NPO法人が行う特定非営利活動の一つに、「学術、文化、芸術又はスポーツの振興を図る活動があります。
スポーツ教室をNPO法人の事業として行う場合に、法人税・消費税の関係を確認しておきましょう。
スポーツ教室は収益事業に該当するか?
スポーツ教室では、コーチなどの指導者が、スポーツを習いに来た人に教えます。
スポーツを教えることは、法定の技芸の教授※に当たりませんので、月謝を取っていても収益事業に該当しません。よって法人税は課税されないことになります。
※洋裁、和裁、着物着付け、編物、手芸、料理、理容、美容、茶道、生花、演劇、演芸、舞踊、舞踏、音楽、絵画、書道、写真、工芸、デザイン(レタリングを含む)、自動車操縦・小型船舶の操縦
NPO法人がスポーツを教えるのであれば、生徒に教える場合も、コーチなどの指導者を養成するために教える場合も、同様です。
さらに、自治体のイベント等でスポーツ講座に指導者を派遣して謝金を得ても、スポーツを教えており、収益事業である技芸教授業に当たらないため、同じ結論になります。
スポーツ大会は収益事業に該当するか?
スポーツ教室の生徒や指導者を集めて、大会を開催する場合に、参加者から参加費を取っている。
この場合、プロスポーツクラブのように、観客にチケットを売って、スポーツを見せ物として提供するのであれば、収益事業の興行業に当たります。
そういうのではなく、観客(参加者の保護者の方など)は無料で見ているだけ、ということでしたら、収益事業に該当するものがありませんので、法人税はかかりません。
大会後にチェーン店で会費制の懇親会を開いた場合でも、懇親会の開催は収益事業に該当しません。
なお、収益事業を行った年度だけ法人税の申告をすればいいのであって、収益事業を行わなかった年度については、法人税の申告義務はありません。
スポーツを教える対価であれば消費税はかかりうる
法人税のかかる収益事業に該当しないといっても、消費税がかかるかどうかの判断は別です。
スポーツを習うために料金を払うということですと、対価性があります。
また、法人の行うものなので事業性もあり、サービスの提供でもあるわけですので、消費税のかかる課税売上となります。
ただ、2年前の課税売上が1000万円以下で、インボイス登録をしていないのであれば、消費税はかかりません。
前期の課税売上が1000万円超であれば、今期は消費税の納税は必要ありませんが、来期から必要になります。
来期の課税売上が1000万円以下であってもです。
スポーツを教える活動が収入のメインであれば、かかる経費の大半は人件費で、払う消費税は少ないでしょうから、簡易課税制度選択届出書を今期中に提出することが、消費税の節税となるでしょう。
スポーツ教室の簡易課税制度の事業区分は、第5種事業となり、受け取った消費税の半分を納税します。
前々期の課税売上が1000万円超であったためNPO法人が課税事業者となった場合は、2割特例は使えないので注意です。
課税事業者になると、消費税の納税が資金繰りに影響しますので、料金設定を見直す必要がありますね。
編集後記
猫背の予防で猫背体操をやっています。けっこう効く感じが。
NPO・ボランティア団体の活動と運営実務講座に申込。でも定員があるので、実際に受けられるかどうかは抽選待ちとのこと。