会計の世界では、自己株式の譲渡損益は、その他資本剰余金で処理します。が、譲渡時に、その他資本剰余金の残高が0の場合、(借)その他資本剰余金とすることができません。資本科目は、マイナス残高にできないからです。
そこでこの場合、「資本と利益をまぜない原則」を破ります。
- (借)預金 70 (貸)自己株式 100
- (借)繰越利益剰余金 30
一方、法人税の世界では、「資本と利益をまぜない原則」を絶対に破りませんので、繰越損益金を含む利益積立金は減少しません。
でも、会計では繰越利益剰余金を30減らしてしまっていますので、連動して税務の繰越損益金も30減っています。そこで、利益積立金を30加算する調整を行います。
その相手科目は、資本金等の額の30減算です。資本金等の額は、譲渡対価70しか増加しないのに、自己株式の処分で資本金等の額が100増えてしまい、30増えすぎなので、減算しているのです。