会計ソフトなしで、青色申告決算書の経費を分ける

「開業届といっしょに青色申告承認申請書も出して」と言われて出した方。

ただ、じつは簿記(帳簿の付け方)のことはよく分からないし、会計ソフトも持っていない。

でも青色申告は帳簿をもとに決算書を作らないといけない……。

という方向けに、最低限やっておくべきことをお伝えします。

まずゴールを確認しよう

青色申告をすると、最低でも10万円の特別控除が受けられます。

お金が出て行っていないのに、10万円×税率の税金が減る。ささやかですが、ひとつの節税です。

その節税できる条件が、青色申告決算書のうち、損益計算書を作ることです。

これがゴールです。

去年分のレシートや請求書、納付書のたぐいを、この「経費」の中にある「〇〇費」などに分類しましょう。

どういうふうに経費を分けるか

租税公課…ここには、収入印紙代、(軽)自動車税、事業税、固定資産税などの税金と、同業者団体や商工会議所の会費を入れます。

「租税」と「公課」という二つの言葉からできています。「租税」は税金です。ただし所得税自体は入りません。

「公課」とは、会費のことです。自宅とは別にお店で払う町内会費も入ります。

よく、「諸会費」という科目を追加する人がいますが、じつは追加しなくていいのです(同業者団体の会費の金額が大きくて、別途管理したい人だけが分けます)。

荷造運賃…商品をメール便などで発送したときの送料です。

水道光熱費…店舗や事務所の電気・ガス・水道代です。

旅費交通費…ETC、バス代、電車代、飛行機代といったものです。

通信費…電話代、インターネット代、郵便代です。

広告宣伝費…Google広告代やチラシの印刷代です。

接待交際費…懇親会費や、手土産代です。

損害保険料…自動車保険、自賠責保険、損害賠償責任保険などの保険料です。

修繕費…定期メンテナンスや、車検費用です。

消耗品費…1個あたり10万円未満の備品・文具代です。

減価償却費…10万円以上の備品代や、20万円以上の分担金などは減価償却をします。が、これは後回しです。

福利厚生費…従業員であれば全員が利用できる従業員向けサービスの費用です。

給料賃金…従業員の給料やアルバイト代です。

外注工賃…その人を事務所や店舗に拘束せず、仕事のやり方を指示もせず、ただ、お願いした仕事を仕上げてもらった人に払った費用です。

利子割引料…借入金の利子です。

地代家賃…賃貸店舗や月極駐車場の利用料です。

貸倒金…掛け売りしたものの回収できなかった金額ですが、これも後回しです。

雑費…上記以外のこまごまとした費用です。振込手数料など。

まずは、経費の領収書、レシート、請求書のたぐいを、上記のイメージで、経費の名前(勘定科目)ごとに分けてしまいましょう。

オリジナルの勘定科目(空欄に追加するもの)は、いったんなしで、あるものを使います。

経費であれば、勘定科目を間違えても、怒られることはありません。スピードを優先して、とりあえず分けていきましょう。

あとはその勘定科目ごとに分けたレシート等を一気に足し合わせれば、損益計算書はできます。

その計算過程をExcelに入力すれば、それが帳簿です。

Excelに日付列を作って入力しておけば、レシートを月別に分類したり、日付順に入力したりする必要はありません。

帳簿であるExcel上で、あとで日付順に並び替えることができるからです。

とにかくExcelで経費の勘定科目ごとの集計表(帳簿)を作ってしまいましょう。

資料の月列の整理は、確定申告をしたあとでも大丈夫です。

月別売上(収入)金額・仕入金額

損益計算書の次のページに、「月別売上(収入)金額及び仕入金額」という欄があります。

これも月別に分けるのか……と思った方、大丈夫です。

ネットで確定申告書が作れる「確定申告書等作成コーナー」ではこの欄、空欄でOKです。

その下に合計額だけを入力するフォームがあるので、年額を出して、そこに入力すれば、とりあえず、決算書は作れます。

なお、年内に入金がされなくても、年内に納品したものは、売上金額に入れます。

翌年に入金されても、翌年の売上にしないので、去年分の入金(今年の売上にしない)とわかるようにしておきましょう。

反対に、年内にお金を払っても、その商品が売れ残ったり、来年売る予定のものを買ったのであれば、その代金は、仕入金額から除きます。

その金額を、翌年の経費になることが分かるようにメモする欄があり、それが「期末商品棚卸高 (5)」です。

この金額を次回の確定申告の「期首商品棚卸高 (2)」に転記すると、差引原価の計算で自動的に、翌年の経費(売上原価)になるようになっています。

ここまで整理しておけば、青色申告はできます。

時間がなくて自力でできなくても、外注で受けてくれる税理士さんが見つかるのではないでしょうか(うちでも受けています)。

編集後記

今日は日程調整、Kindle本執筆、お客様の確定申告など。