納税額を知り、相続税の心配しすぎを防ぐ

最近、「不適切にもほどがある!」とか「果てしなきスカーレット」とか、死がテーマの映像作品を立てつづけに見たので、今回は相続税のお話を。

相続税の基礎控除が下がり、相続税がかかる方が増えているのは確かです。

上場企業の会社員を定年まで勤めあげて、ご自宅をお持ちの方であれば、私のいる横浜市内では、税金のかかる方は少なくありません。

どのくらいかかるのか。それは、今現在の財産額を確認してみる必要があります。

本日公開 映画「果てしなきスカーレット」TOHOシネマズ上大岡

財産額を調べる

ご自宅のある方は、土地と建物、2つの財産を所有されています。

自宅の路線価図を調べてみて、その1㎡あたりの単価に、土地(住宅の敷地)の面積をかけてみれば、ざっくり出せます。
土地の固定資産税(都市計画税)の価額(評価額)より高い金額になります。

一方、建物については、固定資産税の価額(評価額)そのものです。
課税標準額よりも大きい金額のほうを見ます。表が2行になっていて、下の行が価額になっていることがあります。
見にくいので慎重にチェックしましょう。

ご自宅が、比較的新しいマンションの場合は、割り増し計算が入って財産額が上がることもあます。

現時点の現預金、有価証券、貴金属なども洗い出しておきたいものです。
エンディングノートなどを参考に、もれがないように書き出してみましょう。

暗号資産については、ビットフライヤーなどの国内の取引所を使っていれば、そこから残高データが取れるはずです。

また、ご自分で保険料を負担して、配偶者や子供が受け取ることになっている生命保険金の額も財産の額になります。
ただし、法定相続人の数×500万円までは課税されません。
ということで、その枠内に収まるよう、一時払い終身保険に入っている方もいます。

生命保険に入っているつもりでも、「終身」でないと、いざというときに保険金が下りないことがあるので、保険証券を確認しましょう。

保険金の受取人は、相続人となる予定の方にします。
節税目的もあるかもしれませんが、相続人が、葬儀などにすぐに使えるお金を残すという意味あいも大きいものです。

なお、亡くなったあとにかかるお葬式の費用や、お寺さんへのお布施もマイナスできます。
借金・債務など、マイナスの財産は引いて、純資産を計算するのです。
葬儀費用も事前に調べて、メモしておきましょう。

相続税の計算のイメージ

3000万円+法定相続人の数×600万円が「基礎控除」というのは、有名なのでご存じかと思います。

相続財産-マイナスの財産-葬式費用が基礎控除を超えると、原則として相続税の申告と納税が必要になります。

二次相続(配偶者を亡くされた方の相続)では、相続人が1人減っていますので、基礎控除が下がり、超えやすくなります。

そして、相続税の税率は、10%。
4000万円相続して、10%なら400万円も納税するの? たいへん、相続税対策しなきゃ! と慌てることはありません。

基礎控除を超えた分にだけ税金がかかります。

ここは所得税と同じです。所得税も、所得が基礎控除を超えるまでは、課税されませんでした。
そして超えた分に税率をかけていました。
稼ぎなり、相続なりで純資産が増えた分に税金はかかりますが、増えていても一定額までは、まったくかからないのです。

相続税の場合、基礎控除以下なら申告自体、する必要がありません。
亡くなってから数カ月経つと、税務署からの「おたずね」(相続税の申告要否検討表)が相続人に届くこともありますが、財産額の計算結果が、基礎控除を下回ることを示すことができればOKです。

基礎控除をちょっと超えるくらいの方の相続税対策

「純資産が基礎控除をちょっと超えてしまった」という方の場合、超えた額が100万円なら10%で10万円です。

意外かもしれませんが、びっくりするような金額ではありません。

もちろん、払えるか心配する必要はあります。
でも、預金を相続財産として残しておき、さきほどの生命保険金があるのならば、相続人となる方のご自分の財布が痛むわけではありません。

いろいろな情報を読んだり、銀行の勧誘を受けたりして心配になるとは思いますが、決断をせかされたら、いったん結論を出すのは保留にしましょう。
「せかされているときに決断して、いいことは少なかった」というご経験があったのではないですか。

それよりは、生きているうちに、元気なうちに、自然にお金を消費していくことを、私はおすすめしています。

年始に家族で集まったら、ご自分のお金で、行きたかったいいレストランで食事をするとか、親族で近場に旅行に行くのもいいでしょう。

お祝いごとがあったら、冠婚葬祭のマナー本にあるくらいの相場のお祝い金を渡したり、お孫さんの学費を、その支払いタイミングのつど、出してあげたり。

もちろん、施設に入るためのお金などは残しておく、納税が発生する分も残すか、生命保険にするなどの配慮は必要です。

相続人に対するものは、平等になるように気をつかいたいところです(つい、差をつけてしまうので)。

今の生活が快適に続けられるためにお金を使いましょう。
例えば、ご自宅の屋根の修繕や壁の塗り替えをする。お隣さんとの間で問題になった越境問題の解決や、古くなった擁壁を補修するなどして、相続した家がスムーズに売却できるような下準備にお金を使ってもいいでしょう。
いま、なかなか実家に子の家族は戻ってこないですから。

消費で、実際に、ご自分の純資産が減ったのであれば(手許の使えるお金が減ったのであれば)、相続税も減ります。
ご自分や家族が喜ぶようなお金の使い方をして、おまけに、使った分×10%も将来の相続税が減る。
ヨドバシカメラのポイント還元くらいの気持ちになれれば、ちょうどいいのではないかと考えています。

近況報告

プロフィール更新、お客様の月次データを銀行評価してみる、YouTube撮影、個人の記帳代行。
その後は映画館に行ったり、同業の方とお会いしたり。

1日1新:映画「果てしなきスカーレット」