自宅を売ったときの注意点 3000万円控除などの特例が使えない場合

せっかく買った自宅を手放す、というのは、重いものです。

そもそも住む家がなくなってしまうのですから、その売却代金で次の住まいを確保してほしい、というのが税金の考え。

不動産屋さんだって、次の住まいのあてがなければ、仲介してくれないでしょう。

なので、自宅を売った場合には税金が軽くなる特例がたくさんあります。

でも、使えない場合もあり、使えなさそうで使える場合もあり、注意が必要です。

原則として、住まなくなってから3年超経つと使えなくなるが、OKな場合も

原則、所有者が住んでいる家を売ると特例が使えます。

が、例外として、住んでいなくても使える場合があります。

2024年中に自宅を売った場合、3年前の2021年1月2日以降に転居したのであれば、「自宅」として扱ってくれるので、特例が使える可能性が残ります。

何で1月2日以降か? 2021年1月1日に転居すると、「3年後の同じ日が2024年1月1日、その前日の属する年が期限」なので、前日は前年の2023年12月31日になります。

2021年1月1日に転居して2024年に売ると、売却期限が2023年12月31日で期限後となり、特例が使えません。

ちなみに、所有者本人が単身赴任などで3年超自宅に住んでいなくても、配偶者など生計一の親族が住んでいれば、例外の例外で特例が使えるかもしれません。次のような場合です。

  • 単身赴任前はずっと親族が同居していて、
  • 単身赴任が終われば親族と同居を再開するような場合で、
  • 本人のいまの住まいは賃貸であり、
  • 本人が他の特例を使っていない場合

ただ、その親族も転居して1年超経ってしまうと、やはり特例が使えなくなります。

配偶者や親族に売っても使えないが、OKな親族もいる

その自宅を、本人の配偶者(妻や夫)、親や子に売る場合は、特例が使えません。

その他、生計が一の関係にある人(親族、事実婚の相手)に売ってもダメです。

そういう人相手に売るときは、安く売ってあげよう、というような気持ちが働くからですね。

相場で売った利益から控除してくれたり、税率をまけてくれるのが、自宅を売ったときの特例なので。

そうかー、親族はダメか―、と早とちりしないでほしいです。

兄弟・姉妹はOKです。

これ、グループ法人や同族会社の判定では、兄弟姉妹も仲間としてとらえるので、会社を経営されていたりすると勘違いしやすいかもしれません。
(会社は兄弟で共同経営したりするのも、ふつうのことですから)

個人個人の利益の取り合いである所得税では、兄弟姉妹はライバル関係です(あってほしくないですが、相続争いもしますし……)。

同世代を生きており、別々の生活をしていれば、兄弟姉妹間の売買でも、できるだけ高く売りたい・安く買いたいという気持ちが生まれます。

へんに気をつかって安く売ると、安く買った方に贈与税がかかって、余計面倒になることも(あえて贈与税を払う方法もありますが……)。

近隣の相場を調べて(スーモとかでも)、相場を知れば、「相場で売りたい!」という気持ちが芽生えますので、やってみましょう。

税金のかかる所得が自宅売却益しかないという方に、医療費控除があると……?

年金ぐらしで、所得税はかかっていない。でも自宅を売って申告が必要になる。

不動産の売却益は、通常、他の所得と別に計算されます。分離課税といいます。引ける経費も買った値段や、売却にかかった費用に限られます。

ところが、売却した同じ年に、大病をして医療費が多額になった・多額の寄附をし、他に所得がない場合は、この医療費控除などの所得控除を、売却益から引くことができます。

この場合、基礎控除48万円も売却益から引けます。

不動産の売却にかかる税金は複雑で、金額も大きくなりがちなので、税理士(私もそうです)への早めのご相談をおすすめします。

(参考)退職金以外に所得がない年に、こういった所得控除がある人は、退職金から天引きされた税金を返してもらえることもあります。

今日のプロ野球

一発を狙うだけでなく、小技の積み重ねで勝つ、という試合も見ていて楽しいものですね。なんか、格ゲーにも通じるところがあるなと思いました。