説明して「ふつうのことだね」、「よくあることだね」と思ってもらえるか

税理士という資格を持っていると、気楽な感じに税金について聞かれることが、まれにあります。
(意外と聞かれません。なのでむしろ反対に私から「ブログのネタになるような、聞いてみたいことありますか?」と聞くことはあります)

一見、単に得するように見える話なのに、贈与税とか気にしなくていいの? とか。

どう考えるべきでしょうか。

コーヒー一杯くらいの相談(無料相談は、原則として受けていません)

贈与っぽいなら、生活費や教育費に当たるかどうか

税理士でない方からすると、けっこう、ちょっとしたことで「これ、税金かかったりしないの?」と気になるようです。

そういう鋭敏な感覚を持っていること自体、大事にしていただきたいです。

逆の感覚の方だと、けっこうリスクがあるのではないかと思うので。
(本当は、わかっていて、無視しているのかもしれませんが)

でも、詳しくお話を伺うと、だいたい、「かからないんじゃないですか」という話になります。
自分の資力が十分でないため、生活費や教育費として、必要な額をその都度もらって、使い切っているような場合です。

これらに贈与税がかかるか、かからないかという判断には、国税庁のQ&Aがあります。
一度目を通しておくのもいいと思います。

PDF: 扶養義務者(父母や祖父母)から「生活費」又は「教育費」の贈与を受けた場合の贈与税に関するQ&A

自分で調べても判断がつかなかったら

しかしふしぎなもので、いま、自分が気になっているケースは、本やQ&Aには載っていないものなのです。
生活費や教育費の贈与には当たらないんだけど……という場合。

そういう疑問が、結局税理士に持ち込まれます。

税理士として、その「得」に税金がかかるかどうか、どう判断しているか。

贈与税の基礎控除? 法律関係? 契約の有無?

多少は気にしますが、街角で聞くような質問に、そこまで立ち入って判断はしません。

「ふつうかどうか」、すなわち「他に人に説明がつき、『よくあることだね』とか『ありそうなことだね』と納得してもらえるかどうか」です。

その「ただ」に、理由があるか

何かを、ただで借りているという場合。

ご自分が一方的に得しているようだけれども、よく聞くと、相手方にもメリットがある話で、一種の等価交換になっている場合があります。

ご自分の負担(管理、清掃など)が全くないわけではなく、その負担で相手も助かる(相手は事情があって自分ではできないので)。それで、金銭的にはただになっているケース。

仮に、それをもとでにお金をもうけたとしても、経費をかけずに済んだので利益が大きくなり、贈与税はかからなくても、所得税のほうで取り返されるだけのこともあります。

国の立場、税務署の人の気持ちになったときに、「ふつう、そんなことはしない」、「税金を減らす以外の目的がない」、「国が受け取るべきお金が、不当に奪われている」と思わなそうなケースなら、問題ないのでは、という判断に傾きます。

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事実をただ並べて説明するだけで、そういう話なら、ただで貸すほうにも合理的な理由があるし、よそでもありそうなケースだな、と思ってもらえるかどうか、です。

金額が大きく、微妙なラインであれば、仕事として立ち入って事実や根拠を検討することもありますが。

そういう判断をするのが税理士の仕事であると考えています。

近況報告

オンラインセミナー受講、東京地方税理士会の広報部の活動。YouTube更新など。

1日1新:税理士同士の仕事の打ち合わせ