この2年間の消費者物価指数は、6%上昇しているそうです。
フリーランスの方は、6%値上げするか、経費を減らさないと、実質手取りが減っているのと同じです。
今年の税制改正は、物価高対応で金額基準の改正が多く見られました。
これを上げないと、インフレ分がそのまま課税されてしまうからです。

年収の壁178万円は、給与・所得税の話
所得税の年収の壁(給与所得)は、去年が103万、今年が160万、来年から178万円になる予定です。
が、これは、会社員・公務員・アルバイトなど、お給料をもらう勤め人の話です。
しかも、所得税の話で、住民税・社会保険の扶養などとはまた別です。
フリーランス(事業所得)の方について、年収の壁はあるのか?
年収、つまり、売上高については、壁はありません。
事業所得の金額、つまり、利益のほうで考えます。
所得の壁とでもいいましょうか。
事業所得は、青色申告決算書(損益計算書)で計算します。
フリーランスの所得の壁はどう変わる?
合計所得金額≦489万円の方は、2026年から基礎控除は104万円に増加します。
489万円超655万円以下の方の基礎控除は67万円。
655万円超の方は62万円。
これは、2026年、27年の2年間限定です。
合計所得金額は、社会保険料控除など、控除される金額を引く前の金額なので、ふるさと納税をしても小規模企業共済の掛金を払っても減りません。
フリーランスの仕事だけなら、事業所得の金額と思ってよいです。
さらに、事業所得の計算には、青色申告特別控除があります。
2026年から、次の3つの要件を満たせば、最大75万円にアップする予定です。(3つ目の要件を満たさないと、65万円)
- 期限内申告
- e-Taxで提出
- 次のどちらか
- 仕訳帳と総勘定元帳について、一定のシステムで保存をしている
- 電子取引について、一定のシステムで保存している
すると、フリーランスの所得の壁は、基礎控除104万+青色申告特別控除75万=最大179万円になります。
勤め人の年収の壁178万円に似ていますね。
もともと、青色申告特別控除は、給与所得控除とのバランスを取るために設けられた制度なので、こうなるのです。

社会保険(扶養)の壁
事業所得が179万円を超えていても、社会保険料などを払っていれば、合計所得金額からさらに控除できますので、結果的に所得税はかからないこともあります。(源泉徴収されていたら、確定申告で還付されます)
繰り返しになりますが、これは所得税の所得の壁の話であって、住民税はかかります。
配偶者の社会保険の扶養に入れるか(社会保険の壁)の問題もあります。
社会保険の扶養に入るためには、年収130万円以下要件があります。
この年収130万円も、やはりお給料の場合の話です。
フリーランスの場合、社会保険の扶養に入れるかをどう判断するか。
これは、売上高-(売上原価+売上原価的な必要経費)≦130万円で計算します。
他に給与があれば、売上高に足して計算します。
130万円の計算上、引ける経費は、事業所得の必要経費よりかなり少ないのです。
引けるのは売上原価のほか、外注費、荷造運賃、広告宣伝費など売上に直接結びつくがメインで、家事関連費については50%のみ認められます。
すると、ある程度フリーランスで稼ぎ始めたら、所得税はともかく、住民税・社会保険料の負担は発生することになります。
では、仕事を抑えるかどうか?
社会保険の扶養を外れたら、一時的に手取りが減ることは事実です。
ですが個人的には、夫婦を合わせて考えても、フリーランスで利益がどんどん上がっていくなら、上げていった方がいいと考えています。
リスクの分散になるからです。
夫婦どちらかが稼げなくなっても、二人に稼ぐ力があれば、何かあったときに対応できます。
利益を抑えるように活動していたら、稼ぐ力も伸びないのではないでしょうか。
お客様に恵まれ、うまくいっているなら、そのペースを落とさないほうがいい、というのが、私の意見です。
近況報告
休日なので、餓狼伝説cotwやリアルバウト餓狼伝説2をプレイしたり、マンガを読んだり、音楽や写真を整理したり。
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1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細