簿記の考え方で純資産が増えたら税金がかかる

今日、川崎の丸善に行ったら、簿記の本がたくさん売られていました。

自分で経理をするにあたって、ああいう本を1冊読んでみるのもおすすめです。
資格試験用でなく、実務的なものでよいです。

簿記と税金は、非常に関わり合いが深いからです。
(税理士試験でも、簿記と税金の科目を受験するほどです)

税理士受験生時代の簿記の副教材 要点チェックノート

複式簿記は何をしているのか?

簿記(複式簿記)の考え方は、ほとんどすべての税金の前提になっているので、知っておいて損はありません。
読んだことを、日々の経理で実践できれば、知識として定着していきます。

複式簿記は何をしているか? 純資産の増減を記録している、といえます。
そして、純資産が増えると税金も増え、純資産が減ると税金も減るのです。

なお、個人の場合は、生活費として使った分は、実際の純資産に足し戻します。
純資産が増加した分を自分のために使えるからです。
生活費は、所得そのものです。

「生活費を経費にしてはいけない」どころか、生活費を出せることは、所得があることの証明なのです。
(貯蓄を取り崩している場合は除きます)

借入をしても返済をしても、純資産は増えない

「住宅ローンを払っているから、これが経費にならないの?」。
この質問が、たまにあります。

借入という行為は、資産と負債とを同額増やす結果になるので、純資産(資産-負債)はプラスマイナスゼロ、変動なしということになります。
だから、借入で預金残高が増えても、税金はかからないのです。

ちなみに、その反対の、借入の返済という行為も、資産と負債が同額減る行為なので、純資産は減っていません。
だから、経費になりません。

借入の利息については、それを払ったことで純資産は減っています。
なので、事業用の借入については、支払利息は経費になります。

契約をしただけでは、取引ではない

簿記の勉強をしていて、最初のほうに必ず習うのが「契約しただけでは、会社の財産に何らの影響を及ぼしていないので、簿記上の取引に該当せず、仕訳はしません」ということです。

これが、意外と重要な考え方です。
簿記だけの話ではないからです。

よく、相続税の節税策として、生前贈与が挙げられます。
贈与をすると、相続があったときに、相続人が受け取る財産が減ります。
すると、相続時における相続人の純資産の増加が抑えられ、連動して相続税が抑えられることになるからです。

相続税や贈与税も、純資産が増えた分に税金がかかるという意味で、所得税の一種です。

その際、ネットの情報で「贈与契約書を作りましょう」という話も出てきがちです。

「そうか、贈与契約書を作れば、将来の相続税が減らせるんだな」。そう、早合点してはいけません。

思い出してみましょう。
「契約をしただけでは、純資産は増減しないので、取引に該当せず、仕訳なし」

これと同じなのです。
贈与契約書を作っただけでは、税金が減る要素はどこにもありません。

実際に贈与することが必要です。
ご自分の純資産が減るから、相続税が減るのです。
(贈与された側は純資産が増えるので、贈与税が増えます)

近況報告

年末調整の資料収集のお願いでお客様を回るなど。
川崎、上大岡あたりを所用で。

1日1新:LEAFLETTER(川崎のカフェ)