最近、お客様かそうでないかを問わず、個人でコンサルタントという仕事をしている方とよくお会いします。
いわゆる士業とよばれる国家資格をお持ちで、でもその本業はせず、コンサルタントや顧問の仕事をされている方も珍しくありません。
士業の仕事は、時間がかかるということで。
さて、コンサルタントといっても、その売上にはいろいろあります。
仕事の内容によって、売上の計上タイミングが異なるので、チェックしておきましょう。
フリーランスの方の経理を見ていて、誤りが多いのが、「売上にするタイミング」なので。
特に、年末年始の売上を間違えると、税金が変わってきてしまいます。

請負の場合
「この仕事を仕上げてきて」という依頼であれば、請負です。
請負の場合は、お金が入ってきた日の売上にするのではありません。
コンサルタントとして、レポートや販促物などの作成を請け負った場合は、そのモノをお客様に納品した日の売上です。
お客様にコンサルティングを提供したら、その提供した日の売上です。
前金でもらっている場合は、入金日に普通預金/前受金、納品日に売上/前受金の入力をします(freee会計なら+更新)。
反対に、後受けの場合は、納品日に売掛金/売上高、入金日に普通預金/売掛金です(freee会計なら決済を登録)。
委任の場合
お客様との契約内容で、請負のように「具体的な仕事をこの日までに仕上げてほしい」と指定されていないこともあります。
お客様のために取引先を紹介したり、ニーズに先回りしてアドバイスをしたり。モノを納品するのではない仕事。
いわゆる、顧問契約というものです。
この場合、契約にもとづき、毎月、決まった日に定額の顧問料が支払われることが多いです。
自動引き落としにされている方もいらっしゃるかもしれません。
その場合、顧問料が支払われる日に売上を計上してもかまいません(所得税基本通達36-8(5)逐条解説)。
結果的に、お金の入ってきた日の売上となり、経理は単純になります。前金であっても、返金しない契約であれば、同じことにあります。
支払日の定めがないときは、原則どおり、「〇月分」の月が終わった時点で売上を計上します。未入金なら売掛金/売上、入金済みなら前受金を売上高に振り替えます(+更新)。
源泉所得税の天引きに注意
弁護士や中小企業診断士などの士業の報酬であれば、報酬から源泉所得税が天引きされます。
経営コンサルタント業務の場合は、このような資格がない方が行う場合も、源泉徴収の対象です。
お客様が法人であるとか、人を雇用している個人の場合は、源泉徴収が行われます。
人を雇っていない個人の方であれば、報酬額が満額もらえるのですが。
そうでなければ、入金額を売上にしないように注意が必要です。
なんとなく入金の処理タイミングで売上を計上していると、ミスしやすいです。
請求書発行時に総額を売上にし、代金回収時に入金額と源泉徴収税額で決済するのが基本です。
天引きされた源泉所得税は、事業主貸・源泉所得税で管理しておくと、翌期首に自動的に0にリセットされるので経理が楽になります。
コンサルタント業務をされている方には、お客様から年明けに支払調書がもらえることもあります。
これをもとに確定申告をしている方もいるかもしれませんが、これは、お客様がコンサルタントに渡す義務のない書類です。
「支払調書をもらっていなかったから、売上がもれてしまった」ということのないようにしましょう。
売上(上記の売上計上タイミングで集計)と、源泉徴収税額の集計(入金タイミングで集計)とは、コンサルタントであるご自分で集計して、確定申告するのが原則です。
編集後記
午前中に散髪。おひとりで営業されている理容室に行っています。スタッフが複数いるお店だと、日によってあたりはずれがあるので……。
1日1新:Excel NETWORKDAYS.INTL関数。私のYouTubeで解説しました。

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細