2024年にインボイス登録した人が、2割特例で消費税を申告する

税金の書類づくりの突破のためには、まず書類を見ておくことが重要です。

消費税の申告が2024年分で初めての方の場合には、何のデータが必要なのか、知っておきましょう。

基本、消費税は売上にかかる税金と考えてもらって大丈夫です。なので、売上のデータが必要です。

その売上の範囲は、事業所得よりも広いものになります。

ここでは、国税庁の確定申告書等作成コーナー「消費税」に沿って、確認していきます。

初期設定画面では、「2割特例」、「税込経理」、「割戻計算(デフォルト」を設定した前提で進めます。

軽減税率で買ってきた戸塚カナールのケーキ

2割特例が使えるかどうか

インボイス登録をしなければ、消費税の申告が必要なかった人は、登録後、期間限定※で2割特例が使えます。

※2026年分の確定申告まで

インボイス登録をしなくても消費税の申告が必要な次のケースでは、2割特例が使えません。

  • 課税事業者選択届出書を提出して、取り下げていない場合
  • 2022年の売上高が1000万円を超えている場合
  • 2023年の上半期の売上高と、給与・賞与とが両方とも1000万円を超えている場合
  • 消費税を納税していた親の事業を承継した一定の場合
  • 消費税課税期間特例選択届出書を提出している場合

消費税申告書の入力項目

2割特例が使える場合は、収入金額だけで消費税額を計算します。

事業所得(青色申告決算書)の金額だけではないことに注意です。

  • 事業所得
  • 不動産所得
  • 雑所得
  • 譲渡所得(事業用・不動産賃貸業用の不要品・減価償却資産の売却)

による収入も集計する必要があります。

今回が消費税の申告初めてであれば、中間納付税額・中間納付譲渡割額はありませんので、これは無視してOKです(今後、あるかどうかは、翌年1月下旬にe-Taxのマイページで確認できます)。

2024年の売上高については、インボイス登録日からの売上を集計することに注意が必要です!

  • 2022年の税込売上高 1年分(下記の非課税取引分・不課税取引分を除き、免税取引分を含む)
    • 2022年分の確定申告書から集計します
    • これが1000万円を超えていたら、2割特例は使えません
  • 2024年の売上高 インボイス登録日から12月31日まで
    • 雑収入を含む
    • 家事消費等を含む(通常の利益率の商品の場合、仕入金額と同額)
    • うち、免税取引分:輸出売上や、海外の顧客へのサービス提供・Kindle本の売上高
    • うち、非課税取引分
      • 事業所得のうち、事業用預金利息、身体障害者用物品の製作・修理の請負など
      • 不動産所得のうち、アパート家賃・地代など
      • 雑所得のうち、暗号資産収入など
      • 譲渡所得のうち、事業用土地の売却収入など
    • うち、非課税資産の輸出取引分
    • うち、不課税取引分

こんなに種類があるの……と思われるかもしれませんが、2割特例を使うのでしたら、売上総額と、消費税のかかる売上との差額である、

  • 免税取引分
  • 非課税取引分
  • 非課税資産の輸出取引分
  • 不課税取引分

については、まとめて、「不課税取引分」に放り込んでしまってOKです。

というのは、そうしてしまっても、2割特例での消費税額の計算上、影響がないからです。(簡易課税も同様)

売上総額-消費税のかからない売上=課税取引金額 です。

その他の入力項目

軽減税率

ここから、課税取引金額を、標準税率と軽減税率とに税率別に分けます。

本業とは別に、

  • 食品の販売
  • テイクアウトのあるカフェ

などを兼営している場合、この「課税取引金額」のうち、これら、軽減税率(6.24%)の対象となる金額を区分して、集計する必要が出てきます。

区分できない・していない、という場合だと、自動的に全部標準税率(7.8%)で申告することになってしまい、納税額が多くなりしぎてしまいます。

(インボイス・領収書・請求書では、軽減税率8%、標準税率10%と表記しますが、これは地方消費税を含んだ割合なので、申告書上の表記はこれより小さい6.24%、7.8%になります)

損しないためには、会計ソフトなり簡易帳簿なりで、売上を税率別に分けておく必要があります。

返還等対価、貸倒れ

あと、「返還等対価、貸倒れ」の入力があります。

返還等対価は、値引きのことです。売上高をマイナス処理、または借方で仕訳をしているときは、ここに入れる必要はありません。

ありがちなのが、振込手数料分を差し引かれて入金された場合の差額です。

もし、支払手数料などで処理していたら、その分に税区分「課税売上返還」または「借方の課税売上」で処理しなおして、集計して入力すれば、その分の消費税を減らせます!(税区分を課税仕入れにしていると減らせません)

なお、入力できるのは、インボイス登録してからの課税取引金額(売上)について、値引きしたものに限ります。

「発生した貸倒金の金額の入力」も同じで、登録する前の売上の貸倒れは除きます。登録前の売上を入れないのと同じです。

また、元の売上が軽減税率(食品・テイクアウト等)であれば、「税率6.24%(軽減税率)適用分」の欄に入れます。免税取引分の場合も同様です。

「回収した貸倒金の金額の入力」も同様です。ただ、今回が初めての消費税申告なら、課税取引金額の貸倒れは珍しいかと思います。

このように、売上だけでなく、その値引き・貸倒れも税率別(標準税率・軽減税率・免税取引分)に分けます。

消費税の申告は、収入を分けるのが勝負です。分けミスが多いと納税額が余計に増えがちです。

自分で申告する場合でも、慣れるまでは税理士のアドバイスを受けた方が、税金への守備力は高められます(いっそ丸投げしてしまうのも手です)。

編集後記

一日一新:無印良品ネットストア ウェストのいちばん細い(70cm)チノパンは、通販専売なんですよね……。