ネオジオCDのゲームで個人的に一番感動したのは、リアルバウト餓狼伝説のテリーのエンディングでした。
餓狼伝説シリーズのストーリーは、ギースに養父を殺されたテリーが、その敵討ちをするという、ごくシンプルなものです。
その最終目標である敵討ちを果たしたテリーは、なぜ、浮かない顔をしているのでしょうか。
この理由は、作中で具体的な言葉にされたことがありません。
物語でいちばん大事なメッセージは、言葉にされない。これは、どんな小説でも映画でも同じです。
それを26年かけて、能動的に探っていくのが、作品のファンの務めです。

テリーが本当に望んでいたこと
2025年に、26年ぶりの新作、餓狼伝説 City of the Wolves が登場し、ストーリーが完結したことで、その理由が分かりやすくなりました。
私は1990年代当時小学生~大学生でしたし、リアルバウト餓狼伝説の映像には感動したものの、なぜ感動したのか、その意味までは分かりませんでした。
それから26年経ち、私も人の子の親となり、新作をプレイしたことで、やっとわかった気がします。
私なりの結論としては、テリーは、敵討ちの連鎖を止めたかったのだということです。
殺されたから、殺し返す。その理屈を推し進めると、今度はテリーが敵討ちの対象になってしまいます。
理屈からすると、今度、テリーを殺しにくるのはロックです。
ロックは宿命の闘いの連鎖の鎖の一部であり、このままでは歴史が繰り返すことになる。
そう判断したテリーは、ギースタワーから落下するギースの腕をつかんだ、と考えています。
ギースとは何だったのか
しかし、ギースはあくまでテリーの敵ですから、テリーの望みを叶えることに協力する義理はありません。
もちろん、その手を振り払います。そして、哄笑しながら落ちていきます。
何に対してギースは笑っていたか。「お前も、この復讐の連鎖に組み込まれたのだ」という笑いです……と私は考えています(この記事、すべてがEDF※スコアネーム の私見です)。
次はお前が恨まれて、殺される番だ。
餓狼伝説、伝説の餓狼とはテリーだとよく言われますが、私は「ギース」のことだと考えます。
餓狼伝説スペシャルのギースのエンディング「この程度で俺は満足せんぞ…。」が、餓えた狼、ギースを象徴する台詞です。
餓狼伝説とは、ギースの伝説です。だから、ギースが死亡してしまうと、ストーリーが進まなくなってしまうのです!(RBS、RB2)
復讐の円環の中に閉じ込められてしまったのが、リアルバウト餓狼伝説以降の餓狼伝説です。
リアルバウト餓狼伝説自体、餓狼伝説1の時間軸を進めただけのリメイクという側面がありました。
何なら、もう一度餓狼伝説1の時間軸で、ゲーム(餓狼伝説 WILD AMBITION ※この言葉も、ギースを象徴しています)を作りなおすことまでしています。
そして、リアルバウト餓狼伝説で、心情的にはギースが勝利したため、その後、ナイトメアギースとして、幾度となくテリーの前に出現することになります。
あれは、テリー(アンディ)の見ている悪夢です。その悪夢を振り払うための Mark of the Wolves 新技がバスターウルフでした。
バスターウルフは、真の餓狼、ギースを倒すための技なのです。
復讐の連鎖(宿命)から脱出すること、それが最新作である餓狼伝説 City of the Wolves のテーマです。
主題歌 Chain Reaction が、明確にそのテーマを歌い上げています。
ロックからテリーへ、テリーからロックへのある種の交換が行われて、円環は閉じられることなく、物語が終わります。
ロックのエンディングを見たとき、ラストシーンで涙が自然にこぼれてしまったのは、プレイヤー自身も、その宿命から解き放たれたことを、彼らと同じように感じていたからだと思います。
不幸を繰り返さないのが、独立した者の特権です
会社勤めをしていた人が独立する。
そこには、なにがしかの思いがあったはずです。
会社にいると、なにがしかの不幸を感じてしまい、ここにいると、それを繰り返すことになってしまう。
だから、そこから逃れるために、独立・開業をしたはずです。
そうなった以上、そのときに感じていたことを、独立後、繰り返さないようにしましょう。
もちろん、いきなりその段階にはいかないでしょうから、それまでの時間を持たせるための、いろいろな担保は必要です。
国家資格だったり、預貯金残高であったり、人脈であったり、若さ(時間)であったり、付いてきてくれる顧客であったり。そういうものが、2つ以上必要です。
自由はただではありませんが、独立していれば自由になれる可能性はあります。
しかし、油断していると、また自由は失われていきます。
自由とは何か、なんて重いテーマですが、餓狼伝説 City of the Wolves をロックでプレイすれば、その意味は体感できます。
古巣のやり方に縛られることなく、不幸の円環を、ともに断ち切っていきましょう。
編集後記
連休らしく過ごしています。しかし明日はちょっと仕事もしますが。
1日1新:鎌倉とうふの自動販売機、子どもと餓狼伝説 City of the Wolves で対戦

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細