もともと会社勤めをしていた方が、フリーランスになる。
会社員とフリーランス、考えれば考えるほど、真逆の存在です。
とはいえ、その違いについては、ChatGPTに聞けば、かなり詳細に教えてくれます。そこを私がお伝えしても仕方がありません。
フリーランスの大海原にこぎだそうとするとき、結局のところ、お金が問題になります。
給料という定期収入を失うことは、確実だからです。
そういう方にもサポートできるよう、私は、単発相談の料金を設定しています(代行はしませんが)。
税理士への丸投げは、最低でも10数万円はかかるでしょうから。それよりは安いと思っています。
会社をやめるときに、お金の問題を最小化しておけば、焦ることも不安になることも小さくできるはず。
そこで、退職時の資金繰り改善策を考えてみました。

退職金
フリーランスになる前から、お金の問題は始まっています。
退職金が出るなら、会社から依頼された退職金関係の書類は全部書いて、確実に提出しましょう。
書類(退職所得の受給に関する申告書)をちゃんと出さないと、退職金から天引きされる税金が大幅に増え、手取りが減ってしまうからです。
また、中退共(中小企業退職金共済)からも退職金が出る場合、書類が2枚になります。
中退共からの退職金が300万円以上の場合、実印(印鑑証明書)が必要です。
「じつはまだ実印を作っていなかった」方、ここで、はんこ屋さんに行きましょう。
実印のラインナップから、一番安いのを選びます。ここにお金をかけても仕方ありません。
役所で印鑑登録をし、コンビニで印鑑証明書を発行してもらいます(マイナンバーカードが必要だが、こちらのほうが安い)。
住民税
会社の総務部・経理部なり給与計算担当者の方から、住民税についてどうするか聞かれます。
いままであまり気にしていなかったと思いますが、お給料から去年の所得に対する1年分の住民税が、分割して天引きされていました。
退職してしまうと、もうお給料から天引きできなくなります。
すると、会社のほうでは、まだ天引きしていない住民税を、最後の給与や賞与から、数カ月分まとめて天引き(一括徴収)していいか、聞かれます。
しかし、独立後がゼロスタート見込みで、資金繰りが心配な場合は、ここで、「普通徴収」にしてもらいましょう。
普通徴収のほうが、退職直後の預金残高は、一括徴収より多くなります。
その後、自宅に住民税の納付書が届きますので、それぞれの納期限までに、ご自分でコンビニ等で払えばよいです。
クレジットカード払いもできます。:地方税お支払いサイトで住民税(普通徴収)をカードで払う
カード引き落とし日まで実質的に納税をあと送りできるので、こちらも検討してみましょう。
カード決済手数料はかかりますが、長い目で見てトク、トータルでおトク、という選択ができるのは、資金が潤沢な人だけです。
社会保険、損害賠償責任保険
会社で加入していた健康保険組合を任意継続するか、国民健康保険料に切り替えるかの選択があります。
もともと、それなりに年収が高い(年600万円程度)であれば、一般に任意継続が有利です。
家族も被保険者になっている場合はなおさらです。
ただ、これは、実際にそれぞれの保険料を確認してから判断しましょう。
- 健康保険組合に、任意継続した場合の月額保険料を聞く
- 自治体に国民健康保険料に切り替えたときの月額保険料を聞く
任意継続だと、原則、2年間はその保険料額が変わりません。
国民健康保険料は、しばらく、勤めていたときの給与水準に応じた金額となり、通常、かなり高額になります。
それでも、ゼロスタートで初年度が赤字であるなら、次の年度からはそれが激減します。
これも、2年のトータルでどちらが有利か、選べるのは、手元の資金が厚い人だけです。
そうでなければ、当面の月額保険料が少ない方を選ぶべきです。
フリーランスの仕事内容が「小説家や画家等」であれば、文美国保も検討します。
加入希望の方 | 文芸美術国民健康保険組合
国民年金保険料も、年払い、2年払いのほうがトータルでは安いのですが、資金繰り上はよくありません。
資金に不安があれば、月払いにしておきましょう。
また、業務委託の損害賠償責任保険に入りたい場合は、フリーランス協会の有料会員になるのがおすすめです。
保険料が安く、さまざまなサービスも受けられるからです(ただし、士業の方の本業に関しては、保障されません)。
所得税(確定申告)
最後に、税金(所得税)、確定申告はどうか。
これは、2025年から基礎控除が大幅にアップ(最大95万円)したため、フリーランス初年度に95万円+社会保険料額ていどの利益を出しても、所得税は0円になることもありえます。
(初年度の場合、独立するまでの給与・退職金も合算されるので、いちがいには言えませんが)
フリーランスの仕事内容によっては、法人や雇用している個人からの報酬受取りが、源泉所得税天引きになります。
すると、天引きされた税金は、必ず0円より多いですから、全額が還付されます。
ここは、1月上旬にはe-Taxで確定申告をして、1月中には早期の還付を受けたいところです。
e-Taxだと、還付も早くなります。
そのためにも、フリーランスになったあとの経理は、毎日やるようにしましょう。
以上、独立したてのフリーランスの資金繰り改善のアイデアを書いてみました。
近況報告
今日は主にフリーランス方の記帳代行の仕事。データ連携されていない資料をもとに、100仕訳超を、Excel関数を活用して80分ほどで。
その後は、仕事を依頼している方との打ち合わせを。
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1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細