映画「果てしなきスカーレット」が、『ハムレット』の翻案というのは、映画館にて、エンドロールで知りました。
「シェイクスピア監修:河合祥一郎」と出てきたので。
それで、うちの本棚にあった『ハムレット』(ちくま文庫、松岡和子訳、1996年)を初めて読んでみました。
その河合さんも、解説で登場します。
※ちなみに、餓狼伝説スペシャル(1993年)のギース役等の生瀬勝久さんが「ハムレット」1995年10月上演でレアティーズ役、「スカーレット」のコーネリウス役の松重豊さんは同上演でホレイショ―役。
今月亡くなられた仲代達矢さんは、何度もハムレット役を演じていました(今日のNHKラジオでそのときの話の再放送が)。
なるほど、「スカーレット」は、「ハムレット」と「レット」で揃えつつ、男女を反転させた名前で、その他もさまざま反転させて創作したお話だったんだなあと。
『ハムレット』には、いまを生きるフリーランスにも響く言葉がありました。

目次
シェイクスピアの原文に触れたければGeminiを使う
シェイクスピアの諸作品は、日本でいうと関ケ原の戦いの前に書かれたもので、当然ながら著作権が消滅しています。
なので、英語原文を読んでみたければ、データベース学習に秀でたGeminiに聞くと、ばっちり引用してくれます。
たとえば、今回私が読んでいちばんよかった「ポローニアスの助言(訓戒)」も、AIに聞けばこのとおり。

Yet here, Laertes! aboard, aboard, for shame! The wind sits in the shoulder of your sail, And you are stay’d for. There; my blessing with thee! And these few precepts in thy memory Look thou character. Give thy thoughts no tongue, Nor any unproportioned thought his act. Be thou familiar, but by no means vulgar. The friends thou hast, and their adoption tried, Grapple them to thy soul with hoops of steel; But do not dull thy palm with entertainment Of each new-hatch’d, unfledged comrade. Beware Of entrance to a quarrel, but being in, Bear’t that the opposed may beware of thee. Give every man thy ear, but few thy voice; Take each man’s censure, but reserve thy judgment. Costly thy habit as thy purse can buy, But not express’d in fancy; rich, not gaudy; For the apparel oft proclaims the man, And they in France of the best rank and station Are most select and generous chief in that. Neither a borrower nor a lender be; For loan oft loses both itself and friend, And borrowing dulls the edge of husbandry. This above all: to thine own self be true, And it must follow, as the night the day, Thou canst not then be false to any man. Farewell; my blessing season this in thee!
Hamlet, Polonius’s Advice to Laertes
17世紀ごろの英語なので、今使われていない単語(古語)も多いのですが、それもGeminiが教えてくれます。

フリーランスにとって役立つ助言は
400年前のお話ですが、当時も人気があり、いまも人気があり、イギリスの首相が来日しようものなら必ず記者会見で引用するシェイクスピア。
単純に、いま読んでも面白いです。人間関係にひりひりしたり、ほほえましく思ったり、現代の作品でよくあるような展開をとっくにやっていたりするのが分かったりするので。
ポローニアスの助言も、当時の価値観に基づくものですが、おどろくほど現代でも通用します。以下、Gemini訳で引用します。
「思っていることを口に出すな」
私はブログやYouTube、SNSをやっているので、かなり口に出しているほうだとは思いますが、なんでも出しているわけではありません。
毎日発信することで、出すべきこと、出すべきでないことを調節する訓練をしているのです。
お客様の相談に乗るときも、この判断力は役立ちます。
よけいなことを言わないようになるには、場数を踏むことが必要で、助言を聞いたからすぐできるものではありません。
人にたくさん会えば、失敗もできて、この訓練ができます。
ネットで発信すれば、会う必要なく訓練可能です。
「新しく生まれたばかりの、まだ未熟な仲間たち 一人ひとりを構いすぎて、手のひらをすり減らすな(付き合いを安くするな)」
独立したばかりのフリーランスの方は、私も当初そうでしたが、交流会に出がちです。
しかし、交流会にお見えになるのも、多くはそういう方々です。
松岡訳では「ヒヨコみたいな連中と……握手しまくるな」といった日本語になっていて、Geminiより明らかに優れていると感じます。
もし交流会に行くなら、すでにビジネス経験が豊富そうな人を見つけてお話ししてみる、というのがコツのひとつです。
「借りる人にもなるな、貸す人にもなるな。 というのも、貸し付けはしばしば金自体と友人の両方を失わせ、 借り入れは倹約の鋭い刃を鈍らせるからだ」
「友人にお金を貸すな」、いまもよく言われる、有効な警句です。
要は、お金を出して、それが戻ってくるまで時間がかかるようなことをするなということです。
会計ソフト的には、「固定資産を増やすな」です。
フリーランスの売上は不安定なので、売上のない期間を乗り切るにはお金が必要です。
大企業は、投資先が不景気になっても、一時的に事業を縮小して出費を抑えつつ、次の好景気を待つお金があるからつぶれないのです。
それなのに、お金が出て行って、それっきりになっていると、フリーランスを続けられなくなります。
その意味では、借入はいいのですが、無駄遣いしやすくなるリスクもあります。
借入をせずとも、カード払い経費も一種お金を借りているようなものなので、使いすぎリスクは高まります。
それを承知の上で、利用していきたいものです。
発信していると守れる警句
「自分自身に誠実であれ。 そうすれば、夜の次に昼が来るように、 誰に対しても不実になることはありえないのだ。」
最も有名な警句は、結びのこの文章なのだそうです。
フリーランスとして毎日発信することは、この教えを守ることにつながります。
まず、毎日発信する時間をとる必要があるので、不実なことをしている時間はありません。
また、YouTubeで顔出し発信をしていればなおさら、不実なことはできません。
自分でやってもいない、すすめてもいないことを発信するような矛盾は起きにくくなります。
大して有名にはなりませんが、発信により、みずから有名税を背負い、自分を律してもいるのです。
こんな副次的な効果もあると思って、交流会に行く代わりに、発信をしてみるのも一つの方法です。
近況報告
『ハムレット』、読了。
最近、Windows 11 のタスクバーがひんぱんにフリーズ(Ctrl+Shift+Esc→エクスプローラを再起動)して困っています。
フリーズすると、時計が止まってしまい、いまの時間が分からなくなるリスクが! ……腕時計を買おうかと。
1日1新:Raycast Snipet
1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細