「秒速5センチメートル」は、短編作家・新海誠監督が、ミュージックビデオの才能を開花させた作品です。これも「君の名は。」に生きてきますね。最初の2話の短編作品が、最後の3話目に強い説得力を与えています。
新海作品は毎回鉄道が登場しますが、それが遅延するのは今回が初めてでは? 私も電車(鈍行)で栃木まで何度か行ったことがあるので、あの距離感は分かります。過去作からずっと不吉な予感が漂っているのですが、第1話は印象的なシーンで幕を閉じます。
第2話は、『ハイスコアガール』でいうところの小春ポジションのヒロインが登場。前作までのイメージにつながる印象的なシーンが出てきます。
第3話がミュージックビデオなんですが、これまでのSFものから、一気にリアリズムに寄せてきた印象。春樹作品でいうと『ノルウェイの森』に当たりますかね。現実に、前向きなハッピーエンドはない。しかしこの音と映像には、感動を禁じえません。