税理士として、お客様の経理のサポートをする場合でも、お客様にしていただくことがあります。
その一つが、売掛帳・買掛帳の作成です。

売掛帳・買掛帳を税理士が作れない理由
毎月の売上・仕入のデータは、「売れた月」「買った月」の区切りで作成します。
「入金があった月」「支払った月」ではないのです。
多くの場合、納品後、翌月以後の入金/振込ですから、入出金明細を見てからでは、タイムリーな会計データを提供できません。
入金の前・出金の前の情報を知っているのは、お客様(経営者)だけなのです。
税理士に売上請求書の控えや、仕入請求書を渡して、会計ソフトに入れてもらうことはできるでしょうか?
できるかもしれませんが、税理士には、お預かりした資料が、それで全部か、知るすべがないのです。
それを知っているのも、お客様だけです。
その月の、全部の売上・仕入をご存じなのは会社であって、税理士ではないので、これらの請求書(控)を集計した売掛帳・買掛帳は、お客様に作っていただくようにしています。
将来の入金予定・支払予定を把握するために、こういった資料は、本来、会社で作っているはずです。
税理士は、これら売掛帳・買掛帳をもとに、会計ソフトに入力をします。
それを集計した試算表を銀行が求めたりしますので、必要に応じて提供をしています。
売掛帳・買掛帳はExcelで作ろう
売掛帳・買掛帳は、手書きで作成されている会社がまだあります。
経理のやり方は、誰かが言い出さないと、長い期間、同じやり方を続けてしまいがちなのです。
しかしここは、Excelの活用を考えたいところです。
Excel(Microsoft 365)の契約がなければ、Googleスプレッドシートでもいいです。
Excelで資料が作れたら、Excelのまま、税理士にメールやDropboxで渡すようにしましょう。
税理士もそのほうが喜びます。
売掛帳は、取引先別に、前月末残高+今月発生額-今月入金額=今月末残高 というふうに作ります。
一部の会社では振込手数料を差し引かれて入金されるので、前月末残高と入金額との差額もわかるようにします。
取引先によっては、諸費用が天引きされることもあり、その差額と内容が分かる資料も保管が必要です。
計算式を工夫して、入力ミスが分かるようにすることもできます。
Excelで作成するといいのは、取引先別の売上高のデータが取れることです。
各得意先ごとに人件費や外注費がかかる場合、それも得意先別に集計すると、得意先別の粗利、利益率まで出すことができます。
利益率が低ければ、単価のアップ、経費の削減、いずれ取引をやめる等の判断の材料になります。
売掛帳・買掛帳をもとに仕訳を作ることも可能
Excelでデータ化しておくと、会計ソフト用の仕訳データまで作ることができます。
シンプルな売りのみ、買いのみの請求書なら、関数でインポート用の形式に加工もできます。
複雑な請求書(売上もあれば経費もあるような)であれば、Excelのシートにインポート用のフォーマットを作り、適宜、マクロで日付と金額だけ打ちかえることも可能です。
税理士に顧問を依頼する場合は、Excel売掛帳・買掛帳までで十分です。
そうではなく、ご自分で会計ソフトに入力する場合も、経営管理のための資料をもとに、仕訳データまで作れるようになれれば、事務の時間を短縮できます。
そのやり方を単発でお教えすることもできますし、顧問として、お互いが詳しい分野ごとに分業することも提供しています。
どちらにせよ、バックオフィス業務にExcelの使いこなしは必須です。
本を読む、詳しい人に聞くなどして、使いこなし術を身につけたいものです。一生役立ちますので。
近況報告
横浜商工会議所の業務委託(異動の時期で新しい方とごあいさつ)~benten103で事務(いま、ジャズ喫茶みたいにレコードをかけている)~川崎方面で税理士業。
1日1新:THE WHARF HOUSE(山下公園)

1980年生まれ。木村将秀税理士事務所・代表。主にフリーランスやNPO法人のサポートをしている。自分で経理・申告したい/顧問税理士をつけたい/記帳代行を依頼したい に対応。特技はウォーキング(最長は戸塚~小田原間 45km 14時間)、趣味はジャズ喫茶巡り・村上春樹の本・SNK対戦型格闘ゲーム。プロフィール詳細