土地の固定資産税が高くなる「空き家」とは?

当税理士事務所周辺の住宅地

最近は、新聞記事などニュースで空き家の話題が出るようになりました。

お住まいの近くでも、誰も住んでいない一軒家を見かけませんか? それも何軒も。

特に、数十年前に分譲された住宅地は、当時の購入者の高齢化にともない、

  • 子どもの自宅で同居するための転居
  • 介護施設への入所
  • 死亡など

の理由で、空き家になりがちです。

マンガ『正直不動産』19巻~20巻でも、「空き家」がテーマとして採用されました。

空き家は、管理する人がいないと急速に劣化していきます。

  • ネズミなどの動物が住みつく
  • 樹木が生長して、道路や隣地に越境する
  • 建物がブロック塀が老朽化して倒壊する

などなど、さまざまな問題が生じてきます

そこで、空き家の増加を抑制するための一つの政策として、特に状態の悪い空き家(管理不全空家等、特定空家等)について、固定資産税を高くする法改正が行わました。

住宅の敷地の固定資産税は低くなっている

空き家が残されてしまう原因としては、以下のようなものが考えられます。

  • 所有者はもう住んでいないが、認知症になり売ることができない
  • 住宅を相続した所有者は、別に自宅を持っており、住んでいない
  • 売却しようにも、共有になっており合意が取れず売却できずにいる
  • でも住宅が建っていれば、この低い固定資産税等の恩恵を受けられる

住宅の敷地(住宅用地)については、土地の固定資産税・都市計画税を減税する特例があります。

固定資産税が1/6、都市計画税が1/3に軽減されます。

取引価額4300万円の宅地でしたら、固定資産税・都市計画税を合わせても、原則、年51万円ほどのところ、約1/5の年10万円ほどで済みます。

上物は、ふつうの一戸建住宅のほか、居住部分の床面積割合が25%以上の店舗併設住宅も含まれます。

敷地は、軽減割合が最も高いものは、200㎡以下の土地に限られますが、これは、数十年前に分譲された宅地であっても、そのほとんどが該当するはずです。

この特例は、空き家であっても適用されます。空き家が増える一つの原因であるとも考えられます。

そのため、状態の悪い空き家に限っては、固定資産税軽減の恩恵を外そうということになりました。

空き家の固定資産税上昇を避ける方法

ただ、空き家のすべてについて、いきなり固定資産税がアップするわけではありません。

増税を避ける方法は2つあります。

  • 自分で住宅の管理をするか、業者に管理を依頼しておく
  • 管理できず、行政から指導が入ったら、その指導にしたがう

空き家といっても、いろいろあります。いま、誰も住んでいないからといって、すべてが増税される空き家にはなりません。

新築してこれから賃貸に出そうとか、すでに不動産屋さんに売却を依頼しているとかで空き家になっているということもあります。

また、空き家であっても、親族や不動産業者が草むしりするなど、管理されているものもあります。こういった空き家であれば、まず心配はいりません。

問題になるのは、次のような空き家です。

  • 放置されたことで老朽化が進み、雨どいが外れそう、ブロック塀が崩れそう、といった倒壊のおそれがある
  • その空き家の周辺の道路の通行人や自動車、また隣地の住宅に、倒壊したものが衝突することで人的・物的被害のおそれがある
  • 地域的に、景観保全のルールがある、または、台風・大雪の被害を受けやすい

そのため、たとえ廃屋のようになっていても、周辺が野っぱらであったりすれば、問題になりません。

また、このような空き家であっても、即、固定資産税等がアップしたりはしません。

まず、自治体から指導が入ります。指導が入ったら、ちゃんとそれにしたがっていただければと思います。

指導に従って、状況を改善すれば、固定資産税等のアップは避けられます。

指導にしたがわず、勧告を受けると固定資産税アップ!

指導にしたがわない、または、対策をしたが前より悪化している場合、自治体から第2段階の措置として、「勧告」を受けることになります。

この、「勧告」を受けた空き家が、固定資産税増税の対象です!

勧告は、所有者の方への手渡しか、「配達証明郵便(書留)」 AND/OR 「内容証明郵便」で文書で行われます。

この勧告を受けた時点で、住宅用地の固定資産税・都市計画税の軽減特例がなくなります。(その勧告にも、この増税が行われる旨の内容が記載されることとなっています)

この勧告は、空家等対策の推進に関する特別措置法にもとづく「管理不全空家等」か、「特定空家等」に対して行われます。

特に状態に問題がある「特定空家等」は、これまでごく限られた件数(横浜市だけでわずか209軒)でしたが、「管理不全空家等」という新区分が誕生して、固定資産税等の上昇の対象になりやすくなります。

横浜市内の住宅地でしたら、基本、空き家は売れますので、空き家のまま放置せず、売却に向けて動かれることをおすすめします。

昨日のはじめて

朝イチでKindle本を執筆。こうしないと書けないですね……