NPO法人会計基準では、収益は発生主義を取っています。
現金主義(収支計算書方式)ではないということです。
収益についていうと、お金が入ってきたからといって、その入ってきた年度の収益にするとは限らないという意味です。
収益の発生主義とは何か?
収益は、確定した金額の、経済的価値が、外部から内部に入ってきたときに、仕訳をするという意味です。

受取寄付金と発生主義
NPO法人特有の収益として、受取寄付金があります。
会社で経理経験があった方でも、寄付金を受け取った仕訳は、あまりしたことがないのではないかと思います。
でも、寄付金を払うことは、意外にあったりするものです。
費用としての寄付金は、お金が実際に出て行ったときに計上します。
寄付の約束をしても、いつでも撤回できます。
実際に支払うまでは確実と言えないため、寄付金(費用)の未払計上というのはできなくなっていました。
しかし、寄付をもらう側のNPO法人として、受取寄付金(収益)については、未収計上ができる場合があります。
受取寄付金は、確実に入金されることが明らかになった場合に収益として計上する。
NPO法人会計基準 13.(受取寄付金)
未収寄付金を計上できる場合(例外)
寄付金は、払ったときに費用になるので、もらったときに収益とするのが原則です。
例外もあり、寄付の仲介サイトでは、多くの場合、クレジットカードでの寄付が可能になっています。
通常のケースですと、寄付する人が、サイト上でカード決済できた時点で、NPO法人にはカード会社(決済代行会社)から確実に寄付金が入ってきます。
その金額も明らかです。
確定した金額(寄付する人が入力した金額)の経済的価値(寄付金)が、外部(カード会社)から、内部(NPO法人)に入ってくるわけです。
その場合、実際に預金口座に入金される前であっても、普通預金(資産)の代わりに、「これからお金になる資産」として、未収入金(資産)を使います。
未収入金(資産)/受取寄附金(収益) という仕訳になります。
日付は、寄付する人が、寄付をした日です。預金口座に入ってきた日ではありません。
同様に、コンビニ収納ルートも、寄付する人が手続きをした日(入金前)で収益にします。(取引明細を参考に入力します)
現物寄付の場合
「ありがとうブック」のように、現物による寄付を仲介するサイトもあります。
これは、仲介サイト運営者が本などを買い取り、売却代金をNPO法人に送金してくれるサイトです。
実際に現物を寄付するのではありません。
仲介サイト運営者から定期的に明細が届き、〇月〇日にいくら入金されることが事前に確定しているのであれば、やはり、そのタイミングで 未収入金/受取寄付金 を計上します。
このように未収入金で入金前の事業年度に収益にしたものは、翌期、実際に入金になったときに受取寄附金にはしません。
が、期首以降の入金のつど、どの入金が、前期の決算でどの未収入金に対応するものかチェックするのには時間がかかります。
これには、対策があります。
翌期の入金時には 普通預金/受取寄付金 としておくのです。
そして、次の決算時に、前期末に 未収入金/受取寄付金 とした決算整理仕訳をまとめてひっくり返します(受取寄付金/未収入金)。
わざと前期と今期で2回計上した受取寄付金を、今期で1回だけ取り消すことで、正しい収益に直すという方法です。
この方が、手間が省けるのでおすすめです。
編集後記
お客様にメールを返しつつ、合間に村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』を読み返しています。
1日1新:NHKオンデマンド「100分de名著」 ねじまき鳥クロニクル

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細