退職金は申告するのかしないのか(申告する)

「確定申告する場合は、退職金も申告してください」と税務署からは言われます。

一方、「退職金は申告しなくていい」という声も聞かれます。

どっちなのでしょうか。

横浜中税務署への案内看板(合同庁舎の2Fにある)

退職金を申告しなくてよいケース

年末調整済みなどで、確定申告の義務がない方が退職金をもらっても、申告しなくてよいです。

通常であれば、「退職所得の受給に関する申告書」を会社に出しているので、所得税も住民税も正しい税額が天引きされているからです。

仮に申告しても税金に影響がないので、申告しなくてもいいのです。

退職金を申告したほうがよいケース

次の場合は、退職金を含めて、確定申告をしたほうがよいです。

  • 確定申告で追加の所得控除を受けたい場合
  • 2024年分の定額減税をまだ受けていない場合

役員報酬が多く、社長在任期間が長い場合、退職金が多額になり、税率も高くなります。

同じ分離課税ということで、不動産や上場株式の売却の税金(一定の税率)と混同してしまいがちですが、退職所得の分離課税は、他と違います。

退職金額が大きいと、ちゃんと税率が高くなるのです。

退職所得は、他の所得と同じ「所得税の速算表」で計算するのだけど、他の所得とは合算しない、という意味での分離課税です。

税率が最大20%かかっている場合、追加で所得控除を受ければ、控除額の20%、税金が減ることになります。

さらに2024年に限っては、定額減税もあります。

退職した場合だと、定額減税をまだ受けていないケースもままあります。

すると、追加の所得控除×20%+定額減税の額に相当する税額が、退職金から天引きされた税金から還付されることになります。

ただ、退職金を申告することで合計所得金額が増加し、各種の所得制限に引っかかって、控除が減る場合もありますが、このケースでは申告するのがおすすめです。

退職金を申告すべきケース

あまりないことですが、「退職所得の受給に関する申告書」を出していない場合、20.42%で所得税が概算で天引きされています。

あくまで概算なので、正しい退職金の税金を計算すると、天引きされた額より多くなることがあります。

この場合、納税額に不足があることになりますので、確定申告して、差額を納税する義務があります。

また、逆の場合、正しい退職金の税金が少なくなる場合も、申告すべきです。

本来の税金<天引きされた税金 なので、取られすぎた税金が還付されます。

申告する時間がないならしなくてもいいのですが(国としては税収が多い分には、文句を言わない)、お金は損していることになります。

編集後記

歯医者に行って、事務所の片付け、請け負った確定申告の最終チェック、交流会で会った方やお客様とメールやりとり。