freee会計は、本体の会計ソフト以外に、好みのアプリを組み合わせて使えます。Webブラウザのプラグインを入れるのに似ています。
代表的なものが、この「前受/前払アプリ」です。
使い方は、公式ヘルプを読めば分かりますが、実際のところはどういうものか、どう使うのか、コツを紹介します。
前受/前払入力アプリで経過勘定・前受金などの振替を行う – freee ヘルプセンター

ネットバンクを同期していても無視すべきとき
「前受/前払アプリ」は、取引を登録するアプリです。
freee会計で取引を登録するには、いろんな方法がありますが、私は次の3つしか使っていません。
- 収入の登録ボタンから登録
- ネットバンク、Amazonビジネス、クレジットカードの同期した明細から登録
- Excelインポートから登録
freeeで請求書は作成していますが、請求書からは登録していません。
あれは、売掛金を登録するためのものだからです。
私は基本、仕事をする前に入金していただいているので、その機能は使いません。
入金時に前受金で受けて(当月分当月なら売上高で)、完了時に売上高に+更新しています。
で、API連携(同期)した明細は、「無視してはいけない」というのがfreee会計の基本原則です。
ですが、原則があれば例外もあります。
その例外が、同期した明細以外(今回は前受/前払アプリ)から取引を登録するときです。
同期している口座で払ったものをアプリで入力する

前受/前払アプリで内容を入力して、「登録」をクリックすると、その内容で取引が登録されます。
- 口座…お金を払う銀行口座など 例)貸方:普通預金
- 勘定科目…お金を払うときの相手科目 例)借方:前払費用
- 振替先勘定科目…収益・費用が発生したときの振替科目 例)借方:諸会費 貸方:前払費用
振替先勘定科目が動作するのは、「按分開始月」です。
「按分期間」の月数で払った金額を割って、1カ月ごとの金額にしたものが、収益・費用として自動入力されます。

アプリの登録が終わると、前払費用を払った口座の残高は、すでに減った状態になっています。
なので、口座にも、通常、同額のマイナス明細が同期されているのですが、これを登録してはいけません!

口座の残高減少がダブってしまいますので、心を鬼にして「無視」をします。
アプリで取引を登録したものは、同期した支払口座から登録しない。
これが、「前受/前払アプリ」を使うときのコツです。
前受/前払アプリを使うべきでないとき
アプリは便利ですが、そのつど新しいことを勉強する必要があるので、本当のところは、使わないで済ますのがベストです。
今回のような、1年分の前払費用の場合は、それが、損益に大きな影響の出ない金額である場合に限り、前払費用(資産)を使わなくてよいのです。
1年分の会費・ソフトウエア使用料・地代・保険料を払う場合、全額を費用の勘定科目にしてしまっていいのです。
前払費用を使おうが、全額費用にしようが、毎年、1年分の金額が費用になるのは同じだからです。
ただし、払った日から、その効果が1年以内のものに限ります。
厳密にいえば、例えば4月25日に払って、その効果が来年4月30日まで続けば1年超になりますが、そこは許容範囲です。
効果が翌々期になるものは1年超として、前払費用にする必要があります。
また、もちろん、前払する金額が1億円とか、そういうものは、1年以内であっても、前払費用にしなければなりません。
また、雑誌購読料のようにモノが届くもの、税理士顧問料のように毎月のサービスが一定でないものも対象外です。これらは前払金(資産)になります。
金額があまり大きくないものについて、認められている簡単な処理です。「短期前払費用」と呼ばれます。
そういう重要性が低い経費については、事務処理の負担を下げることを優先してよい、という趣旨です。
これまで厳密に前払費用にしていたものを、今回からこの簡単な処理(払った額を費用)に変えた場合、その年だけ費用が多くなります。
そこも、金額が大きすぎず、かつ、今後はずっと簡単な処理にするようにしていれば、原則として問題ありません。
編集後記
横浜南青色申告会 青色学校 複式簿記講師10日間が終了。
1日1新:freee会計 前受/前払アプリ

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランス・独立間もない個人事業主・法人設立を検討中の方のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細