私は、フリーランスの税理士です。
自分自身の営業や料金に関する本はいろいろ読みましたが、ピンとくるものがありませんでした。
でも、これは面白かったので、私(税理士)のような、自分の腕一本でサービスを提供する方に共有してみます。
古い本ですが、いまに通じています。
士業、コンサルタントに限らず、デザイナー、ライター等のサービス業全般の報酬・料金をいくらにするか、に関する考え方が述べられている章です。
著者は、マンガ『バーナード嬢曰く。』の『ライト、ついてますか』の回で出てくるG.M.ワインバーグです。

「ほしいと思う賃金の5倍」を請求せよ、とは
「ほしい給料の5倍の請求をしなければならない」というのが、この本のマーケティングに関する章の最大のメッセージです。
本書では、賃金・給与といった言葉が使われますが、翻訳のせいか、雇用される社内コンサルタントも読者に含めているためと考えていただければ。
この結論は、以下のようなロジックから導かれます。
仕事に使える時間を100とすると、その内訳は次のようにすべきだといいます。
- 25は、営業活動のために
- 25は、新規の依頼対応・緊急事態・自己研鑽等のために
- 50を、直接売上につながる仕事のために
そして、収入金額を100とすると、内訳は次のようになると述べています。
- 50は、経費に
- 10は、貯金に(50×20%)
- 40は、利益に
(経費率50%は、消費税・簡易課税で、サービス業のみなし仕入率が50%≒概算経費率とされているのに似ています)
すると、想定する利益は40なのですが、実際に売上につながる仕事ができるのは、仕事時間の50%しかありません。
したがって、40×50/100で、実際の利益は20になります。
ここから、実際の収入金額100に戻すには、実際の利益20の5倍が必要なのではないか……というのが私の理解です。
違うかもしれませんが、著者の言いたいことは伝わります。
サービス業は、時間と売上のトレードオフがある
売上が増えれば、時間が減り、時間が増えれば、売上が減る。
サービス業には通常、このようなトレードオフの関係があるため、「実際に使える時間」を意識して、料金を決めなさいと言っているのです。
「生活費を想定すると、ほしい利益は40」と思って料金を決めると、実際には20の利益しか残らない(請求できる仕事に全部の時間を費やせるわけではないため)。
最初のうち、料金が安くなりすぎてしまう原因は、ここにあります。
安すぎては、お金も時間もなくなり、自分のやりたい仕事を続けることができなくなります。
私(税理士)としては、主にサービス業(フリーランス)の方の遊ぶ時間、勉強する時間を取り戻せるように、との思いで仕事をしています。
自分の仕事を続けるために
さきほどは、フローの話でしたが、同書にはストックの話もあり、年収の75%の貯金をすすめています。
クライアントの言いなりにならず、仕事を断れるようにするためです。
その他、得意先1社の売上高が、25%を超えないようにとも。
これも、事業の存続のためです。
25%超の顧客の依頼がなくなると、廃業リスクが高まるのは、想像のつくことです。
使える時間の25%は、営業・マーケティング活動に使え、というアドバイスも、「仕事はなくなるものだから」です。
以上、『コンサルタントの秘密』の第11章から、自分の理解を踏まえてご紹介しました。
時間を使ってサービスを提供する仕事をしているのなら、ご一読いただければと思います。
近況報告
今日は、YouTube更新、メール返信1通、振込、記帳代行など。だいぶ進んできました。
1日1新:ブログのタイトルにロゴマークを設置

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細