長期的視点を持つには、いま幸せになろうとしないこと

私は、ときどき、出かけるときに忘れ物をしてしまうのですが、その原因ははっきりしています。

いま、自室にいて、必要なものを思い出し、それが玄関にある場合、「じゃあ、家を出るときに持っていけばいい」と思ってしまったからです。

でも結局、家を出るときには、一連の動作が身についているので、そういう例外的動作を忘れて出かけてしまいます。

そういうことって、ありませんか?

高校の国語の先生「ばらさん」に薦めてもらった 『アラン人生語録』

なんで、あとでやろうと思ってしまうのか

なぜ、いますぐに玄関に取りにいかなかったか。

いま、玄関に行って必要なものをカバンに入れて、また自室に引き返し、再度玄関に行くのは効率が悪い、と思ってしまったからでしょう。

要は、いま幸せになろうとしてしまったのです。
将来の、忘れ物をするミスを減らす幸せを選ばずに。

もちろん、あとでやろうと思ったことは To Do にメモすればいいのですが、そんな時間があれば玄関に行けました(時間がかかる「あとでやること」はメモしますが)。

いま幸せになることはできない

今回の忘れ物で、いますぐ幸せになることはできないのだな、と実感しました。

初めて会った人と、その日のうちに結婚しようとしたアナ(アナと雪の女王)のその後を見れば分かるとおりです。

それなのに、存在しない「いまの幸せ」を選ぶと、存在しないものだから、やっぱり将来のミスを引き起こします。

いまが楽なほう、いまが幸せなほうを追求すると、なんら、改善というものが行われません。
いまは何もしないのが、いまいちばん楽で幸せですから。

いまは大変だけど、次回以降のためにマクロを組むとか、RPAのフローをつくるとか、チェックリストをつくるとか、制度の理解に努めるとか、そういうことをしたほうが、将来の幸せにつながると思うのです。

独立開業も、すぐに上手くいって幸せなるケースは例外です。
多くの場合、時間を味方につける必要があります。

節税商品を薦めないのは、「いまの幸せ」の追求だから

節税もそうなんです。

いますぐ税金を減らしたい、という会社のところにいろいろな節税商品が持ち込まれるという話をよく聞きます。

が、私は積極的にそういうものは薦めていません。

節税商品として宣伝されれば、それはいずれ規制の対象になります。

いまは節税の効果があるかもしれないけれども、将来、法律や通達や文書回答事例によって、来月には効果がなくなるということもありうるのです(場合によってはパブリックコメント等で事前に分かりますが)。

「いますぐ幸せになる」という言葉は存在しますが、リアルには存在しません。

いまの幸せを選ばないほうが、長い目で見ればいいことが多いと考えています。

いま選ぼうとしている選択肢が、いまの幸せ、いまの楽さにつながるものであれば、あえて避けてみましょう。
長期的視点は、そういう、ちょっと常識に反する判断基準から生まれるのではないでしょうか。

編集後記

お客様への質問メールを考えつつ、学校行事で子どもの通う学校へ。
その後はWebセミナーで税務調査について、リアルセミナーで法人保険税務について。

1日1新:子どもの進路説明会