首都圏のマンションは、売ると売却益が出がちです。
来年の納税額が多額になったり、個人事業主の方は国民健康保険料がアップしたりするので、事前にその出費を知っておきたいところです。
売却益が出るなら、確定申告が必要
買った値段と同じ金額で売れても、建物部分が中古で価値が下がっているのに新築と同額で売れたということで、利益が計算されます。
売却益が出た場合、確定申告が必要になります。
(売却損が出た場合、原則として確定申告はいりませんが、売却収入で既存のローンが返せない場合、買換えの場合には確定申告で減税が受けられる場合があります)
売却益+住宅ローンで、新しい家に住み替えることもお考えかもしれません。
売った家については3000万円特別控除が受けられ、新しい家については住宅ローン控除が受けられる……というのが通常ですが、このような買換えの場合には受けられないケースがほとんどです。
売ったときの売却益に3000万円特別控除を使ったら、住宅ローン控除は使えない
新しい家を買う前(買った年・その前年・前々年)に、古い自宅マンションを売って、買った年の確定申告で3000万円特別控除の減税措置を受けたい場合、住宅ローン控除は受けられません。
反対に、新しい家を買った後(買った翌年・翌々年・翌々々年)に、古い自宅マンションを売って、売った年の確定申告で3000万円特別控除を受けたら、住宅ローン控除は受けられません。
この場合、すでに受けてしまった過去年の住宅ローン控除について、売った年の確定申告期限までに、修正申告・納付が必要になります。
3年間住宅ローン控除を受けていたら、3年分の減税額を追加で納付します。
3000万円特別控除と住宅ローン控除、どちらを使うべきか
住宅ローン控除が使えるのは、原則として10年間です。
一方、住宅ローンの平均返済期間は、32.7年です(2023年 国土交通省住宅市場動向調査)。
また、住宅ローンの平均金額は、4447万円で、平均年間返済額は155万円となっています。
すると10年後でもローンは2000万円以上残ります。
住宅の性能が特別高くないと、2000万円×0.7%の税額控除が上限になるので、10年間で140万円の控除。
これと、3000万円特別控除(10年以上居住なら軽課税率も)によって減少する税額と比べて、大きい方を使うべき、と考えられます。
しかし、今後10年間、その新しい家に住み続けるか、毎年140万円以上の所得税・住民税が安定的に発生するか、も検討する必要があります。
金額の有利不利だけでなく、納税はあと送りになったほうがよく、また、将来に影響を及ぼすことは避ける、という方針も加味して判断しましょう。
不動産の売却があったら、年内に税理士への相談をおすすめしています。売却する前に相談できると、なおよいでしょう。
編集後記
フリーランスについての統計を調べました。事業所得者・雑所得者の申告人数に比べて、フリーランス、やけに多いな? と思ったら、ひとり社長も「フリーランス」として総務省の統計に含まれていたせいでした。(あとは副業で申告不要なのか、単に申告していないのか……)