2024年から、東京23区内のタワーマンションの相続税評価額(相続税や贈与税のかかる金額)は、従来の評価額の約2倍に上がることになりました。
その、2倍に補正するための計算式に、「評価乖離率」というものがあります。
これは、国税庁に集まる全国のマンション売買の情報(金額、登記)をもとに、統計的に編み出した率なのだそうです。
ビッグデータとか、データサイエンティストとかやりたい人は、国税庁に就職すれば、いくらでもデータがあって、面白いかもしれませんね。
評価乖離率の計算要素の意味
一棟の区分所有建物の築年数×△0.033
これは、マンションの価値は1年で3.3%減少する、という意味です。△(マイナス)がついていますから、経過年数は、むしろ評価額を下げる働きがあるということです。
耐用年数30年で減価償却しているのと同じです。
わかりやすくいうと、新築で買ったら30年は住むつもりだ。古くなれば価値も下がる。まあ、そんなものかな、という感じですね。
売却相場は年々上がっているかもしれませんが……。
一棟の区分所有建物の総階数÷33×0.239
これは、33階以上のタワーマンションは、ふつうのマンションより、23.9%割高だ、という意味です。
それより階数が少なければ、割高率が下がっていきます。
『正直不動産』に出てくるように、タワーマンションは強度を保つために壁が分厚いなど、コストもかかっていますし、ステータスも高いので、価格に反映されている。そういうものだろうという気がします。
一室の区分所有権等に係る専有部分の所在階×0.018
これは、お持ちのマンションの部屋の階数が、1階上がるごとに、1.8%割高になっている、という意味です。高いフロアにあればあるほど、日差しが遮られず、眺望がいいからですね。
これも、割合はともかく、納得いきます。
一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度×△1.195
これも△(マイナス)がついているから、基本的には、評価を下げる計算です。
「敷地持分狭小度」とか、難しい言葉を使いたがるのが税金の世界です。
敷地利用権(単純に言えば、その部屋に対応するマンションの敷地)の面積が、部屋の床面積より小さければ小さいほど(狭小なほど)、評価が上がる。
意味わからんですよね。
ここで、「面積が狭小」というのは単なる計算結果なので、意味がわからないのです。結果に名前をつけても、意味がありません。その前段階のプロセスを考えてみます。
マンションの一室ごとに、限られた土地を割り振っていますので、マンションの戸数が多いと、敷地利用権の面積が小さくなる。タワーマンションは、一つの土地に多数の部屋があるので、狭小度が高くなりがちです。
でもこの新しい評価の補正率は、タワーマンションだけではなく、すべての分譲マンションの一室ごとに適用されるものです。
「一室の区分所有権等に係る敷地持分狭小度」は、ひとくちにいえば、「タワマン度」、タワーマンションらしさ、というものです。
いかにもタワマンというイメージに近づくほど、「タワマン度=敷地持分狭小度」が高いほど、この計算で評価額が下がらなくなる。反対にいうと、ふつうの低層マンション(戸数が少ない)の評価額を上げようとしているわけではない、ということです。
この計算式を、マンション選びの参考にするなら
この算式は統計の結果なので、ある程度実態を反映していると考えます。実際の買いものの参考にできるでしょうか?
古いほど安い。階数が多いほど高い。その部屋が上にあるほど高い。見た目がいかにもタワマンっぽい(戸数が、土地の広さに対して多い)ほど高い。
……まあ、意外性はないので、参考にはならないかもしれません。
あと、ここの計算要素にない値付け要素は、まったく反映されていないので、気をつけましょう。
言えるのは、タワーマンションって割高なんですね……。相続税対策になるから、割高のものを買う? 得しているのか、損しているのか……。
『正直不動産』でも書かれていましたけど。ちなみに税理士は、『正直不動産』愛読者率が高い気がします。
一般に、補助金や税額控除の対象となる資産や費用は、その分、価格が割高に設定されます。出産費用の助成額を増やしたら、産院が同額出産費用を値上げしたいうニュースがありました。
同様に、タワマンも相続税節税効果が高いから、値段も高いのかもしれませんね。それをよしとするかです。
今日のできごと
VAIO社にVAIO Zのリカバリーメディアを依頼したら速攻で代引きで届いた。電源ON中にメディア(USBメモリ)差し、F3押しっぱなしで起動して、ドライブからリカバリー成功しました。もうWin11にはしないぞ。