ジャズ初心者におすすめするマイルス・デイヴィスのアルバム

このブログで時々話題にするマイルス・デイビス。

ジャズの音楽家なんですけど、そもそもジャズというジャンルまでたどり着いた人、けっこうな音楽ファンですね。

最近だと、Official髭男dismのアニメ版「SPY×FAMILY」のオープニング曲「ミックスナッツ」が、かなりジャズっぽかったりします。

村上春樹の本でジャズを知った人も多いでしょうし、好きなアーティストのインタビューでジャズの影響を語っているのを読んだ方もいるのでは。

ふつうにカフェやラーメン屋でBGMとしてかかってもいますし。

ジャズに興味があるけれど、どれから聴けばいいか分からない……という方にジャズ(マイルス)のおすすめアルバムを紹介します。

正直、慣れが必要なジャズ。その中でも人気のあるマイルス(世界各地のAmazonのジャズチャートを見ると、いつも上位にいます)は、それだけポップで聴きやすいともいえるのです。

最終的にはCDや配信で、身銭を切って聴くのがベストですが、ほとんどYouTubeで聴けます。

仕事中のBGMにもなります。聴くジャンルを増やしてみましょう。

最初の1枚 リラクシン

1956年のアルバム「リラクシン」が、最初に聞くのにおすすめです。

ジャズとは最初にテーマを合奏して、その後は奏者がひとりずつソロを取って即興演奏(アドリブ)し、最後にまたテーマを合奏する……という説明を読んだことがあるかもしれません。

読んでも分かりませんが、「リラクシン」を聴けば、「ああ、そういうことか!」と分かります。

既存の曲をふつうに演奏したところ、マイルスから指示が出ます。メンバーがそのとおりに演奏しなおすことで、同じ曲がこんなにイメージが変わるのか! と発見しながら聴けるからです。

テーマ、ソロ、ソロ、ソロ…、テーマ という構造も、何度か繰りかえし聴くうちに、しぜんに身についていきます。

バンドメンバーの名前を憶えて、気になった人のリーダーアルバムに進んでみるという聴き方も、ここから始められます。

日本人向けの演奏は、日本でのライブ盤で

しかし、ジャズは結局洋楽で、翻訳小説を読書するようなとっつきくさがあります。

ジャズは歌詞がないものが多いので、それほど気になりませんが、日本人向けにわかりやすく演奏したものがないかな?と思った方に。

文字通り日本人向けに演奏した、日本でのライブ・アルバムがあります。

まず1964年のライブ盤「マイルス・イン・トーキョー」。

先ほどのリラクシンの1曲目と同じ曲から始まります。「あっ、ライブだとこんなにスピードが速いんだ」という発見もあります。

おすすめは最後から2曲目の「オール・オブ・ユー」で、これが最大の日本人向けジャズです。

ふつうにポップで、聞きやすいメロディー。マイルスがこの曲を、こんなに聴きやすく演奏したのは、この日本でのライブ盤だけです。

母国アメリカでは犬のように扱われる黒人ミュージシャンを、王様のように扱ってくれる日本人へのメッセージのようです。

日本でもライブ盤はこのほかに、1975年の「アガルタ」と「パンゲア」があり、これも非常にわかりやすいキャッチ―なメロディーで聴きやすいです!

内容は、「リラクシン」とも「イン・トーキョー」とも全く違うので、これが同じ人の演奏?

1曲が60分もあるんだけど?(実際には5曲くらいやっているが、トラックを途中で切っていない)という発見に尽きません。

発見につぐ発見、驚きにつぐ驚きを楽しめる初心者のうちが、いちばんジャズを楽しめている時期といえます。

ジャズを聴いてびっくりする→身につく

マイルスは、偉人とされていますが、それは、その音楽がいまだに現代のアーティストに影響を与え続けているからです。

最近では、コンピューター音楽を人間が真似する演奏が増えていて(fox capture planとか)、それに独特のかっこよさ、心地よさ、新しさを感じていることも多いと思います。

もちろんマイルスにもあります。

1969年の「イン・ア・サイレント・ウェイ」です。

聴けば、ループっぽかったり、宇宙っぽかったりして、けっこう今風です。まあ人力テクノとして聴いてもふつうに楽しめます。

問題は、これが1969年録音であることで、この当時、電子音楽もテクノもないんですよね。

テクノがない時代に、人力テクノをやっているという驚き、味わってほしいです。

あと、最近のジャズの新作を聴くと、だいたいラップが入っていて、ジャズが聴きたいのにな……と思ったりするでしょう。

もちろんマイルスもラッパーといっしょにやっています。1991年の「ドゥー・バップ」です。

音楽を聴いてびっくりする体験をご希望の方には、1972年の「オン・ザ・コーナー」。

ジャズミュージシャンのイメージで聴くと最初、わけわからなくなると思いますが、面白いのは、小中学生の子どもに聞かせると反応するんですよ。

現代への影響力が高いアルバムです。1970年前後のアルバムは、まったり楽しむジャズではなく、リズムに乗ることが重要なダンス・ミュージックといえます。

エピソードがあって、このアルバムで共演したミュージシャンが、「わけわからんかった」と思って仕事を終え、20年くらい経ってから、息子に「お父さん! 友だちから聞いたんだけど、マイルスの『オン・ザ・コーナー』で演奏してるじゃないか!」と尊敬のまなざしで言われ、「そうだよ。」とドヤ顔になった、というのがあり、好きです。( 『エレクトリック・マイルス』中山康樹)

ジャズの話ができる税理士をご希望の方、お引き受けしています。

編集後記

今日は庭の草むしりをして、その後はちょっとゆっくりしました。Steam Deckでドラクエ3のレビューを読んでいたら、買う気がなくなってしまい、ウィザードリィを少しプレイしました。

夜は #おうち斬サム を観戦しただけ。見るだけでもけっこう楽しいです。