テリーはなぜギースを助けようとしたのか ギースはなぜ拒否したのか 餓狼伝説から学ぶ自由の意味

ネオジオCD リアルバウト餓狼伝説 エンディング(YouTubeで見つけたもの)

ネオジオCDのゲームで個人的に一番感動したのは、リアルバウト餓狼伝説のテリーのエンディングでした。

餓狼伝説シリーズのストーリーは、ギースに養父を殺されたテリーが、その敵討ちをするという、ごくシンプルなものです。

その最終目標である敵討ちを果たしたテリーは、なぜ、浮かない顔をしているのでしょうか。

この理由は、作中で具体的な言葉にされたことがありません。

物語でいちばん大事なメッセージは、言葉にされない。これは、どんな小説でも映画でも同じです。

それを26年かけて、能動的に探っていくのが、作品のファンの務めです。

ハラカド3階のアート展示で

テリーが本当に望んでいたこと

2025年に、26年ぶりの新作、餓狼伝説 City of the Wolves が登場し、ストーリーが完結したことで、その理由が分かりやすくなりました。

私は1990年代当時小学生~大学生でしたし、リアルバウト餓狼伝説の映像には感動したものの、なぜ感動したのか、その意味までは分かりませんでした。

それから26年経ち、私も人の子の親となり、新作をプレイしたことで、やっとわかった気がします。

私なりの結論としては、テリーは、敵討ちの連鎖を止めたかったのだということです。

殺されたから、殺し返す。その理屈を推し進めると、今度はテリーが敵討ちの対象になってしまいます。

理屈からすると、今度、テリーを殺しにくるのはロックです。

ロックは宿命の闘いの連鎖の鎖の一部であり、このままでは歴史が繰り返すことになる。

そう判断したテリーは、ギースタワーから落下するギースの腕をつかんだ、と考えています。

ギースとは何だったのか

しかし、ギースはあくまでテリーの敵ですから、テリーの望みを叶えることに協力する義理はありません。

もちろん、その手を振り払います。そして、哄笑しながら落ちていきます。

何に対してギースは笑っていたか。「お前も、この復讐の連鎖に組み込まれたのだ」という笑いです……と私は考えています(この記事、すべてがEDF※スコアネーム の私見です)。

次はお前が恨まれて、殺される番だ。

餓狼伝説、伝説の餓狼とはテリーだとよく言われますが、私は「ギース」のことだと考えます。

餓狼伝説スペシャルのギースのエンディング「この程度で俺は満足せんぞ…。」が、餓えた狼、ギースを象徴する台詞です。

餓狼伝説とは、ギースの伝説です。だから、ギースが死亡してしまうと、ストーリーが進まなくなってしまうのです!(RBS、RB2)

復讐の円環の中に閉じ込められてしまったのが、リアルバウト餓狼伝説以降の餓狼伝説です。

リアルバウト餓狼伝説自体、餓狼伝説1の時間軸を進めただけのリメイクという側面がありました。

何なら、もう一度餓狼伝説1の時間軸で、ゲーム(餓狼伝説 WILD AMBITION ※この言葉も、ギースを象徴しています)を作りなおすことまでしています。

そして、リアルバウト餓狼伝説で、心情的にはギースが勝利したため、その後、ナイトメアギースとして、幾度となくテリーの前に出現することになります。

あれは、テリー(アンディ)の見ている悪夢です。その悪夢を振り払うための Mark of the Wolves 新技がバスターウルフでした。

バスターウルフは、真の餓狼、ギースを倒すための技なのです。

復讐の連鎖(宿命)から脱出すること、それが最新作である餓狼伝説 City of the Wolves のテーマです。

主題歌 Chain Reaction が、明確にそのテーマを歌い上げています。

ロックからテリーへ、テリーからロックへのある種の交換が行われて、円環は閉じられることなく、物語が終わります。

ロックのエンディングを見たとき、ラストシーンで涙が自然にこぼれてしまったのは、プレイヤー自身も、その宿命から解き放たれたことを、彼らと同じように感じていたからだと思います。

不幸を繰り返さないのが、独立した者の特権です

会社勤めをしていた人が独立する。

そこには、なにがしかの思いがあったはずです。

会社にいると、なにがしかの不幸を感じてしまい、ここにいると、それを繰り返すことになってしまう。

だから、そこから逃れるために、独立・開業をしたはずです。

そうなった以上、そのときに感じていたことを、独立後、繰り返さないようにしましょう。

もちろん、いきなりその段階にはいかないでしょうから、それまでの時間を持たせるための、いろいろな担保は必要です。

国家資格だったり、預貯金残高であったり、人脈であったり、若さ(時間)であったり、付いてきてくれる顧客であったり。そういうものが、2つ以上必要です。

自由はただではありませんが、独立していれば自由になれる可能性はあります。

しかし、油断していると、また自由は失われていきます。

自由とは何か、なんて重いテーマですが、餓狼伝説 City of the Wolves をロックでプレイすれば、その意味は体感できます。

古巣のやり方に縛られることなく、不幸の円環を、ともに断ち切っていきましょう。

編集後記

連休らしく過ごしています。しかし明日はちょっと仕事もしますが。

1日1新:鎌倉とうふの自動販売機、子どもと餓狼伝説 City of the Wolves で対戦