住民税の普通徴収納付書が届いたら、定額減税を確認しよう

個人事業主の方や、普通徴収が選択できる2人以下の法人役員の方は、普通徴収の納付書が届くころです。

私は今日届きました(横浜市)。

定額減税を確認しよう

まず、「市民税・県民税・森林環境税 税額決定通知書」の表紙を見てみます。

普通徴収税額の、第1期(6月)の納付税額が、その後の第2期以降の納付税額から1万円単位で減っていれば、定額減税されています! 以下に例を示します。(本人・子ども2人で10,000×3人=30,000円の減税を受けたことを前提)

納期納付税額
第1期(6月)10,000
第2期(8月)40,000
第3期(10月)40,000
第4期(1月)40,000
普通徴収税額(納付税額)の表 ※金額はイメージです

第1期で端数を調整するので、千円単位はもともと異なりますが、万円単位で少ないのが、定額減税の影響です。おひとりでも、最低1万円少ないはず。

まだ働いていないお子様がいれば、1人あたり、住民税(所得割)の定額減税額が1万円加算されます。

お子様が2人なら、ご本人様1人と合わせて3人。3人×1万円=3万円、第1期の納付税額から減税されているはずです。

(配偶者分は、それぞれの所得状況などで変わるので、今回の記事では、ないものとします)

第1期の納付税額は、第2期以降の税額より3万円低くなります。定額減税前の第1期の納付税額が3万円未満なら、第2期の納付税額も減少しています。

住民税の所得金額・所得控除額の内訳を確認しよう

住民税の総所得金額は、基本的に所得税と同じです。

青色申告特別控除を申告していれば、営業等所得・不動産所得は控除後の金額になっています。

違いは、所得税にある退職所得が、住民税にはないことです。欄自体、ないですね。退職金は、受給時の特別徴収(天引き)で住民税の課税は終わるためです。

営業等所得農業所得不動産所得利子所得配当所得
給与所得雑所得うち公的年金等に係る分総合譲渡・一時所得総所得金額
山林所得合計所得金額

所得控除額も、ちょっと違います。

目につくのは、配偶者控除額33万円、基礎控除額43万円ですね。それぞれ、所得税の控除額より5万円ずつ少なくなっています。

両方ある場合は、所得控除額の合計が、所得税の確定申告書の額より10万円少なくなるため、課税標準額が増えることを通じて税額も増えることになります。

この分は、次の税額計算上、調整控除額で減らしてくれます。

住民税の合計年税額、税額控除額の内訳を確認しよう

最初に、定額減税で3万円(本人、子ども2人の場合)引かれていたことを納付税額のところで確認しましたが、税額計算上はどうなっていたのでしょう。

合計年税額の内訳

以下は、分離(事業・雑・譲渡等)分はないものとします。課税標準額に、市民税と県民税それぞれの税率をかけます。

住民税とひとくちに言っても、市民税(町村民税)・県民税に分かれています。※東京都以外

課税標準額=合計所得金額-所得控除額

  • 市民税算出所得割額=課税標準額×8%
  • 県民税算出所得割額=課税標準額×2.025%(神奈川県の場合)

税額控除額の内訳

以下は、住宅借入金等特別税額控除額、寄附金税額控除額、外国税額控除額はないものとします。

税額控除額の内訳調整控除額配当控除額特別税額控除額
市民税通常は 2,500*4/5=2,000総合課税の配当所得*2.24%定額減税*市民税所得割/(市民税所得割+県民税所得割)
県民税通常は 2,500*1/5=500総合課税の配当所得*0.56%定額減税*県民税所得割/(市民税所得割+県民税所得割)

定額減税(住民税)は1人あたり1万円減税といっても、市民税・県民税の所得割、それぞれに按分して、特別税額控除額の欄でマイナスします。

なので、内訳を見てもわかりやすく、10,000円、20,000円、30,000円といった表示はないのです。市と県の特別税額控除額を合計すると、30,000円などとなります。

このように定額減税は、所得割を減らすだけです。均等割など(市+県で通常4,000円、森林環境税1,000円)はまるまる残ることとなります。

定額減税は、所得割の額が上限です。所得割はマイナス(還付)になることはありません。定額減税>所得割 の場合、所得割は0円になります。

最終的な税額は

  • 市民税の所得割額-税額控除額+均等割額 3,900円(横浜市の場合、横浜みどり税+900円)
  • 県民税の所得割額-税額控除額+均等割額 1,300円(神奈川県の場合、水源環境保全税+300円)
  • 森林環境税 1,000円(今年からの新しい税金…従来の市・県各500円上乗せの実質的な継続)

上記3つの合計額が、最終的な住民税額です。ちなみに森林環境税は、国税(国に納める税金)なんですが、市町村が代わりに徴収して、県をとおして国に納める仕組みとなっています。

住民税は、見てきたように意外に複雑ですが、自力でExcel計算もできますし、自治体のホームページの試算サイトを使えば、それほど難しくなく検算もできます。ただし、試算では定額減税は反映されません。(自治体ごとに試算サイトがあります)

個人住民税 税額シミュレーション(税額の試算・申告書作成) 横浜市 (yokohama.lg.jp)

結論としては、自分の場合、所得税の確定申告にもとづいて、住民税を通常どおり計算し、そこから住民税の定額減税(原則として対象者1人あたり1万円)を引いた額が、普通徴収税額の合計になっていました。

最後は納付ですが

せっかくなので、納付書を金融機関に持ち込むのではなく、次のようなキャッシュレス納付も試してみてはと思います。

横浜市の場合、 市税の納付方法が知りたい 横浜市 (yokohama.lg.jp) で案内しています。一括納付、分割納付も選べますが、資金繰り上、通常の年4回納付がおすすめです。

  • クレジット納付(手数料がかかる!)
  • スマホ納付
  • ペイジー納付(ネットバンキングで払える!)
  • 口座振替

昨日のはじめて

近くの小学校で、租税教室のアシスタントをしました。子どもたちから次々サインを求められるという意外な展開に……。