不動産賃貸業の確定申告は、規模によりますが、そこまで難しいものではないので、ご自分で申告される方も多くいらっしゃいます。
申告書は、国税庁ホームページの確定申告書等作成コーナーで作れますし、分からないことがあったら、確定申告電話相談センターに電話すればよい。
不動産賃貸業の方は、比較的時間にも余裕があるので、セルフ申告も現実的です。
木造・合成樹脂造・木骨モルタル造の建物なら、楽ができる
とはいえ、新規に物件を取得したときや、設備の交換や大規模な工事を行ったときは、けっこう手間がかかります。
まずそれが、修繕費として経費にできるのか、資本的支出・新しい建物附属設備の購入として資産計上するのかを判断しなければなりません。
もし、資産計上する場合は、それが何の減価償却資産に該当して、耐用年数を何年にするのか判断しなければなりません。これが意外に面倒です。
でも、お持ちの建物が木造・合成樹脂造・木骨モルタル造の場合に限って、簡単な方法が容易されています。
なんと、建物の耐用年数と同じでよい、という通達があります(耐用年数の適用等に関する取扱通達2-2-1)。
いま、すでに建物の耐用年数はお分かりだと思います。去年の確定申告書の控えを見ればいいのですから。らくちんですね。
楽できるルールがある理由は、税金への影響が少ないから
なぜ、そんな、楽していいことになっているか。その理由をご説明します。
木造・合成樹脂造・木骨モルタル造の建物は、用途によって、法定耐用年数が 11 年から 24 年までのいずれかとなっています。
一方、建物附属設備は、 3 年から 15 年。メインとなる電気・配管工事などは、ほぼ 15 年です。
つまり、建物も、建物附属設備も、大きな差はないわけです。これが投資用マンションみたいに鉄筋コンクリートだったりすると、 47 年くらいあったりして、差が大きくなるので、木造等以外では、楽することはできないのです。
それだけ投資する体力がある人は、申告もちゃんとやってね、という意味あいです。もちろん、ちゃんとやる方が経費が増やせて税金が得するので、やるべきです。
一方、木造等建物だけの、楽できるルールは、得することもあれば損もすることもある。工場・倉庫が用途なら耐用年数が 14 年となって、建物附属設備として 15 年で償却するよりも有利です。
建物の耐用年数のほうが 15 年より長い場合でも、長い目で見れば取れる経費の総額は同じなので、判断や計算に時間をかけずに済むメリットを取ってもよいでしょう。
多少有利なことがあるとしても、大した金額ではないので、大目に見てもらえるということです。
逆に面倒なのは、ローンを組んで賃貸用マンションを買った場合
投資物件を買う際にローンを組んだ。それでマンションを買った。
この場合ですと、借入金で、マンションの建物部分と、敷地権(土地)部分とを買ったことになります。
初年度ですと、登録免許税や司法書士費用などで、不動産所得が赤字になることもめずらしくありません。
その場合は、面倒な計算が必要になります。
通常、そのローンの利子は経費になるのですが、土地に充てた分の利子は、経費になりません。
しかも、その経費にしないための金額を書く欄が、ご丁寧に用意されています。
不動産所得が赤字で、ローンがあって、この「土地等を取得するために要した負債の利子の額」欄が空欄だと、税務署にはすぐにわかってしまいます。
「不動産所得に係る損益通算の特例」という制度です。土地にかかった利息分、他の所得と相殺できる不動産賃貸業の赤字が減ってしまうということです。
ここが空欄だと、過少申告になり、余分な税金があとから発生するおそれがあります。利息を払いながらの不動産賃貸ビジネスは、ただでさえ難しい。そこに不測の税コストを生じさせないようにしていきたいですね。
まとめ
不動産賃貸業は、平時であればご自分でも申告書を作れる仕事です。
ただ、大規模な投資時や、例外的に赤字が発生するときは、税理士へのご相談を。
当事務所では、申告書の作成代行も、また、分からないところだけ聞く単発相談プランも、両方ご用意しています。
昨日試したこと
- クラウドソーシングサイトを試す
- Kindle 出版のため KDP アカウント を取得