書道教室の会計と税務

私は、小学生のとき6年間、書道教室に通っていました。
純正書法連盟の先生に習っていました。

私がえんぴつ、左利きだったので、親は右利きに矯正しようとしたことが目的でした。
単に、毛筆が右利きになっただけでしたが……。そのため、初段を取って満足して、やめてしまいました。
いまは、子どもたちが書道を習っています。

さて、書道教室は、昔ほどのビジネスではありませんが(書道が小学校の必修になったとき、市場規模が急拡大したが、少子化の影響が大)、いまも続く伝統的な事業です。

書道教室の会計と税務について、まとめてみました。

今週末は、品川で高野山競書大会の東京別院展示会が開かれます

入金額の経理

書道教室の収入は、月謝、書道用品(筆・半紙・墨・硯・文鎮等)の販売、筆耕・看板・作品の販売、大会の出品料といったものがあります。

月謝

月謝のルールはどうなっていますか?
「翌月分を今月末までに、現金で払ってください」ならば、お金が入ってきた時点では、「前受金」とします。

翌月になったら、前受金を売上高に振り替えます。freee会計なら、三点メニュー(・・・)から「+更新」を選びます。
これが案外手間です。

厳密ではありませんが、入金時に売上とし、期末の未入金を売掛金に、入金済みを前受金に整理する方法でも構いません。
受講生ごとの月数×月謝=理論上の売上高と、会計ソフトの数字とが一致していることを確認しましょう。

月謝がまだでも、その月に書道を教えていたら、 売掛金/売上高 です。回収もれのないようにしましょう。
入金がないと自分自身にダメージですし、入金がないのに税金はかかるからです。

販売

書道用品の販売は、現金と商品をその場で交換しているのが通常でしょうから、入金時に「売上高」にします。

他の事業者の看板を書いたり、筆耕を頼まれたり、作品を販売したときは、売上高にするのは入金時ではありません。
納品時です。

納品時に未入金なら 売掛金/売上高 → 入金時に 普通預金/売掛金。
納品時に入金済みなら 前受金/売上高 です。(←事前の入金時に 普通預金/前受金 になっていたものを振替)

大会出品料

大会出品料は、これを売上とすべきは、大会の主催者であって、書道教室ではありません。
規定の出品料と同額を受講生から受け取った場合は、「預り金」にします。

現金書留や郵便振替で、主催者に同額を送金したら、預り金をなくす処理をします。
預り金の残高が0円になっているか、試算表(貸借対照表)の負債の部の確認を忘れずに。

そうではなく、利益や手間賃を上乗せした額を受講生からお金を受け取り、規定の出品料を払い込んだときは、それぞれ、売上と経費にします。

所得税、法人税

書道教室を個人で開業する場合は、事業所得として所得税の確定申告が必要です。
副業なら雑所得となります。

本業(書道教室の収入がメイン)なら、開業届や青色申告承認申請書などを税務署に提出します。

書道教室を一般社団法人やNPO法人、任意団体(人格のない社団等)で行っている場合は、法人税がかかります。
非営利団体っぽい名称でも、書道教室は「技芸教授業」として、収益事業に該当するからです。

教室を始めてからすみやかに「収益事業開始届出書」、法人の「青色申告承認申請書」などの提出が必要です。

消費税

書道教室が順調に推移し、売上高が1千万円超になった年度の翌々年度から、消費税の申告・納税が必要な課税事業者になります。

課税事業者届出書と合わせて、簡易課税制度選択届出書を、「課税事業者の年度になる前に」、必ず提出しておきましょう。
ほとんどの場合、一般課税より簡易課税のほうが、消費税の納税額は少なくなりますので。

といっても、消費税という名の新たな出費が発生するため、手取りを維持したければ、月謝等の値上げが必要になります。

また、簡易課税制度を選択した場合でも、売上高(課税売上)の入力の際に「事業区分」の設定が必要です。

  • 月謝…第5種事業
  • 書道用品の仕入れ販売…第2種事業
  • 看板・筆耕・作品の販売…第5種事業
  • 固定資産や備品の売却…第4種事業
  • 大会の出品料…(預り金経理の場合、対象外)

消費税については、日々の経理がきちんとできていれば、自動的に申告書が会計ソフトから作成されます。
課税売上の税率はすべて10%になっているか、チェックしましょう。

看板書きの仕事などの関係で、売上高1000万円以下でインボイス登録が必要になったときは、2026年9月30日が含まれる事業年度まで、2割特例が使用できます。
事業区分の入力はいりませんし、納税額も簡易課税より少ないことになります。

書道教室の先生も、ご相談いただけます(単発でもどうぞ)。

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