村上春樹が新訳を出すのは、翻訳が古くなるからで、典型的には「やっこさん」という単語が出てくると、これは古いから新しくしないと、と思うそうです。
同じように考える人はいて、光文社古典新訳文庫が、その名の通り、古典に新訳を付けています。岩波文庫や新潮文庫の翻訳は、自分が生まれる前に訳されたものがいまだに販売されているので、安牌を取って光文社版を買ったのでした。
でも、出てきました、光文社版にも「やっこさん」が。「べらぼうめ」も。2009年訳なんですよ。本当にそんな日本語しか当てられなかったんですか……。これじゃ江戸時代じゃないですか。まあ、チェーホフは時代的には幕末もかかってますけど。
映画「ドライブ・マイ・カー」の字幕は、この翻訳が使われていたように思います。本屋さん、いますぐ『女のいない男たち』と並べて『ワーニャ伯父さん』を置くのです。映画見た人に売れますよ。(村上版では「ヴァーニャ伯父」)