給与か外注費かをシンプルに説明すると

人件費のかかる仕事をしていると、事務負担が増大します。

源泉徴収だ、翌月10日納付だ、定額減税だ、年末調整だ、とやる必要がありますし、社会保険の手続きもあります。

年末調整って簡単にいいますけど、従業員全員の確定申告を代わりにやってあげてるに近いので、大変ですよね。

だったら外注になってくれれば、こちらは(業務によっては)天引きもせずに払うだけ、確定申告は外注さんが自分でやるという形になるので、会社は楽ではあります。

ただ、働き方が変わらなければ、外注費として処理できません。

「〇時までここにいて、上の指示に従ってね」は給与

お金を払う人から見て、仕事を頼みたい人に、どうあってほしいかが分かれ目です。

ごくシンプルに言うと、その人に、次の3つを希望するなら、給与です。

  • 〇時から〇時までいてほしい
  • ○○という場所にいてほしい
  • ○○さんの指示に従ってほしい

自社がメインの働き先なら、扶養控除申告書を出してもらい、甲欄で源泉徴収し、年末調整も行います。

自社がサブの働き先なら、乙欄で源泉徴収します。年末調整はしません。

だいたいのお仕事は、この要望を満たす必要があるので、給与になります。

源泉徴収が手間なら9,200円未満/日の丙欄給与か派遣

その人が短期のアルバイトで、棚卸作業や繁忙期のみ数日間働いてもらうだけなら、「源泉徴収税額表」の日額表・丙欄の給与(日払いの給与等)を支払う方法もあります。

法律上は、「労働した日ごとに支払」となっていますが、通達で緩和されています。

2カ月以内の雇用契約で、日給・時給で計算するものについては、来てくれた日にそのつど現金で払う方法だけでなく、数日分まとめて払う方法でも、日額表丙欄を使用してよいことになっています。

その場合は、日給が9,200円未満であれば、源泉徴収税額は0円となります。

ただ、2024年の神奈川県の最低賃金1,162円だと、1日7時間労働で日給8,134円が現実的な上限です。

あるいは、8時間労働で雇用保険料を引けば、9,200円を切れるかもしれません。

「それじゃ人が来ないよ」という場合だと、源泉徴収は免れません。

源泉徴収して、なおかつ日ごとに払わずに、数日分まとめて払うことも可能です。

その場合、1日ごとの日給に応じた日額表丙欄の税額を日数分合計し、支給時にまとめて天引きします。

「どうしても源泉徴収事務をしたくない」ということですと、人材派遣会社を利用することになりますが、お値段はけっこうしますね。

「〇日までに、この仕事仕上げてきてね」が外注費

お仕事を頼む人について、次のようなスタンスで臨むなら、外注費です。

  • この日までに、この仕事を仕上げてきてね
  • 仕上がらなかったら、お金は払わないよ
  • 仕事に必要な道具は、こっちで用意しないよ

仕事の完成に対して、代金を支払う関係になっているかどうかです。

仕上がっていれば、その人は帰っていいかどうか。

仕事が仕上がっていなくても、締め日が来たらお金を払うなら給与です。

色々紹介しましたが、結局のところ、いい人に来てもらおうと思ったら、いい給料で、扶養控除等異動申告書を出してもらい、期限の定めのない無期雇用で、年末調整もするのが現実的なところでしょう。

今年の年末調整は、定額減税の処理が増えるので、早めに準備をすすめたいところです。

定額減税の処理が正しくできるか不安な方の年末調整のご相談(チェックまたは代行)も、税理士の仕事です(これは外注費です)。

編集後記

今日は商工会の仕事を一緒に請け負う税理士の方、年末調整の依頼をご検討中の方とのお電話を2件。