従業員に退職金を支給しない/支給する

会社が、従業員に退職金を支払う場合の注意点をまとめました。

下記資料の統計によれば、会社全体の8割以上、退職金制度があるといいます。

中小企業の場合、7割程度に落ちるようです。

退職手当制度がある企業の割合など(厚生労働省資料)

まとまったお金が動く退職金

従業員の退職金制度がない場合

小さな会社では、退職金を支給しないと決まっている場合もあります。

退職金を給与の後払いとせず、もともとの給与額に含めている場合も、退職金なしという会社もあります。

見た目の給与水準を上げられるので、採用活動時に注目してもらえる可能性が高まります。

いま、業界専門の人材紹介会社で提示される給与水準が高いですから、昔のままの初任給~上限額だと魅力を感じてもらえない場合もありえます。

この場合、退職金制度がないことも伝える必要がありますが、転職を前提としている求職者にはメリットと捉えられるでしょう。

また、退職金を支払わないこととすると、いざ、会社をたたむというときに、突発的に資金が必要にならないのでスムーズに廃業できるメリットもあります。

ただし、労働保険料・社会保険料の負担も増えるので、ここをどう考えるかです。

従業員の退職金制度がある場合

上記資料は厚生労働省のもので、従業員の退職金額は、一般的に、給与月額×勤続年数であることが分かります。

定年退職でない限り、いつ退職するか分からず、突発的かつ多額な出費があると面倒です。

一時的に多額の出費を避けるには、中退共(中小企業退職金共済)を利用する方法があります。

従業員ごとに、5,000円から30,000円(パートさんは例外あり)の掛金をかけて、会社は払うつど経費にできます。

払ったお金は、外部に積み立てられていて、従業員の退職時は中退共から直接、退職する従業員に支払われます。

従業員が不祥事を起こして退職する場合でも支払われるので、それが納得できず、加入しない会社も多いのですが……。

ただ、新規加入すれば、加入後4カ月目から12カ月間、掛金の半額(上限5,000円)が国から助成されます。

なので、月額10,000円の掛金を設定すると、5,000円×12カ月で60,000円、50%オフかつ上限まで助成を受けられることになります。

掛金18,000円以下から20,000円以上に増額した場合も、増額した月から、増加額の33%につき国が助成してくれます。

10,000円を30,000円に増額すると、6,660円(10円未満切捨て)が助成されるのです。

月額の給与を抑えて、中退共の掛金として払えば、労働保険料・社会保険料の増額を抑えられるでしょう。

その場合、採用活動時は福利厚生として退職金制度をアピールしたいところです。

源泉徴収事務

退職金を払うときは、退職所得の受給に関する申告書を、退職する人に書いてもらい、会社で保管しておきましょう。

「退職所得の受給に関する申告書」は、通常は給与計算ソフトから出力できますが、ない場合は、国税庁のホームページからダウンロードできます。

これを書いてもらえば、源泉徴収(給料から税金を天引きして、納付する)事務負担を減らせます。

小さな会社では、あまり大きな退職金額を設定しないでしょう。

退職金額が80万円以下であれば、源泉徴収事務が必要なくなります。(納付書には、人員数、支払金額、税額0円の記載はする)

退職金に税金がかからない部分の金額(退職所得控除額)は、40万円×勤続年数(下限80万円。勤続年数20年以上の場合はさらに増額あり)で計算するからです。

従業員にとっても額面通りもらえます。

退職所得控除額を超えた分÷2=退職所得 です。

これに所得税の速算表を当てはめて源泉徴収税額を計算するので、払った金額の割に源泉徴収税額は少なくなります。

注意点は、勤続年数が5年以下(端数切上げ)の従業員に300万円超の退職金を支給する場合、源泉徴収税額が増えることです。

退職金の税金が軽いことを悪用しようとすることへの対抗策です。

このケースを、短期退職手当等といい、これに該当すると、退職所得の金額は、「原則どおり計算した場合の退職所得×2-150万円」となります。

勤続年数5年以下の従業員への退職金は、300万円以下にすれば、原則どおりの課税となります。

人件費の払い方も、いろいろ工夫してみませんか。

編集後記

餓狼伝説 City of the Wolves のオープンベータテストの戦績は、ランクC-IV、勝率48%でした。