会計ソフトへの入力に慣れてきた今こそ振り返りたい原理原則

簿記はある程度勉強したとか、習うより慣れよでなんとなく会計ソフトに入力できている、という方にこそ、確認していただきたい簿記のルールがあります。

車の運転も、事故を起こすのは慣れてきたときといいますから。

いま、あまり参照されることもありませんが、その名も「企業会計原則」といいます。

いくつかありますが、大事なものだけ。

いまも生きている企業会計原則

真実性の原則

「企業会計原則、どれがいちばん好き?」と聞かれたら、「真実性の原則」と答えたいところです。

企業会計は、企業の財政状態及び経営成績に関して、真実な報告を提供するものでなければならない。

企業会計原則(大蔵省企業会計審議会、1982年)

1982年から何ら変わっていませんが(別の企業会計基準に上書きされていますが)、いまでも会計学の教科書には必ず載っているものです。

企業会計、会計、会計学というのは、簿記を含む大きなカテゴリーの名前と考えていただければいいです。

真実というとかっこよすぎますし、真実なんて唯一のものがあるか? という疑問も出てくるかと思います。

ここでは、簿記や会計には、ルールがあり、ルールを守ることで、より真実に近づいていく、という程度の意味です。

また、当然のことですが、ウソを入力してはいけないという意味もあります。粉飾決算(利益を実際より増やす)、逆粉飾(利益を実際より減らす)はNGです。

簿記の基本的なルールを守らないと、入力もできない

会計ソフトを使うと、基本的に、間違った入力はできません。

貸借平均の原理(簿記の世界では、なぜか、左右が一致することを平均といいます。アベレージの意味ではなく)というルールもあります。

単純に、仕訳は、借方の金額と貸方の金額が一致していないと、データとして受け付けませんよ、ということです。

基本的なことですが、手書きではスルーされる誤りが、ソフトを使うとぜったいにないので、そこは安心であるとも言えます。

あとは、資産の増+負債の減という仕訳も入れられません。どちらも借方に入れるもので貸方が0円となり、貸借が一致しないからです。

反対に言うと、借方に資産を入力したら、貸方は、資産の減少・負債の増加・資本(純資産)の増加・収益の増加・費用の減少であれば入れられるわけです。

これで貸借の金額が一致していれば、間違っていても会計ソフトのチェックはスルーしてしまうわけです。

振替伝票の入力モードでは、この辺の基本がわかっている必要があります。

会計ソフトに、ウソを入力してはいけない

当たり前すぎて、言われませんが、ウソを入力するのはダメ、というのが真実性の原則です。

ウソというのは、実際の取引と違うものを入力するということです。

よくある粉飾決算のパターンとしては、「借入をして預金残高が増えたら、相手科目は借入金になりますが、ウソをついて売上高にする」というものです。これで会計ソフトの入力は通りますが、ぜったいにやってはいけません。

それで決算書の見た目は良くなるかもしれませんが、それを使って銀行からお金を借りたら、詐取したことになります。

ふつうに犯罪ですので、逮捕されて、起訴されて、新聞沙汰になります。

と考えると、会計ソフトの入力一つとってみても、深いですね。入力しだいで犯罪ですから。

脱税も、最終的は犯罪になって、それが消費税がらみだと、インボイス登録ができなくなり、B2B取引から排除されるというペナルティもあったりします。

インボイス登録「消費税法に違反して罰金以上の刑に処せられたことはありません」とは – 税理士 木村将秀のブログ

当たり前のことも、あたらめて意識しつつ、会計ソフトに向き合ってみましょう。

編集後記

今日は、ホームページから単発相談のご依頼をいただいたので、受け方のご提案をしました。

1日1新:餓狼伝説 City of the Wolves 。26年ぶりの新作、その演出に思わず涙が……。