独立開業にあたり、法人を設立する。
通常は、株式会社をおすすめしています。
いろんな税金の制度が、株式会社を前提にしているため、合同会社はリスクが高いのです。
いずれにせよ、ご自分で全額出資して作った会社。
自分が会社のオーナーですから、その社長(ご自分)のお給料(役員報酬)は、ご自分で決められます。
これが、自分で作った会社のいいところです。

社長の給料を自分で決められる自由
ひとくちに社長といっても、会社の所有者が自分かどうかでぜんぜん違います。
株式会社を運営して、もし、事業がうまくいくと、誰も知っている大企業グループからM&Aの話があることもあります。
株式会社なら、社長の持っている株を売る、すなわち、会社(の所有権)を売ることができます。
もちろん額面金額ではなく、そこまで大きくした会社の時価(純資産の部の金額ベース)なので、高く売れるかもしれません。
その後、「社長として引き続き会社を運営していっていい」という話もあるかもしれません。
新しいオーナーとしても、いままで運営していた社長が継続してくれたほうが、期待はできますから。
喜んで、社長の座にいつづけたとしても、株を売ってしまったので、その後は会社のオーナーではありません。
オーナーでないということは、もう、役員報酬は自分で決められないということです。
それだけでなく、重要なことは上(オーナー)にお伺いを立てる必要があります。
それは、もう、楽しくないと思います。
そういうことがしたくないから、独立して会社を作ったのでしょう。
引退するなら、退職金代わりに会社の譲渡もいいでしょうが、役員報酬を自分で決められる自由を手放したくなければ、社長の100%株式保有はキープしたいところです。
役員報酬は、期首から間もない定時株主総会のタイミングで、原則として年1回、決められます。
毎月の手取りはいくらになるか
仮に400,000円(月額・定期同額)と決めたとして、当然ながら40万円全額がもらえるわけではありません。
手取りがいくらになるかが重要です。
(以下、Excelでざっくり試算してみました。神奈川県・横浜市在住を前提)
給与から天引きされるものには、源泉所得税、特別徴収の個人住民税、社会保険料(健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料)があります。
ただ、社長1人だけ、または夫婦で2人だけの会社であれば、個人住民税は普通徴収といって、個人宛に届く納付書で払ってもよいことになっています。
すると、会社の事務を減らすためには普通徴収にしたほうがいいでしょう(お住まいの自治体に連絡して手続きをします)。
残りの、源泉徴収税額と社会保険料を計算すると、手取りがいくらかを、事前に知ることができます。
月額400,000円の役員報酬。
この場合、社会保険料(40歳以上の場合)は、健康保険料・厚生年金保険料を合わせて59,620円(神奈川県、協会けんぽ)。
源泉所得税は、最大で11,610円(扶養親族等の状況により、変わります)。
結果、毎月の手取りは、400,000-59,620-11,610=328,770円です。
(住民税が特別徴収の場合は、さらに19,000円ほど減ります。年額は229,600円くらい ※横浜市の場合)
ご自分の毎月の家計簿を見ながら、必要な手取り額かどうか、確認してみるのもいいでしょう。
会社の費用は、400,000円×12カ月ではない
毎月同額なので、1年間で4,800,000円になります。
給与所得控除があるので、合計所得金額は3,400,000円です。
この場合の基礎控除は、2025年・2026年に限って、特例で680,000円です。
なのですが、毎月の源泉徴収では、この特例を反映しませんので、年末調整すると34,000円ほど還付されます。
住民税が普通徴収なら、年末時点の手取りは年3,980,000円ほど(ここから、前年の所得に対する個人住民税を払います)。
額面4,800,000円といっても、こんなものです。
また、この役員報酬 年額4,800,000円は、会社の費用にもなります。
ただし、これだけでなく、会社の負担する社会保険料が、法定福利費として723,720円(給与から天引きされる額と同額+子ども・子育て拠出金)加わります。
すると人件費は、法定福利費込みで5,532,720円。
社長の給料しか費用のかからない会社であっても、役員報酬の15%増しの人件費がかかります。
いくら自分で役員報酬を決められるといっても、その額面金額の1.15倍を超える利益を出す必要があります。
そうしないと、結局、会社から社長個人にお金を渡せなくなりますので。
近況報告
記帳代行したり、事前打ち合わせの調整をしたり、YouTubeを更新したり。合間に合唱曲練習、TINK ARCADE 横浜でサムライスピリッツ斬紅郎無双剣など。
1日1新:尾形敏幸作曲の合唱曲「赤い月のブルース」の個人パート練習

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細