声を出す仕事をするなら知っておきたいアナウンスの基本

繊維消費税は富裕層の奢侈税(しゃしぜい)か大衆課税か目下種々調査中

改訂新版HAVCアナウンサー教本(神奈川県立柏陽高等学校視聴覚委員会放送班・編、1989.4.1. 1992.4.1補訂版)

これは、私が高校時代に「シャ行」の発音練習に使っていた例文です。(中高続けて放送部でした。放送局風のアルファベット部活名がついていて、 HAVC: Hakuyo Audio Visual Committee )

SONY ECM-MS957

当時は税金のことは何も知りませんでしたから、この文章の意味については、まったく気にせずに発声練習をしていました。

その後、税理士になって、この文章の意味あいのとおりの調査が本当に行われていただろうことを知ったのです。

 第一に、繊維消費税の課税の範囲につきましては、大衆の負担となることを避け、しやし品課税といたしますために、…高価な繊維品のみをしやし繊維品として課税の対象とすること…としているのであります。…税を課せられるものの割合は、数量で七%程度に過ぎないものと推定され、従つて本税が大衆負担となる虞れはないものと考えているのであります。(中略)
 …繊維品消費税の税収は、昭和二十九年度におきまして八十五億円を予定しているのであります。…

第19回国会 参議院 大蔵委員会 第10号 昭和29年2月26日 | テキスト表示 | 国会会議録検索システム シンプル表示 (ndl.go.jp)

繊維に税金を課す歴史

昭和29年といえば、法人の交際費課税が始まった年でもあります。ぜいたくな支出(濫費)を抑制しようということで、交際費の経費制限と合わせて、繊維消費税が導入されたのでした。

なお、昭和25年まで織物消費税というものがあり、これもやはり、奢侈課税(ぜいたく品から税金を集める)となるように、綿織物は非課税(編み物は織物ではないので、対象外)と区分されていました。(織物消費税で非課税とされた織物(答え)|税の歴史クイズ|税務大学校|国税庁 (nta.go.jp)))

織物消費税はシャウプ勧告で廃止され、その代わりに導入されたのが、冒頭の繊維消費税です。

現在では繊維消費税は廃止されており、いま、ぜいたく品課税といえば、酒税・たばこ税だけですね。

聞き取りやすい声で話すコツは

閑話休題。

「繊維消費税は富裕層の奢侈税(しゃしぜい)か大衆課税か目下種々調査中」。これ、発音しにくくないですか?

仕事で、人前で話をするのは当たり前ですが、「聞こえない」とか「もう一回」とか言われないよう、アナウンスのコツを紹介します。

声を聞き取りやすくするには、ある程度、声の大きさが必要です。そのためには、次のようなことに注意してみてはどうでしょうか。

  • リラックス。ほっぺをマッサージしてもいいかも
  • 口は意識して大き目に開ける
  • いきなり大声を出そうとしない。スロースタートで
  • 目の前の特定の人(カメラ)に聴かせるように
  • 腹式呼吸で、声を出し、止める(腹筋運動をしましょう)

ある程度大き目の声で、でも声が上ずらないよう、落ち着いた話し方をキープしてみましょう。

特に重要な情報のところでは、声の大きさも増し、ゆっくりとしゃべることをおすすめします。

特に自宅仕事の方は、発声練習の時間を取ってみる

口(唇)も筋肉ですから、使わないと弱って、大きく開けることが難しくなり、声が聞き取りにくくなってしまうものです。

私は、夏休みのあいだ、ゴロゴロしていたら、休み明けに走れなくなっていたことがありました。声も同じです。

税理士のように、自宅で、PCとネットだけで完結する仕事をしていると、話すことが減ってしまい、声がますます聞き取りにくいものになります。

なるべく雑談の機会を増やすか、その機会がなければ、自宅で発声練習をしてみてはどうでしょうか。

発声練習をやっておくと、急に電話がかかってきたときも(あまりないですが)、はっきりとした声が出せ、印象がよくなります。

アナウンサーではないので、口の中での舌の位置とか、鼻濁音とかまでにはこだわる必要はありませんが(興味があったらやってみましょう)。

目の前の適当な本を読み上げてもいいです。

ちなみに私は「あいうえおの歌 北原白秋」を音読しています。五十音を一通り発声練習できるのが便利です。ネット検索すれば詩がすぐ出てきますので、試してみてください。


昨日のはじめて

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