簿記の知識と青色申告との違い 事業用の固定資産の売却

青色申告特別控除650,000円(e-Taxの場合)を受けたい場合、会計ソフトを使って確定申告をする必要があります。

その際にベースとなる知識は、日商簿記初級です。
昔は3級が個人の簿記だったのですが、いまは個人の内容は初級に移っています。

簿記検定の知識自体は、日々の会計ソフトの入力に役立つのは確かです。
人に入力を頼まなくていいのですから、その効果は計り知れないものがあります。
1仕訳入力するごとに外注費が浮くと考えると、お得です。

ただ、検定簿記の内容は、そのまま青色申告で使えないものがあるので注意です。
その一つが、事業用固定資産を下取りに出したときの処理です。

私の事業用固定資産

簿記で習う処理は

簿記3級などでは、次のように習うと思います。
減価償却費の分、固定資産の簿価を減らす直接法の場合。

借)現金 1,000,000
__貸)工具、器具及び備品 300,000
__貸)固定資産売却益 700,000

法人なら、これでいいのです。

が、個人は、違います。
事業用の固定資産を売ったときの損益は、事業所得に加減するのではありません。

借)現金 1,000,000
__貸)工具、器具及び備品 300,000
__貸)事業主借 700,000

そのため、仕訳(会計ソフトの入力)上は、事業所得を増やさない収入に使う勘定科目「事業主借」を使います。

でも、売却益が出た部分に所得税はかかります。
ただ、そこは会計ソフトで計算するのではなくて、確定申告時に、譲渡所得(総合)の入力をするのです。

譲渡所得の計算は

確定申告のタイミングで行います。
「譲渡所得の内訳書【総合譲渡用】 」を作成しながら、計算を行います。
freee申告でも作れます。

事業所得と分けるのは、固定資産の値上がり益を計算するためです。

ただし、値上がり益が50万円以下の場合は、最大50万円の特別控除がありますので、結果的に税金はかかりません。
売却収入が50万円以下であれば、通常、譲渡所得はないことになります。

また、買ってから5年経過したかどうかでも、税金の額が変わります。
事業用の固定資産なら、いつ買ったかは固定資産台帳や、過去の確定申告書を見ればわかります。

取得費は、前回の確定申告書記載の「未償却残高」をそのまま取得費とし、買った金額(取得価額)との差額を償却費相当額とすることができます。
これだと、計算が楽です。

他方、会計ソフトでは、売却の処理時に「除却した日まで月割で減価償却する」も選べます(こちらが本来の方法)。
譲渡収入ー月割減価償却後の取得費-譲渡費用≦50万円の場合、手間ですが、こちらを選んだほうが節税になります。
50万円の特別控除で譲渡所得が0円になるのは同じなのに、月割償却した分、事業所得を減らせるからです。

譲渡所得がプラスになる場合は、取得費を、売った金額×5%(概算取得費)と比較します。

もし、簿価<売った金額×5%(上記の例なら、1,000,000円×5%=50,000円)であれば、50,000円(概算取得費)を取得費にしたほうが、節税になります。

また、家事にも利用していたため、減価償却費の額の一部しか必要経費にしていなかった場合であっても、家事按分する前の、全額を償却費相当額として計算します。

譲渡所得の計算では、あくまで資産の値上がり益を計算しているので、投資・回収の事業所得の計算とは異なっていることに注意しましょう。

除却した場合、少額減価償却資産等の売却した場合

固定資産を除却した場合は、その簿価を事業所得の必要経費(資産損失)にすることになります。

この処理は、簿記3級の除却損の処理で習ったとおりにすればよいことになります。

あとは、少額減価償却資産(10万円未満または30万円未満)で「消耗品費」にしたものを売却した場合も、売却益を事業所得の収入金額に含めます。

一括償却資産にした20万円未満の固定資産の売却も同様です。
仕訳は、少額減価償却資産、一括償却資産ともに次のとおりです。

借)現金 10,000 貸)雑収入 10,000

一括償却資産の簿価をなくす処理は、しません。
一括償却資産は、除却や売却の有無に関係なく、買った金額を3年で経費にするものだからです。

近況報告

横浜商工会議所の仕事のあとは、benten103でお弁当ランチをして、帰宅後、YouTube、Facebookメッセンジャーでやりとり、ブログ。
昨日の夜は真サムライスピリッツ、サムライスピリッツ斬紅郎無双剣のネット対戦を少し。

1日1新:UNI COFFEE ROASTERY クリームソーダ