまのままでではダメ、となったときに、SNKの動きがブレブレになっていたのを眺めていたものです。
ポケモンブームのゲームボーイにかなうはずもない携帯型ゲーム機ネオジオポケットの発売、モノクロ版とカラー版の迷走(個人的には当時かなりプレイしていましたが)。
3D格闘ゲームブームに流されて、3Dが得意でない高額な後継機種ハイパーネオジオ64の2D/3D方針が定まらない中の不発(一部のゲームは、けっこう好きでした)。
SNKも一時期景気がよかったから銀行からお金を借りられたのか、ボウリング場への進出から、つくば(1995)・お台場(1999)へのテーマパーク進出(もちろん両方行きました。地方のネオジオボウルにも)。
いや、そんなこといままでやったことなかったでしょう? ゲームセンター・カラオケ経営はしていましたが……。
その後、異業種のスポンサーが付きましたが(アルゼ→ユニバーサル、これもいまはない)、案の定、するするとダメになっていき、事実上の倒産となってしまいました。負債総額380億円(Wikipediaより)。
ここから、何を学ぶかです。
固定資産を増やしすぎるのは危険
ゲームのように、流行があることだから、打って出た結果、ダメになったのは、責められません。
しかし、お台場へのテーマパーク進出は、大変な建設費・地代がかかったでしょうし、かといって地代の安そうな荒川沖のネオジオワールドに、人が来るとも思えません(横浜から行くの、大変でした)。
アトラクションは、BOFのロボットを除いて、面白かったですけどね。
ネオジオ事業の売上減少を補うためだったのでしょうが、あまりに資金が固定化されすぎてしまう投資でした。
投資額を何年で回収するつもりだったのでしょうか。
決算書を見て、貸借対照表の、固定資産の金額があまりに大きすぎるようだと、よくありません。
それが昔買った一等地とかで、含み益がすごければいいのですが、当たるか当たらないかわからないテーマパークの建設費が乗っていたかと思うと、恐ろしくなります。
しかも、新規事業なのですから……。ゲームセンターから発展したものとはいえ、客層が違いすぎます。
もうかったあとに、どう動くかが、会社を生かすかつぶすかの分かれ目です。
もし、社長が、もうかったお金で、過大に固定資産を増やすことを始めようとしたら、ひとことは言うつもりでいます。
- 未公開株投資
- 飲食店など、未経験の業種への進出(店舗設営)
- 不振の事業への支援
資金が続かなくなれば、会社はつぶれてしまうのですから、出ていったお金が戻ってくるのに何年もかかる、戻ってくるかもわからないものにお金を投じてしまうのは、リスクがあります。
投資は必要ですが、金額が大きすぎないか、危険すぎないかは、チェックしましょう。
回収されるまでの間、現状の事業で資金が回せるのかどうか。
近況報告
Webセミナーを横目で眺めつつ、データを整理したり、法人のお客様の月次の報告資料を作ったり。
いつものように、SNS、YouTube更新。
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1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細