今こそ読むべき村上春樹『1Q84』(2009)

だから君は僕のシステムを――

システムなんてどうでもいいわよ!

『ノルウェイの森』

今にして思うとあまりに予言的な書『1Q84』を読み返すべきときが来たなあと思います。NHK集金人の息子とカルト信者の2世が主人公の本作品。

個人としてのNHKに対する恨みを、NHK集金人に対する国民の集合的不快感と結び付けて国政政党を誕生させた男。個人としてのカルト教団に対する恨みを、教団への社会的な打撃に拡大させた男。

どちらもその結果を受け、世界は2Q22年に移ろってしまったように思います。もう2022年には戻れない。

『1Q84』でも犯罪的な方法で恨みは晴らされます。たまに主人公が犯罪すると許せないという感想を書く人がいますが、小説は何を書いてもいいんです(by筒井康隆)。

そして同書は、別に予言なんてしていたわけではないと思います。「歴史は繰り返す」ということを言っていただけで、実際に歴史は繰り返したわけです。